脱出
私は洋館を出ると、バスで秀くんと連くんがいる病院に向かった。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
病室に入ると、秀くんは連くんに向かって何度も謝り続けていた。
「あ…未来ちゃん、連は脳震盪を起こしただろうって、脳挫傷で言葉が話せなくなる可能性も捨てきれないって言われた」
「そんな…」
「僕が我を忘れて、連を殴り続けたせいだ」
「それは白の術で仕方なかったんだよ」
「でも、僕が殴り続けたから…間接的には僕のせいで…僕がもっと連を止めていれば…」
秀くんは頭を抱えて泣き出した。
「もし…もし、連くんが言葉が話せなくなっても、支え続けよう。それが、私たちが連くんを本気で止めようとしなかった償いだよ」
「そんなことで、連が許してくれるわけないだろう…?」
「そうやって、自分で決めつけて、連くんの気持ちを知ろうとしないで、逆に連くんを追い詰めることになるかもしれないんだよ」
「連を追い詰める…?」
「秀くんが今、連くんと離れれば『自分があの時、洋館に行こうと言わなければ、友人関係が壊れることは無かった』って、自分を責めるかもしれない。『言葉が使えない自分は要らない存在だ』って勘違いするかもしれない。そうなったら、誰が幸せになれるの?」
「…」
秀くんは黙って私の話を聞いていた。
「だから、さ…連くんがどうなっても、支えよう」
秀くんはこくりと頷いた。
「うう…」
その時、連くんが目を覚ました。
「連くん!」
「連!」
私たちは、連くんの顔をじっと見つめる。次の言葉が紡ぎだされることを期待して。
「う…あう…あ…う」
連くんは言葉を発せなくなっていた。




