無視されました
森の奥、昼下がりの光が葉の間から差し込む。
アイラ・スベスベリアはふと、草むらの揺れに目を留める。
「……あれ、見て」
そこにはかつて森に返したヘビの魔物がいた。だが、以前とはまったく異なる姿。
細長い身体は螺旋状にたゆたい、胸から上は人間の女性の姿を帯び、腰から下は長い蛇の尾――ラミアとなっていた。
「……スベスベ……!」アイラは息を呑む。
「あなた……進化して……!」
ラミアは低く頭を傾け、しなやかに身体を揺らす。その動きは滑らかで、触れたらきっと忘れられない感触だと直感できる。
「……でも……危険信号は出てない?」ガチムが二の腕を叩きながら警戒する。
「匂いも……無臭、むしろ整ってる……」ヌルが鼻をヒクヒクさせる。
ヒンヤリは腕を広げ空気を測定。「温度も湿度も異常なし……でも、戦闘能力は未知」
ペルペチュアは耳を押さえて、微細な振動を拾う。「スリスリ音……攻撃意図は感じないわ」
アイラはしゃがみ、ラミアの手にそっと触れる。
「……スベスベ、あなた……仲間にならない?」
ラミアは小さく微笑むように唇を動かす。しなやかな尾がゆらりと振れる。
アイラの手は止まらない。指先で体をなで、腕をすり、背中も撫でる。
「触感……滑らか……最高……!」
「う、うーん、触りすぎじゃ……」ガチムは眉をひそめる。
「でも……逃げたりしないわよね?」アイラは目を輝かせ、ラミアに近づく。
しかし、ラミアはすばやく尾を巻き、スルッとアイラの手をすり抜けた。
「……えっ!」アイラは驚きの声を上げる。
ラミアは軽やかに体をひねり、茂みの奥へ滑るように去っていく。
「……あ、待って……!」アイラが追おうとするが、ガチムが腕を組み止める。
「……危なかったな。触りすぎて、逃したぞ」
ペルペチュアは耳を押さえ、微笑む。「音も乱れず逃げるなんて……なかなかの技術ね」
ヌルは鼻をヒクヒク。「匂いも消えた……完全に無視されたな」
ヒンヤリは冷静に頷く。「環境的には問題なかった……でも相手も賢いわね」
アイラは少しがっかりしながらも、手を胸に当てる。
「……仕方ないわね。次は絶対……触らせてくれる……!」
森には、かつて返した命が進化して再び現れた跡が残った。
触感フェチの情熱が空回りした瞬間でもあり、ラミアの成長と賢さが際立った再会であった。
素直にネタがない!(笑)




