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現代が舞台の短編小説

小説家になろうでまず大切なことは何か――それは「パスワード管理」である!

作者: Aska




 それは、本当に何でもない日に突然起こったことだ。どうして起こってしまったのか、本当の原因はなんだったのか、未だに詳しくはわからない。それでも、間違いなくあの目の前が真っ暗になった日々は、……本当に辛かったことだけはわかる。胃痛と、なかなか眠れない日々を過ごした数日間は、今でも鮮明に思い出せるほどである。


 世界的には何の変哲もない事象。己が生きる上でだって、必要不可欠という訳ではない。それでもこれは、「小説家になろう」で投稿しているとある一人の作者にとって、とんでもない事件であったことは間違いない。このエッセイは、そんな一人のうっかり作者に起こった突然の暗黒期と、一筋の奇跡が呼び起こした顛末を綴った、もしかしたら起こり得るかもしれないお話である。



「……よし、切りのいいところまで話が書けた」


 自宅のパソコンの前に座って、いつものようにキーボードを叩いていた一人の人物。その人物は、ここ「小説家になろう」で拙いながらも小説を書いている作者である。仮の名前として「うっかり」からとって、某絵本の主人公の名前にしようかと思ったが、ここは元祖時代劇にならって普通に「ハチ」でいいだろう。


 ハチは、たった今できた文をコピーして、次話投稿に入れる。まだ途中だが、明日にまた編集しようと思い、適当に予約投稿をしておいたのだ。そして、また明日も早いため、早々に眠りについたのであった。


 それからいつも通りの日常を終え、さぁなろうに入ろうと椅子に座ったハチは、これまたいつも通りログインボタンを押した。自動的にログインされるように設定しているため、面倒な設定を毎回打ち込む必要はない。そんな親切な文明の機器に、いつもハチは頼り切っていた。


 だから、ログインを押したにも関わらず、いつものページにとばなかったことに驚いた。目の前には、IDとパスワードを入力する画面が映る。これはログイン画面じゃないか、と突然のことにハチは目を見開いた。


「……まぁ、でも。コンピューターが覚えてくれているだろう」


 驚きはしたが、ハチの心はすぐに落ち着きを取り戻した。前にも一度同じことがあったが、その時は自分のID番号を打ち込めば、パスワードも一緒に出てくることを知っていたからだ。これをCookie(クッキー)と言い、パソコンが自動的にユーザ情報を記録していてくれる大変便利な機能である。ハチはこの機能に、いつもお世話になっている人物であった。


 故に、ハチはなんでもないように己のID番号をパソコンに打ち込んだ。こうすれば、IDを打った下に、パスワードが自動的に出てきてくれるのである。そうしてEnterキーを押して、画面に顔を向けたハチの表情は、――初めて強張った。


「……えっ」


 IDを打ち込んでも、パスワードが出てこない。その事実に呆然とし、次に背中に冷たいものを感じた。慌ててIDが間違っているんじゃないか、とマイページの方にとび、ID番号を確認する。


「やっぱり、間違っていない」


 それでも、もしかしたらとマイページのIDをコピーし、改めてログイン画面に張り付けた。しかし、パスワードは一向に出てくることはない。それに、本格的にハチは焦った。嘘だろ、と頭が真っ白になったのだ。


 あとでハチが知ったことだが、便利ツール『Cookie』には、記録の期限というものがあるらしい。自分で記録を消すこともできるが、ハチはツールを弄った覚えはない。もしかしたら、この日がたまたま『Cookie』の期限切れの日となってしまったのだろうか。いくら考えても、ハチにはその答えがわからなかった。


 とにかく、わかっていることは一つだけ。パスワードがなければ、ユーザページに入ることはできない。ハチはパソコンの中や、携帯電話を取り出し、昔のメモ帳を必死に探した。確か「小説家になろう」用のメモを、数年前に記録していたことを思い出したからだ。何分ずっとパソコンの機能に頼り切りだったため、パスワードなんて全く覚えていなかった。


 そうして探し当てたメモに載っていたのは、「小説家になろう」に登録していたメールアドレスだけであった。肝心のパスワードがメモされていないことに、自分の適当さを痛感する。思えば、ここに登録したのはもうずっと前だ。そして、自分のユーザページから、今使っているパスワードを閲覧することはできなかったはず。ユーザ情報にアドレスは載っていても、現在のパスワードは載っていない。そのため、メモにはアドレスしか載っていなかったのだ。


 しかし、このアドレスを見つけられたことにハチは安堵の息を吐く。「小説家になろう」には、パスワードを忘れた人のための救済処置がちゃんとあるのだ。登録しているアドレスを知っていれば、パスワードを変更することができる。ヘルプの「ログイン」のところに、詳しく載っていることである。


 ハチはすぐに自分のアドレスを「パスワードの再発行」のページにコピーし、Enterを押した。しかし送ってから、ふと気づく。その気づいた事実に、思わず声がかすれてしまった。


「……そういえば、携帯のメールアドレスを変えたんだった」


 「小説家になろう」に登録しているアドレスと、今使用しているアドレスが違うことにハチは気づいたのだ。つまりどんなに待ったって、パスワード変更の通知が手元に来ることはない。


 パスワードがない。登録したアドレスも使えない。他にメモをしたものがないか必死に探したが、今使っているパソコンにも、携帯にも、手帳にもどこにもなかった。とにかく思いつく限りのパスワードを打ち込んでみるが、何度もエラーを出してしまう。


 ログイン画面は、パスワード入力を何回か失敗すると十分間ほどロックされるシステムになっている。打ち込んでは失敗し、ただ待つしかない時間を繰り返す。ハチはじくじくしだした胃の痛みと一緒に、最悪を想像した。



 ……もしかして、もうここで小説が書けない?



 ハチは画面の前で、無言で頭を抱えた。小説の投稿サイトなら、このネットの海にいくらでもあると言えるだろう。だけど、ハチは長年ここを愛用していた。作品数の多さ、作品の読みやすさ、そして作者としての投稿のしやすさが好きだった。勢いで始めた投稿であったが、応援してくれる読者にいつも救われていた。感想や評価に喜び、時には戒め、次はどんな話を書こうかと胸を膨らませてきたのだ。


 趣味で始めた小説だが、ハチにとっては大切な場所の一つであった。日常の一部であったのだ。ネットと言う画面越しだが、それでもそこはハチにとっては一つの世界。そして使ってきたアカウントには、今までの自分が辿ってきたものが全てある。更新を楽しみにしていたブックマーク、面白いと思った小説に入れた評価、今まで書いてきた作品、何気なく書いた活動報告、そしてこんな自分を応援してくれていた読者からのメッセージや感想。


 その全てに、一瞬で手が届かなくなったのだ。



「……そうだ、運営側に連絡を取れば」


 ヘルプには、メールアドレスとパスワードの両方を忘れた場合、パスワードを再発行することができないと記載されている。その場合は、新たにユーザ登録をすることが決まっていた。しかし今回の場合は、パスワードはないが、アドレスなら手元にある。もしかしたら、登録したパスワードがわかるかもしれない。


 今回の件は、自分の怠慢が犯したこと。ちゃんとパスワードをメモしておけばよかった。アドレスを変えたのなら、ちゃんとユーザ情報を書き換えておくべきだった。自業自得でしかない出来事。後悔は止めどなく押し寄せる。


 しかし、ハチはどうしても諦めきれなかったのだ。新しいユーザ登録をする可能性の方が高いだろう。運営側が、成りすましなどを危惧するのは当然だ。新しいアカウントを作る方が安心安全だし、新規だがハチもまた小説を書くことならできる。


 それでも、今までの繋がりは全て断ち切られるだろう。ハチは、一縷の可能性に賭けたかった。


「質問版は……、あぁ、ユーザ登録がないと使えない。こういう場合って、どうやって運営と連絡を取ればいいんだろう」


 ネットで運営側へのコンタクトの取り方を調べたり、ダメもとで教えてもらいながら、ハチはついに見つけ出すことができた。今までハチは気づかなかったが、運営へのお問い合わせは、小説家になろうのどのページの下部にもついていたのだ。一番下までスクロールすることがなかったので、今まで存在も知らなかった。


 しかもありがたいことに、お問い合わせには、自分のメールアドレスを記載しておくと返信が返ってくるようだ。これなら、ユーザ登録がなくても運営側とコンタクトを取ることができる。ハチは運営に向けて、逸る心を抑えながらメッセージを送った。



「お忙しい中、まことに申し訳ありません。いつも小説家になろうを使わせていただき、本当にありがとう――」


 ハチは誤字脱字がないか一語ずつ確認しながら、慎重にタイピングをした。思えば、「小説家になろう」に長年お世話になっているが、このように直接運営とやり取りなどしたことがない。緊張と不安でいっぱいになりながらも、ハチは時間をかけて内容を書きあげた。


 そこには、ログインができなくなった状況と、半角などの間違いはなく試せる方法は全て試したことと、登録したアドレスは持っているが繋がらないこと、それらをハチは全て書ききり、送信をクリックした。それに大きな安堵の息を吐き、身体を椅子に倒した。


「……まずは、運営側からの連絡を待とう」


 身体に感じる重さから、気力や精神の疲れを感じる。パスワード探しをしたいが、今はそんな元気が出なかった。もう夜も遅い。ハチはベッドに身体を倒し、胃がどことなくキリキリしながらも無理やり目を閉じた。




******




「これも違うか…」


 次の日も、時間を見つけてはハチは何度もログイン画面に突撃した。ハチは昔っからうっかり屋な性格なのを知っているため、こういったパスワードは決して適当に決めないようにしている。故にこのパスワードも、何かしらの法則性や、絶対に忘れないような何かにしているはずなのだ。


 それを希望に、ハチは様々な数字やローマ字を打ち込んでいった。しかし、どれもヒットすることはない。もう何度目かわからない溜息と胃痛に、ハチの気力はどんどん削られていった。


 その時、ポケットに入れていた携帯が突如振動する。ハチは急いで着信された内容に目を向けると、そこには待ち望んでいた運営からの返信があった。ごくり、と唾を飲み込みながら、ハチは意を決してメールの画面を開いた。


「――あぁ、やっぱり」


 ハチの口から漏れたのは、そんな言葉だった。自分が行っていたことが、ただの悪あがきであると心のどこかでわかっていたのだ。思わず浮かんでしまった乾いた笑みに、ハチのパスワードを探す手は止まった。


 メールアドレスが利用できない場合は、本人確認が不十分であるため再発行の手続きはできない。当然だろうと、わかっていたことである。丁寧な文と一緒に、ログイン情報を伝えられない理由がそこには書かれていた。読んだハチの胸中に浮かんだのは、こんな自業自得な件に対応してくれた運営側への感謝と、ぽっかりとした虚無感と、応援してくれていた読者への申し訳なさだった。


 返信文を読んだことで、ハチの心にようやく『諦め』が芽生えてきたのだ。



「これって、完全に新規で活動することになるのかな。せめて今まで読んでくれていた人に、新しいアカウントのことは伝えたい」


 ハチは少しずつ、思考を切り替えていった。パスワード探しは、今後も時間がある限り続けるだろう。だけどそれに囚われ嘆き続けたって、現実は変わらない。


 自分はまだ小説を書きたい。その原動力があれば、きっとやれるはずだと思った。誰だって、最初はゼロからのスタートだったのだ。すごろくに例えるなら、進んでいた先で『振り出しに戻る』のマスに止まってしまい、ハチはどん底まで落ち込んだ。だけど、それまでのすごろくの道中(執筆)で得てきたお金や人生(経験)はちゃんと手元に残っている。全てをなくした訳じゃない。


 自分の作品をブックマークしてくれていた人や、感想をくれた人たちに、きっと呆れられるだろうし、失望だってされるかもしれない。それは仕方がないことだ。それでも、ふて腐れて投げ捨てたくはないとハチは思った。ログインできない中、ふと覗いたマイページに、新しい感想が書かれていたのだ。それを返したいのに、返信することができない現状。このまま捨てて、いいわけがない。


 何より、ハチには一つ、絶対これはちゃんと知らせた方がいいと思うことがあったのだ。


「……確か、書きかけの作品を予約投稿しちゃっているんだよな」


 今から数十日後に適当に予約投稿してしまっていた、編集中の小説。今まで普通に読んでいたのに、いきなり書きかけの小説がアップされるのだ。当然読者は驚くだろう。感想などでもし指摘されても、延々と返ってこない反応と続きの書かれない小説。


 未完なら良くはないが、まだ読者の精神は多少下がるぐらいだろう。だけど、これはやばい。もう「パスワード忘れました」と全力で言っているようなものだ。もしかしたら、「作者がご臨終?」とか余計な心配をおかけしてしまうかもしれない。さすがにこれは、居た堪れなさすぎる。黒歴史どころじゃない。


 故にハチは、その適当に予約投稿してしまった日までに、新アカウントを作り、出来る限り周知しなくてはならない。そのように意識を、嘆きからなんとか切り替えることに成功したのだ。そんな微妙な方向に前向きになれたハチは、次に自分がやるべきことを考え、行動したのであった。



 まずハチが行ったのは、確認作業である。「小説家になろう」でわからないことは、ここをまとめ、ルールを定めている運営側に伺うことが一番である。ハチは新しいお問い合わせのページを開くと、三、四つほど再び質問をして、送信をした。昨日よりも幾分か、気持ちは落ち着いていた。


 それから数日後、届いたメールには全ての質問に対して、一つひとつ丁寧な返事が返ってきた。ハチはもう、その内容に頭が上がらない気持ちでいっぱいである。(ここでその内容を詳しく書くことは、皆様に誤解を与えてしまうかもしれないため記載はしません。なので、もし今回のエッセイのように運営側の判断が必要な場合は、個別で質問された方がいいと思います)


 そうして、返信の内容を読んだハチは、新規のアカウントを取る時の注意点や、作品の再掲載方法などを知ることができた。あとはログイン画面へ行き、新しいメールアドレスで登録して、パスワードを入力すればいい。そして、新しいIDを受け取るだけである。


 ここまで来るまでにも、数日の時間を要した。気持ちの整理は粗方済んでいるが、それでも後悔の念は今でも定期的に胃痛となって襲いかかってくる。今だって、諦めきれない気持ちが日に何度も、ログイン画面へハチを誘う。更新を楽しみにしていた作品があがっても、見る元気すらも湧かなかった。たぶん、しばらくは筆を執ることもできないだろう。それでも、いつかは作品をまた書こうとハチは思う。


 次に新しいアカウントを手に入れたら、パスワードは絶対忘れないようにしよう。パソコンにも、携帯にも、紙にも、たくさんメモしておこう。アドレスを変えたら、必ず面倒がらずに書き換えよう。いつかやろう、じゃ駄目なのだ。そんな気持ちが、今のハチの現状を作り出した。大切なのは、気づいたその時にやることなのだから。



「えっと、まずはアドレスを登録するんだったかな」


 ここ毎日開けていたログイン画面を開き、「新規ユーザ登録」をハチはクリックした。すると、メール認証用の画面が開かれる。ハチは間違いがない様に、書かれている注意事項をもう一度全て読み直すことにした。


「……そういえば、メールを送ったらすぐに本登録にはならなかったんだよな。『小説家になろう』から送信メールが来るから、そこから本登録を――」


 注意事項を読んでいたハチの言葉が、途中で途切れる。何かに気づいたように、か細い声がハチの口から突如零れた。この注意事項を読んだことで、一つ重大なことを思い出したのだ。数年前に初めてここで本登録をした時も、今やろうとしたことと同じ動作をした。なので、パソコンで入力した通りに本登録用のメールは、その当時契約していた古い携帯電話のアドレスに送られたのだ。


 もし、もしもである。その数年前に本登録するために使った昔の携帯電話に、「小説家になろう」でユーザ登録を手続きした時の記録が残っていたら。もし、その古い携帯に自分がもしものためにパスワードをメモしていたとしたら。


 そのもしもは、ハチにとって最後の希望となった。おそらくその携帯電話を見つけられなかったら、見つけてもそこに何も残っていなかったら、もうもともと使っていたIDは諦めるしか道はない。だけど、確率は決して低くはない。探すだけの価値はある。ハチはログイン画面から離れ、昔の携帯電話を探すために何時間も部屋の中を探し回った。


 そうして探し出した末に、ついに棚の奥の方から、分厚い数年前のモデルデザインされた携帯電話をハチは見つけ出すことができたのだ。当然充電は切れていたので、心臓を抑えながらハチは充電器と繋げる。もう何年と使っていなかったが、携帯の方に異常はないようだ。


 ある程度の充電を確認すると、ハチは急いで受信や送信メール欄、メモ帳などをチェックした。疑わしい数字やアルファベットがいくつかあり、それに悩んでいたハチの目に、見慣れたID番号が突如目に入った。そのメモを開くとそこには、登録に使っていた当時のメールアドレスと――


「……あっ」


 ――パスワードがあった。



 ハチはすぐさまログイン画面を開き、ID番号とパスワードを入力する。ドキドキと早鐘を打つ心臓の音に、短いはずの読み込みの時間がとても長く感じられた。そして、次にハチが見たのは、ここ数日見続けていたエラー画面ではなく、ほんの数日前まで当たり前のように眺めていたユーザページに繋がったのであった。


「あ、あぁ……」


 『更新チェック中の小説』の上にある、感想を知らせてくれるメッセージ。書きかけだった小説の投稿ページ。ページに入れなかった間に更新されていた、楽しみにしていた小説。たった数日。されど数日。もう二度と入ることが叶わなかったかもしれない場所へ、ハチは帰って来れたことをようやく実感したのであった。


 思わず、涙が出そうになる。ユーザページを眺めながら、ハチはしばらく放心してしまった。それでも次第に現実が追いついてくると、ハチはすぐさまユーザ情報の編集を行った。メールアドレス変更の画面にとび、アドレスを書き換える。次に『Cookie』を再設定し、パスワードをしっかりメモしておいた。パソコンだけでなく、手帳や携帯などにも記載する。ここまでやって、ハチはようやく落ち着くことができたのであった。


 そして、返信することができなかった感想欄に行き、心の中で感謝とお詫びを感じながら返信をする。書きかけだった小説の予約時間をずらし、続きを執筆した。それから、運営側へお詫びのメッセージを届けたのだ。必死に縋りついた小さな希望が、ハチの道を照らしてくれたのであった。




 話にしてしまえば、「なんだそんなことか」と思うことかもしれない。人によっては、くだらない内容なのかもしれない。今となっては、あの暗黒期はハチにとっては笑い話にできることだ。次は気を付けようと経験になり、教訓となった。しかし、パスワードを忘れたショックはこれから先も忘れないだろう。もしあの時、パスワードの在り処を思い出せなかったら、きっと新しいアカウントを作り、ずっと心の中で後悔し続けていたことであろう。


 ハチはこれからも今まで通り、「小説家になろう」で拙いながらも小説を書き、読者の反応に一喜一憂し、読みたい作品にブックマークをして楽しむ日常に戻れた。しかしもしかしたら、そんな日々から突如切り離される人だっているかもしれない。


 今回このエッセイを書いたのは、そんな方が少しでも減ってくれたらという思いから、書かせていただきました。何を当たり前のことを書いているんだ、と思われて当然でしょう。うっかり屋と一緒にするな、と言う方もいらっしゃることでしょう。それが普通のことであろうとも思います。


 それでも、もしこれを読んだことで一人でも、これからも「小説家になろう」を楽しんで利用できる方がいてくれたらいい。そんな思いです。



 最後に、ここまで読んで下さった方へ。あなたはパスワード管理ができていますか?


 もし、――明日突然『Cookie』の期限が切れて、ログイン画面になっても対処できますか? アドレスはちゃんと利用できるものを登録していますか? 明日突然いつも使っているパソコンやスマホや携帯が壊れてデータがとんでしまっても、ちゃんとユーザページに入れる自信はありますか? 今は自信があっても、数年後の自分はちゃんと管理できていそうですか?


 皆様がこれからも、「小説家になろう」で生き生きと活動できますように。読んでくださり、ありがとうございました。

 


※パスワード管理に関するエッセイの投稿に関して、運営様より許可をいただいています。しかし、詳しい内容についての記載はできませんので、ご了承をお願いします。

今回のエッセイでの運営側の対応は、あくまでも数ある一つの案件に対する返信に過ぎません。もしパスワードなどを紛失した場合は、ヘルプやお問い合わせにアクセスすることをおすすめします。

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― 新着の感想 ―
[一言] あのAskaさん投稿再開したの!?って思ったら昔のエッセイがランキングに上がっただけか……
[良い点] 確かにユーザーページにいけなくなったら恐怖ですよね。パスワード管理は大切だと思いしりました。 パスワードを見つけログインし戻ってきたシーンは思わず感動しましたね。(´・ω・`)
2021/01/08 15:17 退会済み
管理
[一言] ハラハラしました〜。 面白かったです! どんなホラーより怖かったです( ^ω^ )
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