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一緒だよ  作者: ツタ
2/7

洋館の猫又

第2話 洋館の猫又

「なあ、聞いたか?裏山の洋館は幽霊が出るらしいぜ!」

連くんはキラキラした目で私たちに言った。

「幽霊なんかいるわけないじゃん」

そう言うのは、クラスで1番頭の良い、秀くん。

「隣のクラスのやつらが見たんだって!窓から外を見つめる白い影がさ」

「白いカーテンと見間違えたんだろ」

「じゃあ、行ってみようぜ?本当か嘘か確かめに」

「いいよ。どうせ何もいないし」

「決まり。未来も来いよ」

「え…怖いから嫌だな…」

私はたじろいだ。

「大丈夫だって。何もいないよ」

「いるよ!いるけど、俺が守ってやるよ」

「いないよ」

「いる」

連くんと秀くんは喧嘩を始めてしまった。

こうなると、会話を遮るしかない。

「わ…私は待ってるよ」

「きゃっかんてきないけん が欲しいんだよ」

連くんが珍しく難しい言葉を使った。

「あ、学校で習ったやつ」

「そうそう!何かを決める時は絶対必要なんだぜ?」

得意げな連くんの横で、秀くんが補足をする

「客観的な意見って、別に中立な意見の人の同行は必要ないんだよ。事実を元に分析できればそれで…」

「よし、行こうぜ」

連くんはささっと洋館の方に行ってしまった

「え?私も行くの?」

「未来ちゃんの好きなようにすればいいよ。怖かったら、家で待ってて。結果だけ言いに行くよ」

「あれ?連くんが戻ってきた」

「よし、行こうぜ!」

連くんが私を引っ張る。私も行かなきゃいけないようだ。



「なんだ…白い化け物の正体ってただの像か…」

「まあ、噂なんてそんなもんだよ。洋館から早く出よ。これは不法侵入だから」

「ちぇっ。物足りないから肝試しでもしようぜ」

「いや。だからこれは不法侵入だって」

「白い化け物を見る時はノリノリだったのにな。本当は怖いんだろ」

「幽霊がいないのに何も怖がる必要ないだろ」

「じゃあ、やるか?」

「いいよ。気が済むまで付き合ってやるよ」

連くんと秀くんはまだ続けるようだ。

「えー…」

それに対して、私は気が進まない。

「すこーしだから、本当にすこーしだけ。キラキラマンのシールやるから」

「いいよ!ピンクの女の子欲しい」

「げ…持ってねぇよ…」

「にゃあ」

猫の鳴き声と共に鈴の音が聞こえる。

「あ!猫だ!」

その猫は白くて尻尾が2本あった。

「可愛いなぁ。撫でさせてくれるかな?」

私はその不思議な猫に触れてしまった。



未来が猫に触れた途端、どこかに消えた。

「…は?」

「にゃあ」

「ひっ…!おい、未来はどこだよ!」

「にゃあ」

「おい」

未来が消えた原因である猫はただ鳴くだけだ。俺は猫に触ろうとする。

「待て。無闇に突っ込むな」

秀が止めに入ったが遅かった。

「!? どこだここ」

「僕もうっかり触っちゃったよ。誰かのせいで」

「くそ!扉が開かない。未来!未来!」

「にゃあ」

「あ!さっきの猫」

先程と同様、鈴の音が響く。

「う…頭が…」

「痛い…なんだ、これ」

「くっこんなことになったのもお前のせいだぞ」

「なんだよ、お前も乗り気だった…ってなんだその目?」

秀の目は黒目を残して真っ赤に染まっていた。

「その目は僕の術にハマった証拠。争い合え、僕は人間の醜い争いを見るのが好きなんだ」

秀はフラフラとよろけながら、連を殴る。

「お…おい」

驚きと殴られた衝撃で床に倒れ込む。

秀が覆いかぶさって、間髪入れずに殴ってくる。

何発も何発も、自分の拳の皮が避け、血が出ても殴り続ける。

拳が顎に入った瞬間、俺は気を失った。

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