第21話
「さて、説明しますね」
レイガはナイフを仕舞い、そう口を開いた。
「まず、先程の龍薬の材料ですが、別に【聖光龍シリーズ】じゃなくても良かったんです。龍としての格が上で聖属性という龍特有の属性を持ち、神格を得ていれば。まあ、神格と言っても所詮は天使程度の物ですから正確には神格とは言えませんが」
龍薬の入った容器に蓋をし、テーブルの上に置く。
ヨハン達はその様子をじっと見ている。
「あぁ、後焔やらも同じですね。
それで、まあ簡単に今やった事を言えば俺が聖光龍よりも上位の存在だったってことですね。
あ、もちろんバレたりしたら天罰が下っちゃいますから気を付けてくださいね?俺の意思とか関係無しに皆が「約束を守らないなんて!」みたいな感じでキレちゃいますから」
レイガは笑いながらそう宣った。実際の所、天罰が下るのはヨハン達だけでなく、スカルハ領全体なのだがレイガはそんな事は知らない。そして、あることに思い当たる。
「あ、そうだ。一応《浄化》」
瓶ごと龍薬に《浄化》の魔法をかける。
この《浄化》の魔法は細菌や寄生虫などを殺す魔法であり、刺身を造る時に必須の魔法だったりする。レイガも何回もお世話になっている。また、似ている魔法で水属性の《洗浄》という魔法もあるが、それは自らの体や服の汚れを落とすものだ。
「それじゃあ、龍薬はそこに置いときますんで報酬は一週間以内に振り込んどいて下さい」
レイガはそう言いソファから立つと一礼して、部屋を出ていった。
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「…………急ぐぞ!」
「はい!」
レイガが去ってから数分後。
フリーズしていたヨハン達はやっと動きだした。龍薬を持ち、向かう先はヨハンの娘ソフィーの部屋である。
「旦那様!」
「レナ!薬を手に入れた!ソフィーに飲ませるぞ!」
「薬!?」
部屋に入ると子爵家の客人薬師であるレナがヨハンを呼ぶ。そして、ヨハンはレナに手に持っている龍薬を見せる。
「ああ!治せるぞ」
「一体なんと言う薬ですか!?」
「たしか龍薬と言う」
「龍薬!?あの超特級機密指定薬物の!?」
「なんだ、それ?」
「薬師ギルドの極々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々一部の人間にしか存在が知られていない薬物です!さらに製法も知られていません!どこで手に入れたんですか!?」
「え、いや、アハハ」
薬の名前を訊いたレナの様子にヨハン達は苦笑いして誤魔化すことしかできない。言ったら天罰が下るらしいので当たり前だろう。
「まあ!兎に角!これをソフィーに飲ませよう!」
そして、ソフィーに飲ませようとすること数分。
やっとの事でソフィーが龍薬を飲むことに成功した。
ピカ!
「「「目が!目がああああああ!!!」
そして、何故かソフィーが発光した。
それから三日後。
ソフィーの病は完治した。
因みにそれまでの期間。レイガは街の温泉でグダグダしていた。




