普通にソファに頬ずりしました
スタンピード翌日の夜。
アイラがソファから立ち上がるときよくヒンヤリが横にくる。「ちょっと……何してるの?」と軽くアイラが声をかけるが、ヒンヤリは気にせず無言で横にに立つ。
ヒンヤリ・サラサラは、アイラ立ち去った後のソファの横に腰を下ろしアイラの座っていた場所に手を乗せる。座面の沈みと微かな温もりが体に伝わり、ふぅ、と小さく息をつく。
ヒンヤリの目がソファに残るほんのりとした温もりを捉えた瞬間、彼女の頬が勝手に傾く。小さく息を吸い、そっとその温もりに顔を押し当てる――ふにゃ、と微かに笑みが浮かぶ。
その時、ペルペチュアが通りかかる。目を細めてヒンヤリを見つめる。
「ヒンヤリ……またやってるの?」
ヒンヤリは慌てて頬を離し、体を引く。
「ち、違う! これは……その、アイラのソファの温もりを……ちょっとだけ……」
ペルペチュアはくすくすと笑い、手を軽く振る。「ふーん……その温もり、私にはしないで。アイラには言わないから」
ヒンヤリは顔を赤らめながら、あわてて背を向ける。「すこしだけだから……!」
ペルペチュアは満足げに肩をすくめる。
「わかってる。でも、その音すこしじゃない」
森の焚き火の揺らめく光の下、ヒンヤリはまだソファの温もりを思い出し、心の中で小さく笑う。ペルペチュアもまた、後ろ姿を見守りつつ楽しそうにくすくすと笑った。
アイラはもちろん、その場に起こった小さな事件を知らない。ソファの温もりと二人のやり取りは、静かに夜に溶けていった。




