第22話
「あ、領主様!おはようございます!」
「おう、おはよう」
ソフィーが目覚めた二日後。
ヨハンは冒険者ギルドへと来ていた。
領民の挨拶ににこやかに答えるヨハン。そこには理想の貴族そのものと言える姿があった。
「おはよう。リンドウ──支部長は居るか?」
彼は受付嬢に声を掛けた。
「支部長は現在留守にしております」
「いつ帰ってくるか分かるか?」
「はい。予定では1週間程で戻るようです。……死んでなければ」
「そうか。…………死んでなければ!?」
受付嬢から淡々と告げられた言葉に思わず叫んでしまうヨハン。
出張かな?とか思っていたらいきなり生死に関わる話をされたのだ。当然だろう。しかも支部長ともなればその戦闘力は高い。特にリンドウの戦闘におけるセンスと強さについてはヨハンは良く知っていた。
「一体何を……」
ヨハンは呟く。
そんなヨハンの呟きを聞き、受付嬢は口を開いた。
「支部長はヴァレンシュタイン様と【死を司る狂乱の森】に行くと言っておりました」
「馬鹿か、リンドウは!?」
ギルドにヨハンの叫びが木霊した。
一方その頃。
【死を司る狂乱の森】では。
「グギャァあ!?」
モンスターの序列の最下層。
そこに存在するモンスター──ミニゴブリンが野生の兎に爆散させられていた。そう、モンスターである角兎ではなく、ただの野生の兎にだ。
そんな中でレイガはリンドウの強化プログラムを開始する。
「見たか!あの兎の凛々しい姿を!ただの動物でありながらミニゴブリンを爆散させているぞ!貴様にできるか!?」
「普通の相手なら可能です!」
「貴様!勝手に口を開くな!」
今までのレイガとはまったく違う口調である。
「いいか?良く聞け!ここでは人類トップクラスの実力者だろうがゴミだ!そこらのクソを集めただけの存在でしかない!
だがな!俺が鍛えてやれば貴様はゴミを卒業できる!
それにだ!ここはスカルハの街に近い。だからもしもの為に貴様を鍛えてやる。だから話し掛けられた時以外は口を開くな!口から糞垂れる前と後には【サー】と言え!分かったかミニゴブリンや兎にすら劣るゴミめが!」
ノリノリである。
「以前貴様はここのゴブリンを雑魚と侮ったな!」
「Sir, yes, sir!」
レイガの気迫にリンドウも言われた通りに口を開く。
「あの光景を見ても同じことが言えるか!?」
「Sir, no, sir!」
「なら貴様は何故知りもしないのに雑魚と侮った!」
そしてこれから一週間。
リンドウは見事にミニゴブリンを倒せる様になり、スカルハへと帰還するのだった。
そして、傍らには「やり過ぎた」みたいな顔をしたレイガが居たとか居なかったとか。




