第13話
「これはなんの魔石だ?」
支部長がソフトボールほどある魔石を眺めながらレイガに問いかけた。レイガはにやりと笑うと一言。
「ゴブリンの魔石だ」
「は?」
思わず、聞き返してしまう支部長。それもそうだろう。強さの証明として出されたはずの魔石がほぼ最弱のゴブリンの物だったのだから。
「ゴブリンの魔石だ」
「聴こえてるわ!お前、ふざけてるだろ!?ゴブリンなんて雑魚じゃねえか!」
聞こえなかったと思ったのかレイガが再び言う。支部長はそんなレイガを怒鳴り付けるがレイガは真顔で言い返すのだった。
「雑魚?なるほど、さすが支部長。相当強いんだな。その魔石のユニーク個体種族名『冥府死鬼』の固有名『ゴブドフ』レベル95600を雑魚と言うくらいだからな。だが、まあ確かに雑魚だったな」
「ちょ、待て!お前、そんな化け物と何処でやりあったんだ!?」
「死を司る狂乱の森。というか、化け物?雑魚だろ?あんたもそう言ってたじゃん」
「すいませんでした、調子に乗りました。許してください。レベル95600とか無理です」
「因みにそのゴブリンのステータス見たら全部950億くらいだったぞ。あとは、剣術スキルのレベルが9だった」
「もうやめてください」
レイガの言葉に支部長が謝り倒す。威厳もへったくれもないみっともない姿だ。それと、ここでスキルレベルを説明しよう。
スキルは1~10まであり、それぞれ
1初心者
2初級
3中級
4上級
5熟練
6達人
7聖者(聖職者ではなく、剣聖などの聖者)
8伝説
9神話
10神級
となっている。レイガの場合はスキルレベルを超越しているため、ここには含まれない。
そして、今回のゴブドフさんはスキルレベル9という驚きの数値だった。通常人類のスキルレベルが8以上にはなることは無い。そう考えるとゴブドフは強い。
「ねぇねぇ、この雑魚だとどのくらいのランクで冒険者になれるの?」
「本当にすいませんでした。もう、勘弁してください。SSSランクからです。この魔石のゴブリンは雑魚じゃないです」
レイガが完全にふざけて質問をすると、支部長が割とマジな感じで謝る。レイガはその様子に満足すると、話を終わらせるべく、動きだした。




