普通に宝箱みつけました
森の奥、古びた石造りの小屋の跡地で、パーティは立ち止まった。
前にあるのは、木製の古い宝箱。錆びた金具、ひびの入った蓋が年季を感じさせる。
「……よし、ここは俺の出番だな」
ガチム・キンニクスは胸を張り、肩の筋肉を盛大に揺らす。
「筋肉の力で開けてやる!」
ヒンヤリ・サラサラは手をかざして周囲の温度を確認する。「……冷えすぎてないわね、安全かも」
アイラ・スベスベリアは宝箱の表面を触る。「木の触感、滑らか……問題なし」
ペルペチュア・オトミミは耳を立て、蓋を叩く。「金属の音も悪くない……鍵も固すぎない」
ヌル・フェチオは鼻をひくつかせる。「匂いも怪しくない……整ってるな」
ガチムは大きく息を吸い込み、両手で蓋を握る。
「いくぞ……せぇの!」
バキッ!ギシッ!ボキッ!
木と金属が壊れる音が森に響き、ペルペチュアは思わず耳を押さえ、目を見開いた。
「……うっ、壊れる……この瞬間の音……最高……!」
ヒンヤリは眉をひそめる。「……落ち着いて、音が暴れすぎよ!」
アイラは小首をかしげ、「……なんでそんなに嬉しそうなの……」
ヌルは鼻をひくつかせ、蓋から漂う匂いを嗅ぐ。「……ああ、壊れた木と金属の混ざった匂い……果物みたいだな……まるで熟れた洋梨」
ガチムは胸を叩き、誇らしげに笑う。「筋肉の力、最高だろ! 宝箱の開け方も合理的だ!」
ペルペチュアは耳をピクピクさせ、壊れる音に合わせて小さく手を動かす。「……もっと、もっと鳴って……」
アイラは小袋の布を触りながら、「触感は無事……でも壊れる音が不思議に楽しい」
犬が駆け寄り、「ばう!ばう!」と尻尾を振りながら跳ね回る。
――そのとき、みんなのテンションが最高潮に達した瞬間、ヒンヤリがクールに言った。
「……みんな落ち着いて。部屋の温度が上昇中よ」
その一言に一瞬、パーティ全員が笑い、少しクールダウンしつつも余韻に浸る。
宝箱は単なる金銀財宝ではなく、筋肉の力、壊れる音の快感、触感、温度、匂い……五感すべてで楽しむ冒険の喜びとして、鮮やかに彼らに響いた。




