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第10話

冒険者ギルドの中は活気に満ち溢れて………いなかった。人が居ないわけではないが、居るのは酒を飲んでいる者程度だ。だが、それも当たり前だろう。今は昼前。つまり冒険者がギルドに一番来る時間帯ではない。


黎雅はそんなギルドの中を特に緊張したりもせず、受付に向かって歩いて行く。


「すいません、登録をしたいのですが」

「え、貴方が?止めといた方がいいんじゃない?」

「大丈夫ですので、登録を」

「アンタ、弱そうなんだから止めときなさいよ。折角止めてあげてるのに貴方なんなの?」


黎雅が一人の受付嬢に話し掛け登録をしたいと伝えると、その受付嬢は黎雅の体(顔は見ていない。理由はましな顔の冒険者はそうそう居ないから)をチラリと見てから黎雅を止めた。しかし、黎雅が大丈夫だと言うと、まるで自分が正しいのにそれに従わないとは何様のつもりなのだというかの様に黎雅に言う。


「チッ、めんどくせぇな。

大丈夫なので、さっさと登録を」

「ねぇ、話を聞いてた?」


再び黎雅が言うが受付嬢は全く話を聞かない。

そして、黎雅は遂にキレた。


「話を聞かないのはアンタだろ?それになんで俺が弱いと?一体何の根拠があって言ってんだ。大体、冒険者は死のうが自己責任だろ?

もういいわ。アンタと話してても埒があかねぇな。」

「おいおい、俺のティエラちゃんにガキが何してくれてんだよ?ぶっ殺すぞ」

「バッカスさん!このガキがしつこいの!」


黎雅が受付嬢に言っていると不意に男の声が、聞こえた。受付嬢はその声に嬉しそうに答えた。黎雅は心の中で「ビッチが」と思いながらもイライラしていたので、思わずバッカスとやらに八つ当たりをしてしまった。


「あ?んだオッサン?ぶち殺すぞ?」

「あ、ヒィ」

「そんで、何だ?誰をぶっ殺すって?」

「(顔面蒼白)」

「なんか言えや。もう良いか。そっちの人、登録お願いして良いですか?」

「あ、はい。」


黎雅はバッカスから目を離すとティエラの横に居た受付嬢に登録を頼んだ。今度は特に何を言われるまでもなく、スムーズに登録ができそうだ。


「それじゃあ、こちらの用紙に記入してください。代筆はいりますか?」

「大丈夫。ありがとう」


黎雅は用紙を受けとると微笑みながら受付嬢に礼を言った。そう、微笑みながら言ったのだ。この馬鹿は。


「フシュー////」


その結果、受付嬢は赤面して下を向いてモジモジしている。黎雅はそれに気付かず、用紙に記入を始めた。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

※は絶対に記入すること。また、一部はチェックすること。


※【氏名】レイガ・ヴァレンシュタイン

※【年齢】15

※【性別】男

※【種族】龍人族

※【戦闘】刀術、魔術

※【基本魔術】全属性

※【従魔】√有・無

【住所】

【家族構成】

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「じゃあ、これで」

「はい。ってええええ!!!???龍人様!?」

「まあ、一応」


黎雅が知らぬ間に立ち直っていた受付嬢(黎雅は知らないが)に用紙を渡すと受付嬢が叫んだ。

その理由は黎雅の種族にある。黎雅は流石に龍皇神とは書けないから近い龍人と記入したのだが、この龍人もかなりの注目を浴びることになるとは黎雅は気づいていなかった。

龍人族──それは竜人族の上位種であり、唯一全ての国で迫害対象にならない種族だ。その理由はいろいろ有るのだが割愛する。



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