MONTE
2019年。突如として世界各地の金融ネットワークが停止し、各国の経済は混乱に陥った。
東京の大手商社「桜川商事」も例外ではなく、国際取引の多くが停滞。とりわけ、資源国モンテからの戦略資源ニオブの調達プロジェクトは会社の命運を握るものとして最優先課題となっていた。
桜川商事は「プロジェクト・モンテ」と名付けられた特別チームを設置し、6人の社員を投入する。その一員に選ばれたのは、普段は地味な存在である専属翻訳家・如月零。彼女の役割は各国からの契約文書や交渉資料を翻訳し、意思疎通を支えることに過ぎないはずだった。
しかし、零の前に届いた取引データには、不可解な暗号の痕跡が潜んでいた。言語と数字を巧妙に組み合わせたそれは、会社内部の“ある人物”に向けられた隠されたメッセージであり、資源価格の異常な変動や契約条件の歪みに結びついていた。
翻訳家という立場でありながら、零の隠された才能――心理洞察と暗号解読が、次第に真相を暴く鍵となっていく。
だが、彼女の行く先には、桜川商事の内部に潜む最大の敵の影があった。
誰が敵で、誰が味方なのか――その境界は次第に揺らぎ、零自身すら疑念の渦に巻き込まれていく。
東京の大手商社「桜川商事」も例外ではなく、国際取引の多くが停滞。とりわけ、資源国モンテからの戦略資源ニオブの調達プロジェクトは会社の命運を握るものとして最優先課題となっていた。
桜川商事は「プロジェクト・モンテ」と名付けられた特別チームを設置し、6人の社員を投入する。その一員に選ばれたのは、普段は地味な存在である専属翻訳家・如月零。彼女の役割は各国からの契約文書や交渉資料を翻訳し、意思疎通を支えることに過ぎないはずだった。
しかし、零の前に届いた取引データには、不可解な暗号の痕跡が潜んでいた。言語と数字を巧妙に組み合わせたそれは、会社内部の“ある人物”に向けられた隠されたメッセージであり、資源価格の異常な変動や契約条件の歪みに結びついていた。
翻訳家という立場でありながら、零の隠された才能――心理洞察と暗号解読が、次第に真相を暴く鍵となっていく。
だが、彼女の行く先には、桜川商事の内部に潜む最大の敵の影があった。
誰が敵で、誰が味方なのか――その境界は次第に揺らぎ、零自身すら疑念の渦に巻き込まれていく。