名前決まりました
広場の一角。犬型魔獣は今日もパーティに付き添っていた。
ガチムは胸を叩きながら「そういえば……犬、名前あるのか?」と訊く。
「……ないわね」アイラがふと気づく。「じゃあ、ちゃんと名前をつけましょう」
「呼びやすくて、筋肉感あるのはマッチョ!」ガチムが即答。
「鼓動が整ってるから、トキトキ……」ペルペチュアが提案。
「温度や湿度の安定感なら、ヒエピタ」ヒンヤリ。
「匂いの層が美しい……クンクンだな」ヌルが鼻をひくつかせる。
犬は尻尾を振り、楽しそうに「ばう! ばう!」
「いや、マッチョじゃないでしょう!」アイラが眉をひそめる。
「でもトキトキも……」ペルペチュアが顔を押さえつつ反論。
「ヒエピタもクンクンも譲れない!」
押し問答が広場に響き渡る。通行人がちらりと見る。
議論は平行線のまま、誰も譲らない。
すると、街の子どもたちが駆け寄ってきた。
「イッヌだー! すっごいいい匂いー!」
「もふもふ~! 耳裏もすべすべだー!」
「ちょっと計っても? 温度完璧ー!」
「わあ! 鼓動もドキドキしてない!」
「やばい、かわいすぎ! イッヌ天才!」
犬は尻尾をぶんぶん振り、全力で喜ぶ。
「ばう! ばう!」
アイラは微笑み、ため息をつく。
「……まあ、これで決まりね」
ガチムも肩をすくめる。
「素直に呼んでくれるのが一番だ」
ヒンヤリは手をかざしながら微笑む。
「温度的にも問題なし」
ヌルは鼻をひくつかせてうなずく。
「匂い的にも整ってる」
ペルペチュアは耳をピクピクさせて喜ぶ。
「鼓動も楽しそうね」
こうして、子どもたちの素直でコミカルな呼び方で犬の名前はあっさり「イッヌ」に決まった。
今日も街の広場で、犬はパーティと子どもたちに囲まれ、尻尾を振りながら「ばう! ばう!」と喜んでいる。




