風呂場
俺のアパートはユニットバスなんだ。
ある日、風呂に入って頭を洗っていたときの事。”コンコン”と風呂のドアをノックされた。
妹かと思い 「入ってるよ」 と言ったが返事が無い。気のせいかと思って、また洗い始めると“コンコン”とまたノック。
仕方ないので 「なんだよ」と聞く、これにも返事は返って来ない。いい加減腹が立ち無視する事にした。すると“コンコン…… ドンドン……” とだんだん音が大きくなって行く、最後には風呂が振動するぐらい大きな音だった。
「な、なんだよぉ」
俺は恐くなり急いでシャンプーを落として、シャワーを止めたら同時にノックがやんだ。
恐る恐るドアの方に目をやると、人が居る気配が無い。意を決してドアを開けたら、やはり誰も居なかった。そう言えば今は実家を出て一人暮らしを始めたばかりなのを思い出した。そう妹は此処には居ないんだよ。
「じゃあ誰?」
考えても解らない。俺は何かと聞き間違えたのだと無理やり思い込むことにした。
そして気を取り直して、風呂に戻って身体を洗い直そうと、ふと鏡を見ると知らない女が俺の背中に負ぶさって、俺を睨んでいるのが映っていた。