第15話
「いらっしゃいませー!」
レイガがギルドで勧められた宿に入ると元気な声が聞こえた。
レイガが声のした方を向くと、そこには活発系美少年がいた。思わず、レイガはorzの体勢となる。
「そこは美少女じゃねぇのかよ」
「どうしました!?」
いきなりそんな体勢となったレイガに美少年が驚く。まあ、いきなり人がorzの体勢になったら当たり前だろう。しかも、無駄に顔が整っているレイガがそんな事をしているのだから、なおさらだ。
「い、いや。なんでも無い。ところで部屋は空いてるか?泊まりたいんだが」
「あ、はい。丁度一部屋だけ。何泊されますか?」
「取り敢えず……そうだな二週間頼む。それと、従魔……って登録し忘れた!」
「ちなみに従魔っていうのは?」
「あ、種族の事?それなら 【深淵之冥キ極夜之鷲獅子】だ。それで……泊まれるか?」
「大丈夫だと思います」
「そうか、なら幾らだ?」
「一泊二食付で800CRで、従魔込みで1100CRですから二週間で15400CRです」
「……(日本円にして15万4000円。普通か?)そうか、じゃあギルドカードからでいいか?」
「はい大丈夫です」
レイガはギルドカードを美少年に渡した。理由は例のクレジットカード的な機能だ。従魔登録を忘れたくせに素材などを売って金を稼ぐのは忘れていなかったようだ。
「へー、Aランクなんですか。優秀なんですね」
「いや、そんな事は無いさ」
美少年が言うとレイガは即座に否定した。所詮この力は偶然手に入ったもので自分が築き上げたモノでは無いとレイガが考えているためだ。しかし、神々がそれを聞いたら「いや、お前そんな事言ってるけど先代以上の力持ってるじゃん。だからそれは正真正銘お前の、お前だけの力だ。偶然手に入ったのではなく、死後必ず得る……覚醒した際に得るものだった」と言うだろう。
それと、Aランクの事だが、支部長曰く「S以上はすぐには渡せない」とのことで一時的にこうなっている。
「はい、確かに。それでは此方が鍵になります。外に行かれるさいは僕達に渡してください。夕食は7時から10時まで、朝食は7時から9時までです」
美少年がギルドカードと鍵を私ながら説明する。
レイガはギルドカードのみ受けとると、美少年に一言告げ外に出た。その言葉は
「従魔登録してくる」
だった。
数十分後。
「わぁ」
宿の従魔スペースで美少年が王者の風格を漂わせる漆黒のグリフォンを見て感嘆の声を上げた。
そこから分かること。それは……従魔登録が無事に済んだということだ。
「はぁ、報告書どうしよう」
いや、支部長の仕事の増え方がえげつなく、支部長は無事で済みそうになかった。
南無三。




