第9話
中世のヨーロッパの街並みを綺麗に(ウンコが落ちていないなど)し、すこし近代的な物を入れた街並み。それが黎雅の来た異世界【ウィルカーナ】の一般的な街だ。
今回黎雅が訪れたのは【スカルハ】という名の街で、ハーフェン王国のスカルハ子爵が治めるスカルハ子爵領最大の街であり子爵の本宅のある場所だ。
スカルハ子爵の評判はかなり良い。税の大部分を街や村での公共施設の運営や、医療費の一定年齢までの無償化、モンスターの被害があった際は自ら兵を率いて討伐する等、民をかなり大切にする人物と言われている。しかし、一部の貴族からは嫌悪されている。
「おー、そこ行くイケメンのニーチャン!オークの串肉はどうだ?」
黎雅が冒険者ギルドに行くため大通りを歩いているとオッサンが声を掛けてきた。黎雅はスマホで音楽を聴いているのでまったく気づいていない。ちなみにスマホは音楽を聴くためだけに創造した。もちろんイヤホンも創っている。無駄な能力の使い方だ。余談だが、聴いているのはE〇OI〇Tの【〇前の〇い〇物】だ。
「ふう、やっと着いたか」
冒険者ギルドの前で黎雅は呟いた。そして、一歩を踏み出す。まだ見ぬテンプレを期待して。




