表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一緒だよ  作者: ツタ
7/7

和解

第7話 和解

ふん。あの人間は術にハマった人間を見捨てて、洋館の外に逃げて行った。

所詮、人間はみんな同じだ。

僕は白い毛並みを毛繕いで整える。

さて、この術にハマった人間をどうしてやろうか。

ふと、僕はさっきの人間が言っていた言葉を思い出していた。

『復讐なんて意味が無い』

本当にそうだろうか?

だとしたら、何をすることが僕にとって意味のあることなんだろう?

僕はそっと目を閉じた。そんなもの考えなくていい。夢の世界に行こう。

夢の中でなら、ご主人様に会えるから。


そうして何時間か経過した時の事だ。

洋館の外の騒がしさに目を覚ます。

何人かの大人が来ていた。

「この洋館に子供が1人迷子になったみたいだ」

「幽霊が出るらしいなんていう噂を確かめに来たみたいだ」

「バカバカしい。さっさと見つけて終わらせるぞ」

大人たちはぞろぞろと洋館の中に入る。

僕は

(まずい)

と思いながら、何も無い部屋で息を潜める。

大人が僕の居る部屋に入ってきた。

「なんだ、あの猫…ひっ!しっぽが2つある…聞いた事あるぞ、妖怪は2つしっぽがあるんだ」

バレた僕は後退りをする。人間の手には杖が握られていた。

人間は僕に向かって杖を振り上げる。

その瞬間、誰かが僕と大人の間に立ちはだかった。

「やめて!」

それは先程まで、僕に『復讐の意味』を問いかけた人間がいた。

大人たちから僕を守る姿は、昔のご主人様を想起させる。

「妖怪だからっていじめちゃダメなんだよ!」

「あ…未来ちゃん…妖怪は退治しないといけないんだよ。人に危害を加えるからね」

「そういう考えだから、復讐なんていう負の連鎖があるんだよ。おじちゃん達が妖怪に仕返しされて、大切な人が傷つけられたら嫌でしょう?復讐したいって思うでしょう?そんなの、ここで断ち切らないと」

大人たちはみんな黙っていた。

未来と呼ばれていた少女に従って、1人、また1人と帰って行った。

「大丈夫?」

未来は手を差し伸べている。

ご主人様が未来と同じ考え方をしているか分からない。

けれど、ご主人様と重なったこの少女の言葉に僕は耳を傾けたいと思った。

「もう、僕は術を使うのを辞めるよ」

「本当!?秀くん、元に戻る?」

「ああ」

「ありがとう!白」

僕は少し照れくさくなり、早々に腕からすり抜けた。

幸が人間を恨みながらも、少女に肩入れする理由が分かった気がする。

だが、僕らは人間のそばには居られない。

猫又の存在が知れたら、大人達は何をするか分からない。

「じゃあな」

僕は一声鳴いて、その場を後にした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ