第14話
「なあ、そろそろ宿とか探さないといけないから帰らせてくれないか?」
「ん、ああ。良いんだが、ジョブ適性は調べたか?」
「ジョブ?なんだ、それ」
(おいおい、そんなもん聞いたことねぇぞ)
レイガが言うと、支部長がそんな事を言い出した。しかし、レイガはそんなものは初耳であり、思わず聞き返した。
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ジョブ。それはその人物に適した職業──ある種の天職の事である。この世界にはジョブと職業という二つの概念がある。例えば、ジョブが魔術師の男が冒険者になると、ステータスには、【ジョブ━魔術師】【職業━冒険者】というように表記される。
また、ジョブ適性は一つとは限らず、いくつものジョブ適性を持つものもいる。しかし、一つのジョブにしか就けないのかというとそうでもなく、25レベル毎にさらにジョブに就ける。さらに、上位ジョブへと天職することも可能。また、レベル100を越えると、ジョブ適性が増える事もある。
最後にジョブに就く利点だが、そのジョブに関したスキルの付与、スキルレベルのアップ、ステータスの上昇など。
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一応、ジョブのことは一般常識なので、支部長は怪訝におもったが、色々おかしいレイガの事なので直ぐに気持ちを切り替え軽く説明をした。その間、レイガが思ったことは『神々よ……それ、教えてよぉ』だった。
まあ、そんなこんなで説明を受けたレイガは受け取った【デバイス】と、支部長室にあった適性を調べる魔道具を使用してジョブに就いた。
その結果がこちら。
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レイガ・T・ヴァレンシュタイン
ジョブ━━龍皇神
┗┳━武皇神
┃ ┗剣皇神━剣帝神━刀皇神
┣━魔法神━魔法皇(ry
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と、まあこんな感じになった。簡単に言えば、龍皇神というジョブは全ジョブを含んでいるため、その詳細が続いていると思って貰いたい。実際は全ジョブだが。
もちろん、偽装してからギルドに開示した。なんでも、義務らしい。
その際のジョブは【龍皇】と【剣皇】と【魔帝】だった。
「バカみてぇにやべぇジョブだな!?」
とは、それを見た時の支部長の台詞だ。
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(いまさらだけど、俺って相当変わったよな)
レイガはギルドから出て、大通りを歩きながらそんな事を考えていた。
(さっきも、そうだったし。前の俺ならキレててもあんな反応はしなかった。
こういう所でみんなの言ってた事がよくわかるな)
先程のギルドで絡んできたバッカス。彼に対しての反応を思い出しながらレイガは苦笑する。そして、神々の言っていた事を思い出した。
以下回想
「さて、そろそろ君に話しておかないといけないね。もう、気付いているかもしれないけど」
レイガがモンスターの殺戮を繰り返す数日。ある日、ゼウスがそんな事をレイガに言った。
「俺が、モンスターを殺しても特に何も感じない事に関してか?」
「そう。君は元々人の身──それも科学的な世界の人間でありながら、龍の因子もっと言えば龍皇神としての因子を何故か持っていた。
けれど、それを知らない分にはまだ、影響は無かった。けど……」
「それを知ってしまった」
「その結果、君は【人間】【龍】【神】という三つの種族の意識が精神に存在する事となった。そして、それは命を奪うという事に対する人としての忌避感を薄れさせてしまった。いや、限りなく0になった。
龍はある意味好戦的だが基本的に進んで人を襲ったりなどはしない。だが、怒りを持ったり、必要があれば国や大陸も簡単に滅ぼす。
我々、神も同じだ」
「なら、竜人や龍人はどうなんだ?その理論で行くと彼らも相当殺人にたいする忌避感がなくなりそうだが」
「彼らは竜や龍の因子を持ってはいるが、比率でいうと竜や龍の因子は1/10程度しか含まれていない。だから、彼らはほぼ人と同じ位に忌避感を持っているよ」
「そう言えば竜と龍の違いって何なんだ?」
「竜は簡単に言えば低脳。龍は竜の上位者で、一種の裁定者であり、自由なもの達かな。
例として言えば、龍の中には魔王と共に暴れる奴もいるし、魔王を殺す奴もいる。裁定者っていうのはその事かな。それと、言っておくけどこれは龍のなかでも最上位のもの達の事だよ。龍でも竜と同じことをするやつもいるから。さっきの君への説明に使った龍もその最上位の者達のことだ」
「そうか」
「それと……もしかしたらだけど、君の奥底に眠る残虐性もその内出てくるかもしれないな(ボソッ」
「ん?なんか言った?」
「いや、なにも」
回想おわり




