もう全力限界ネタない魔王討伐です
広場の中心、夕暮れの光が石畳をオレンジ色に染める。
ガチムパーティは今日も街の守護者として子どもたちと市民の笑顔を見守っていた。
ギルド長が走ってくる。
「……おい大変だ、諸君。魔王が来る! 隣国も応援に駆けつけるらしい! だが勝ち目は薄いぞ!」
ガチムは胸を叩き、冷静に答える。
「筋肉は整っている。準備万端だ」
アイラは杖を手に取り、触感を確かめながら頷く。
「魔法も、布の滑らかさも完璧ね」
ヒンヤリは腕を広げて空気を測る。
「温度、湿度とも安定。街全体が戦場になっても問題なし」
ペルペチュアは耳を押さえてリズムを確認する。
「音も乱れなし……戦闘前の心地よい緊張感」
ヌルはイッヌの耳裏に鼻を押し付け、匂いを解析しながらうなずく。
「整っている……最高の状態だ。敵の匂いもこれで翻弄できる」
子どもたちは石畳に座り、五人のパーティを真似して胸を叩き、耳裏を嗅ぎ、杖を撫で、空気を整え、リズムを刻む。
イッヌも尻尾をぶんぶん振って「ばう! ばう!」と応戦。
その時、魔王が現れた。黒い甲冑が夕日に反射し、周囲の空気が凍りつく。
戦闘が始まる。
弟子①は胸を叩き、ガチムの筋肉波動を補助。衝撃の衝突点で小さな振動を拾い、魔王の足元の地面を微かに揺らす。
「お、俺の筋肉不屈の6枚が光る!」
弟子②は杖を撫で、アイラの触感魔法を増幅。魔力の膜が魔王の剣に絡みつき、刃を微かに逸らす。
「すべすべ……これで床!」
弟子③は腕を広げ、ヒンヤリの環境制御を補助。湿度と温度の微調整を行い、魔王の暗黒波動を受け流す。
「暑くても寒くても集中!だって女の子だもん!」
弟子④はリズムを刻み、ペルペチュアの音フェチ能力を支援。微細な音の振動で魔王の動作タイミングを乱す。
「ポキポキ……私も音を操る!」
弟子⑤はポキポキ担当。関節の鳴る振動がペルペチュアの能力をさらに増幅し、戦場全体の微細な変化を捕らえやすくする。
「ポキッ……きっもちぃーエア抜けるぅ!」
ガチムは胸を叩き、筋肉波動を最大に放つ。
次の瞬間。
双眼鏡で観察していたヴェインが鼻血を吹き出す。
「しゅごい血管!!」
イッヌとヌルは匂いを嗅ぎ分け、魔王の弱点を逐一指示。
全員の連携が戦場を満たし、魔王は大剣を振るう力を失い、膝をつく。
魔王は倒れ、最後に口を開く。
「………オッパッピー」
ふざけた言葉を残し膝をつく。
「私を倒したとて…」
「だいに…だいさんの…オッパッピーは生まれる……プベラァアァァ!」と叫び
魔王は砂のように風に散った。
街に光が戻り、パーティと弟子たち、子どもたちは互いに笑い、手を叩く。
「魔王ざこーいww」
「くさはえるww」
イッヌは尻尾をぶんぶん振り吠えながら跳ねる、子どもたちも「ばう! ばう!」と真似して跳ね勝利を祝う。
後日、この戦いは伝説として称えられ、ガチムパーティを元にした五つの冒険者学校が建設されることとなる。
筋肉
匂い
触感
音
温度、湿度
の謎の学校が。
これがのちに普通の冒険者の基準となった。
夕陽の中、ガチムパーティは肩を並べて最後の言葉を吐いた。
ガチム:「筋肉の筋肉よる筋肉の世界!」
アイラ:「魔王のマント。触感最高お持ち帰りぃ!」
ヒンヤリ:「湿度も安定。乾燥剤はいらないわ!」
ペルペチュア:「魔王の骨折ってどんな音!」
ヌル:「匂いも整った……全員、ジャスミンの香りだ」
イッヌ:「ばう! ばう!」
弟子たちも肩を揃えて胸を叩き、杖を撫で、空気を整え、ポキポキとリズムを刻む。
「これが……普通の冒険者の力!」
街には笑い声と歓声が響き渡り、夕陽が彼らを照らす。
こうして、ガチムパーティと弟子たちは、新たな伝説の幕を完全に閉じたのだった。
俺達の戦いは続く。
――完結
――――――――――
ここまで読んでくださったあなたへ。
この理由のわからない小説を、最後までお読みいただき本当にありがとうございます(笑)
筋肉が宇宙になり、触感が理論になり、匂いが戦術になり、音が世界を揺らし、湿度や温度で戦い、ポキポキが支援職になる物語に、途中でそっと画面を閉じなかったあなた。
そう、あなたです。
そんなあなたこそ――
真のフェチプレイヤーです。
自分の中の「これ、なんで好きなんだろう?」を大切にできる人は強い。
世界を救うのは勇者かもしれませんが、物語を最後まで見届けるのは読者です。
もしかしたら第二、第三のオッパッピーがどこかで生まれているかもしれません。
もしかしたらあなたの中にも、まだ目覚めていないフェチが眠っているかもしれません。
そのときは胸を叩いてください。
耳の裏を嗅いでください。
杖を撫でてください。
湿度を感じてください。
そして、できれば関節を一回鳴らしてください。
ポキッ。
それが合図です。
またどこかの街で、整った状態でお会いしましょう。
ばう!




