表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

登校

 アマニタ・ヴィロサは朝から急いでいた。

「うー、やばいやばい」

 山岳学園の制服に身を包み、ヴィロサはパンを口にくわえながら街中を走る。

「遅刻しちゃう」

 現在八時。山岳学園までは、ここから二十分かかる。

 肩まであるキレイな白髪を乱し、ヴィロサは必死に走った。

 走ってもギリギリ間に合うかどうかだった。

 ヴィロサは目の前のT字路を右に曲がる。

「って、嘘!」

 曲がった先で道路工事をしていた。迂回路の看板が置いてあり、ヴィロサはそれを見る。

「ちょっと! こんな遠回りしていたら遅刻しちゃうじゃない!」

 遅刻決定。

 ヴィロサの脳裏にその四文字が浮かぶ。

「これはまずい」

 ヴィロサは看板の前で、パンを食べながら途方に暮れた。

 今日の一時間目は、遅刻者にバケツを持たせて廊下に立たせる先生だ。

 絶対に遅刻するわけにはいかない。

 ヴィロサはパンを全て食べ、ごっくんと飲み込んだ。

「……しかたない」

 ヴィロサは道を引き返すと、少し前にあった狭い路地の前に立った。

 ビルに挟まれた暗く湿った路地で、路地の中には誰もいない。

 ヴィロサはキョロキョロと周りを見回し、誰も来ないことを確認した。

「……よし」

 ヴィロサはこそこそと路地に入って行く。その数秒後、路地からバフンと砂煙が出てきた。

 そして、路地から空に向かって何かが飛び出てくる。

 それは、ヴィロサだった。 大きなつばの帽子をかぶり、肩丸出しのワンピースでホウキに乗り、空を飛んでいた。

 さっきまで着ていた制服とはまるで違う。

 制服のスカート丈は膝上だったが、ワンピースのスカートは脛まであり、ジグザグとボロボロを交互に段々としたデザインで、大きく広がっている。全身白で統一され、靴まで白のブーツに変わっていた。

 そして、何より違うのは、背中に生える大きな翼。真っ白でキレイな対の翼が、ヴィロサの背中に現れていた。

「さあ! いっきに行くぞ!」

 ヴィロサはそう叫び、風を切りながら学園に向け、飛んで行く。

 一瞬の変身。

 空飛ぶホウキ。

 ヴィロサは魔法が使える魔法娘だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ