普通に小銭じゃらじゃらしました
ペルペチュア・オトミミは焚き火のそばで小さな袋を逆さにし、小銭を落としては指先でかき混ぜた。
ちゃら、じゃら、きん――金属がぶつかり合う音が森に響く。
「……すごい」
ぽつりと呟き、また別の小銭をひとつ。
「ねえ、すごいでしょ?」
ヒンヤリは眉を寄せ、耳を押さえる。
「……はあ? 何が?」
ペルペチュアは目を大きく見開いた。
「え、すごくない?」
アイラも首をかしげる。
「……何がすごいの?」
ペルペチュアは小銭を弾くようにして、ちゃら、きん、と鋭く鳴らした。
「戦いの音!」
ヒンヤリは思わず後ろに下がる。
「……戦いの音? これが? なんでこんな……」
アイラは眉間に皺を寄せ、手を胸の前で組む。
「意味が……わからないわ。普通の音にしか……」
ペルペチュアは真剣な顔で小銭を指先で回転させた。
「ほら、間合いが詰まった瞬間の音とか、剣が擦れる音とか、全部ここにあるんだよ! 聴こえないの?」
ヒンヤリは耳を押さえ、目を泳がせる。
「……聴こえるけど……すごいの……?」
アイラも眉をひそめ、首をかしげる。
「……どうしてそんなに興奮してるの……?」
ヌルが鼻をひくつかせ、袋に近づく。
「……擦れる匂い、悪くない」
ガチムは胸筋を叩きつつ腕を組む。
「よき戦いの音だ!筋肉さえあればな」
そのとき、犬がぴょんと跳ねて、耳をピンと立てながら、ばう!ばう!と鳴き声をあげる。
小銭の音に合わせて尻尾を振り、森の中で小さな興奮を爆発させる。
ペルペチュアは無視して、また小銭を指で操る。
ちゃら、じゃら、きん。
ヒンヤリは目を丸くし、後ずさる。
「……どうしてみんな平然としてるの……」
アイラは目を泳がせながら呟く。
「……私だけ取り残されてる気分……」
森に響く小銭の音と犬の「ばう!ばう!」。パーティの中で2人の、困惑が渦巻く。
それでもペルペチュアは満足そうに笑い、小銭を弄り続ける。
「……戦いはまだ始まってないけど、私たちの耳はもう戦ってるんだよね」
ヒンヤリとアイラは顔を見合わせ、まだ半信半疑ながらも小声で頷いた。
「……なるほど、ちょっとすごいかも」ヒンヤリ。
「……確かに、すごい……」アイラも小さく感嘆する。
ペルペチュアはさらに小銭をじゃらじゃらさせながら満面の笑みを浮かべた。
「でしょ! でしょ! 聴こえるでしょ、戦いの音!」
ヒンヤリが笑顔で少し声を張る。
「すごい! すごい!」
アイラも顔を輝かせ、拳を軽く握る。
「ほんとに……すごい!」
ペルペチュアも両手で小銭を舞わせながら、大声で応える。
「すごい! すごい! まだまだ戦える!」
犬もまた、ぴょんと跳ねて尻尾を振り、ばう!ばう!と加勢する。
森の中、焚き火の揺れる光の下で、女子3人の「すごい!すごい!」コールと犬の「ばう!ばう!」が響き渡る。
ヒンヤリとアイラは顔を見合わせて笑い、ペルペチュアは誇らしげに小銭を弄る。
ヌルは鼻をひくつかせ、ガチムは筋肉を叩き、パーティ全体が不思議な高揚感に包まれた。
小銭と犬の音は単なる金属音や鳴き声ではなく、森の中に「戦いの喜び」として鮮やかに響いていた。




