ドM勇者VSオネエ大魔王
平和を約束されたはずの世界。
ところが、一年前突如現れた大魔王『イ=ヤーン』によって、この世界は魔物だらけの危険な世界と化した。
このままではいけない。
大魔王を倒す者と言えば、勇者だ。
そう思ったサディス王国の女王は、兵士に命令した。
「この世界で一番強い者を今日中にここに呼べ!」
短い時間で兵士が見つけたのは、赤マントの一見強そうな男マッゾ。
しかし、この男は玩具の剣をぶらさげた、ただの勇者ごっこの馬鹿であった。
そのことにはまだ誰も気づいていない。
女王は期待し、勇者マッゾを呼び出した――――
「選ばれし勇者マッゾは何処だ」
女王サディは玉座から立ち上がって辺りを見回す。
呼び出したはずの勇者マッゾが来ない。
「返事がない……だと?」
サディはため息をついて玉座に座りなおす。
すると、
「は~い僕はここですけど何ですかあ?」
玉座の後ろから赤マントの男が現れた。
「ど、どこから出てくるのだ貴様!」
サディは耐えられずに腰についている鞭でマッゾを打つ。
だが、マッゾの顔は笑っている。
「痛ぁ~いですよぉ。なんてことするんですかぁ。僕は勇者なんですよぉ」
「貴様が勇者だと? 嘘をつくのもいい加減にしろ!」
二度目の鞭の攻撃。
「いたいですってぇ」
三度目、四度目。
それでもマッゾの口は笑みに歪んでいる。
「いやぁ、勇者マッゾって僕のことですよねぇ。どうしてこんなに殴られないといけないのですかぁ」
「誰が信じるか!」
鞭の攻撃が繰り返される中、兵士が女王に近付く。
「女王様、その者は確かに勇者マッゾです」
「なんだと!?」
驚いたサディは攻撃を止める。
「そうそう。人を見た目で決めつけちゃいけないんですよぉ」
「ちっ……」
舌打ちする女王の前で、マッゾは得意げな顔で立っている。
「早く大魔王を倒して来い! お前みたいな奴見るだけで吐き気がする!」
「吐き気ぇ? でも女王様の顔青白くないですよぉ」
「黙れ!」
また鞭が振り下ろされる。
マッゾは避けようともしない。
「だって、呼び出したの女王様じゃないですかぁ」
「うるさーい! さっさと行けぇーっ!」
鞭の強力な一撃を受けてマッゾは渋々城を出る。
「なんなんですかぁ。僕よりあの女王様の方が強いじゃないですかぁ」
マッゾは一人で呟いて王国を出る。
「だいだい、大魔王イヤーンってどこにいるんですかぁ?あ、イ=ヤーンでしたねぇ」
王国の外には美しい緑の草原が広がっている。
魔物が出ると言われているはずなのに、今は一体も見当たらない。
おかしい日もあるものだ。
「魔王さぁ~んどこで~すかぁ~!!」
マッゾが叫ぶ。
「あらぁ、アタシを呼んだかしら?」
どこからか声が聞こえた。
「ええ~!イヤーンもう出てきちゃっていいんですかぁ?普通僕のレベルアップの時間ぐらいくれたっていいじゃないですかぁ」
「レベルアップ?なによ、それ?」
マッゾが後ろを振り向くと、筋肉ムキムキの魔王が立っている。
よく見ると、ピンクの水玉のズボンをはき、首にピンクのリボンを結んでいる。
「まあいいですよぉ。僕は勇者ですからぁ、これから大魔王さん倒しますよぉ。あ、カメラ回ってるんですかねぇ? 僕の雄姿をしっかり映して欲しいですからねぇ」
そう言ってマッゾは自分の左右を確認する。
もちろん、カメラはない。
「ふざけないでちょうだい。この世界はアタシのものよ。明日から真っピンクに染めようと思っていたのに、アンタなんなの? 邪魔はさせないわ」
「じゃあ、仕方ありませんねぇ」
マッゾが玩具の剣を構える。
これは当たっても痛くない。
「いきますよぉ!」
マッゾが走る。
魔王は動かずマッゾを見つめる。
「えぇ~い!」
剣が魔王の腹に当たる。
それと同時にマッゾの腕が魔王の足にぶつかる。
「いや~ん触んないでよ! スケベ!」
悲鳴をあげた魔王がマッゾにビンタをする。
鈍い音と共に、マッゾは吹っ飛ぶ。
「あははぁ~なんか変な気分ですよぉ」
「変態! キモス!」
「いやぁ、変態は魔王さんも十分当てはまりますよぉ」
この言葉が魔王の逆鱗に触れた。
「最低! このアタシを変態呼ばわりするなんて!」
「だって本当のことじゃないですかぁ」
「ひどおい!」
魔王が指から雷を放つ。
マッゾは真っ黒になった。
「あぁ、この雷気持ちいいなぁ。あれ、意識が……」
そして、世界はドピンクに染まった。
変態VS変態の対決です。
文とストーリーが適当ですみませんでしたorz
アドバイスがあればよろしくお願いします。