第18話
「嫌だ」
「やれ」
「嫌だ」
「やれ」
「嫌だ」
「やるな」
「嫌だ」
「よし、じゃあ行ってこい!」
「はめられたぁ!」
支部長室でバカな会話が交わされていた。
そんな会話をしているのは勿論、レイガと支部長だ。なぜ、こんな事になっているのかと言うと簡単に言えば『子爵の家行って依頼受けてきて』と支部長が言ったためだ。それをレイガは断固拒否している。
「しかし!俺は行かない!」
「いいから行けや!」
「おい、支部長。あんまり俺を怒らせないほうが良いぜ?神々すら軽く屠る俺が龍化して暴れるかもしれないからな」
「なん……だと…」
ここで言っておくと、レイガが龍化した際は漆黒で光の加減で所々が銀に輝く鱗と銀の鬣を持つ紫眼の西洋龍になる。
「って!嘘吐くなよ!」
「兎に角行かないからな!なんで俺が子爵の娘と結婚しなきゃいけねぇんだバカ!」
「バカってなんだバカって!そんなのアイツに『イケメンで強くて性格良い男いない?娘と結婚させたいんだけど』って言われたからだアホ!」
「なんでそれで俺を教えんだアホ!俺は性格超悪いし、イケメンでも無いし強くもない!」
「俺より強いくせして何言ってやがる!このボケ!」
「テメェこそハリウッド俳優なみにカッコいいくせに何言ってやがる!ボケ!」
「ボケとらんわ!」
「うるせぇ!」
「なんだと!」
「兎に角行かない!」
「じゃあ結婚はしなくていいから依頼受けてこい!」
「その依頼は!?」
「ソフィーとのけっk「よし、龍化するからまってろ。『我は根源を支配し全てを創造破壊する龍皇神也 天地開闢あらゆるモノは我が意図の元に集結し終結し終焉を迎える 今ここに我が力を示す!』」ちょちょちょ、ちょい待て!嘘だから!そんな事ないからやめて!本当に洒落にならないくらいに魔力とか出てるから!」
「……嘘?」
「はい!うそです!すいません!ただ婿に良い子居ないかなぁって相談されただけです、はい。依頼はソフィーの事に関係することで結婚とか関係ないです、はい」
「なるほど、嘘を吐いていたと。例の森行ってみる?今なら出血大サービスでモンスターを沢山呼ぶよ?」
「ごめんなさい!すいませんでした!許してください!せめて命だけはお助けください!」
「え?やだよ」
「お願いします!たすけてください!まだ生きていたいです!」
支部長が顔を涙と鼻水でぐちゃぐちゃにしながら謝り倒している。そんなにレイガが恐いのだろうか。たしかに銀のオーラが渦巻いているのは相当な威圧感があるだろうが、そんなに怯えるほどではないはずだ。
そうそう、レイガが龍化しようとして詠唱をしているが全く必要のない事だ。ではなんでそんな事をしているのかという話になるが簡単に言えば『某最弱無敗な機竜のヤツっぽくてかっこよくね?』ということだ。はっきり言おう。才能や力の無駄使いである。
「ったく、じゃあ結婚とか関係ないんだな?」
レイガがめんどくさそうに訊く。
「はい!ありません!おそらく依頼はソフィーの病に関することだと思います!」
「しょうがねぇから行ってあげますよ。そのかわり今度森に行ってもらうけど」
レイガは支部長の言葉を聞くと、それだけ行って部屋から出ていった。帰りに受付で受注をすることも忘れない。




