普通に告白されました
森の小道、焚き火の光が揺れる中、ペルペチュア・オトミミは耳を澄ませていた。軽やかな足音とともに吟遊詩人が現れ、肩から竪琴を下ろす。
「ペルペチュア、君の音感に感動した。あの時のアドバイス、忘れられなくて……この曲を君に捧げる。……それと、お願いだ。付き合ってほしい」
彼は弦を弾きながら、柔らかくも力強い歌声で告白した。ペルペチュアの耳には、小川のせせらぎと戦場の鼓動が混ざり合うように聴こえる。曲が終わると、吟遊詩人は期待に胸を膨らませ、彼女の目をじっと覗き込む。
「……あなた……」ペルペチュアは首をかしげ、ふっと笑った。「あなたの音……まるで子猫のアバンチュールねッ!」
吟遊詩人は一瞬固まり、唇がわずかに震えた。ペルペチュアは背を向け、そっと竪琴の弦をはじく。「私は君の音に感動したけど……ごめんなさい、付き合う気はないの」
森は静寂に包まれ、鳥の囀りだけが残る。吟遊詩人は肩を落とし、静かに頭を下げた。
数日後、パーティの焚き火のそばで、ペルペチュアはヒンヤリとアイラに向かって得意げに話し始めた。
「聞いて聞いて! 昨日、あの吟遊詩人が私に――演奏して、歌って、付き合って欲しいって言ってきたのよ」
ヒンヤリは眉をひそめる。「……はあ? 付き合って欲しいって……どういうこと?」
アイラも首をかしげる。「演奏して告白? 何がどうなってるの?」
ペルペチュアは小銭を指で弄るように手を振り、ドヤ顔で答える。「うん、私の音感に惚れたの。昔、私がちょっとアドバイスしたこと、覚えてくれてたみたいで――で、この曲を捧げて、付き合って欲しいって言ってきたの!」
ヒンヤリとアイラは首を傾げ、意味がよくわからない顔。
「……で、で、どうしたの?」ヒンヤリ。
ペルペチュアはにやりと笑う。「子猫のアバンチュールねッって断ったのよ!」
アイラは目を丸くする。「……子猫のアバンチュール?」
ヒンヤリも頭を抱える。「……なんで子猫?」
その場にいたガチムとヌルは肩を揺らして笑う。
ガチムが説明する。「つまりな、筋トレを極めたメスは、まだ経験不足なオスを相手にしない。簡単に言えば、弱いオスが強いメスに相手されないって例えだな」
ヌルも鼻をひくつかせながら笑う。「俺流に言えば、耳裏の匂いを嗅ぎ分けられないオスは、匂いが分かる達人のメスと一緒になれない……音も同じさ。分かるメスと分からないオスじゃ、相性が合わないってことだ」
ヒンヤリとアイラはますます混乱する。「……はあ? なんで音でそんなことに……」
ペルペチュアは両手を腰にあて、胸を張る。「いいの、要するにまだ経験不足な子猫の冒険! 可愛い子猫ってこと」
ヒンヤリが笑いながら理解した顔で言う。「なるほど……つまり、まだ未熟だけど、頑張ってるのが可愛い温度計ね」
アイラも目を輝かせ、拳を握る。「わかった……ワックスかけたばかりの床ね、馴染んでない!すごい……」
ガチムは肩を揺らしながら付け加える。「筋肉に名前がついてない。でもその未熟さが面白いってことだ」
ヌルも鼻をひくつかせ、笑う。「匂いも音もまだ学び途中……でも一緒にいると面白いってことだな」
森の中、焚き火の光に包まれ、女子3人は「すごい! すごい!」と声を揃えた。
「すごい! すごい!」ヒンヤリ
「すごい! すごい!」アイラ
「すごい! すごい!」ペルペチュア
犬も嬉しそうに「ばう!ばう!」と鳴き、尻尾を振りながら跳ね回る。森は不思議な高揚感に包まれ、音と匂いと笑いが混ざり合い、パーティの奇妙で愉快な日常が戻った。
補足
「アバンチュール」元々フランス語で 「冒険」や「冒険的な出来事」 を指します。日本語では文脈によってニュアンスが変わります。ざっくり分けると
恋愛・男女関係の文脈
「一時的な恋の冒険」「恋の小さな事件」みたいな意味で使われることが多いです。
例:短期間の恋や気軽な恋愛のドキドキ感を指すときに「子猫のアバンチュール」とか表現できます。
一般的な冒険・出来事の意味
恋愛以外でも「ちょっとした冒険」「小さなハプニング」くらいの意味で使われることもあります。
「子猫のアバンチュール」という表現は、
まだ経験が浅い小さな恋の冒険
可愛らしいドキドキやちょっとした事件
というニュアンスです。
ちなみに子猫アバンチュールは私が適当に作った造語なのでお気をつけ下さい(笑)




