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脱出
第6話 脱出
私も幸もその過去を黙って聞いていた。
「分かったかい?どうせ人間は自滅していくんだ」
「だからって、連くんを傷つけることが、君のご主人様が望んだこと?」
「ご主人様が望んでいるかどうかなんて、関係ないさ。僕がそうしたいんだ、復讐したいんだ」
「復讐なんて意味が無いよ。」
「うるさい!」
その言葉と共に秀くんがこちらに駆けてくる。
「未来!逃げるぞ!」
幸が叫ぶと、連くんの体がふわりと浮き上がった。
「え?なんで連くん、浮いてるの?」
「俺の力だ。軽いものなら動かせる。それより早く」
私たちは走り出した。
玄関を出ると、秀くんは追っては来なかった。
「これからどうしよう。まずは連くんを病院に連れていかないとだよね」
「その後、大人を何人か洋館に連れてくるんだ。白の術は大人には効果を及ぼさない」
「分かった。秀くんが閉じ込められてるって言えば、きっと洋館に来てくれるよ」