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第16話

「ふぁあ、あ?」


 午後11時。

 とある宿の一室で一人の男がベッドから降りた。

 銀黒髪紫眼の男──つまりレイガだ──は私物の懐中時計を取り出し、時刻を見た。


「げっ、夕飯食い忘れた」


 そして、呟いた。

 実はこれ、かなりヤバイ状況である。それはレイガの龍の因子に関係する。普通の竜人は人の因子の方が強いのでそうでも無いのだがレイガは龍の因子が大部分を占めている。それが意味すること。それは兎に角食べるということだ。特に燃費が悪いという訳ではないのだが、確かに他の種族と比べると燃費が悪いのだ。

 それを知った時のレイガの一言はまあ、予想通りであった。


「俺は《紅〇の皇女》か!」


 神々も流石にこれには反論できなかった。実際、ほぼその通りであるからだ。


「はあ、とりあえず外で探すか」


 レイガはそう呟くと部屋から出て行った。







「はあー、さすがにこの時間はやってないか」


 既に時刻は午前1時を過ぎている。街で夕食を摂ることを諦めたレイガは街の外へと転移した。





「はぁ、えっとー、何の肉が有ったっけなぁ?

 うーん、取り敢えず皇虎の肉でも焼くか。《(ファイア)》」


 レイガは適当に竈を創り、火を付けると塩胡椒をふった虎肉と醤油タレを塗った虎肉を串に刺し、焼き始めた。

 数分後、焼けた虎肉串を頬張りながらレイガは空を見上げ、地球で仲の良かった友人達の事を思い出していた。それと共にちょっと……いやかなりウザい何時も絡んでくるクラスのリーダー(笑)の事も思い出してしまった。


「それにしてもアイツが佐倉にフラれて絶望してたのは不謹慎かも知れないけどおもろかったな。あの後、何故か殴られたけど……」


 レイガはクラスメイトの一人であり地域一の美少女であった佐倉ほのかと彼女と付き合っていると勝手に思っていた(というより妄想)男のことを思い出した。

 そして、その後の事を思いだし苦笑いした。


「それでもネットに晒すのはダメだろ」


 何故か例の男に殴られたレイガが翌日に投稿した動画での事だ。

 レイガの顔のアザについてのコメントが殺到し、クラスメイトの一人──ほのかの親友がそのコメントへの返信で例の男の個人情報を晒したのだ。しかもレイガが殴られるシーンを自身のチャンネルで公開して。

 因みにそれをしたらレイガのリアルもバレるのではないか……という心配もあるのだが、既にある程度(本名とか)はバレているので問題ない。親や交友関係がおかしいため直ぐにリアル割れしたのだ。

 さらにそのおかしい友人の家族(某国の王女とその家族)がレイガの殴られる動画を見て色々やった為、例の男の家族(両親共に国会議員)もかなり被害を被った。


「しかもどさくさに紛れて俺と婚約したぜー、とか言ってるし」


 それから暫くレイガは思い出に浸りながら虎肉串を食べ続けた。




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