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魔王の足裏から見えた真実

魔王吹雪は、ここ最近、足の不調に悩まされていた。


玉座に座りっぱなしなのがいけないのか、それとも世界征服の計画を立てる際、唸りすぎて腰に負担がかかったのか。整形外科には行ったものの、医者の対応には少々不満が残った。


「あの医者はどうにも……。患者の症状に寄り添う会話をしなかったな」


吹雪は玉座で足を組み替えながらぼやいた。


横で書類を整理していたドラゴン、健太が顔を上げる。

「吹雪様、どのようなご不満が?」


「ふむ、私の足が坐骨神経痛と足底筋膜炎だと言うのは分かった。だが、その治し方を聞くと、リハビリに通えだの、特注のインソールを作れだのというだけだった。結局は金儲けに走っているようにしか見えなかったのだ」


健太は書類に目を落としたまま、冷静に返した。

「それは商売ですから、ある程度は仕方ないかと。病院も経営ですから」


「だからこそ問題なのだ。私は、なぜこのようになったのか、どうすれば治るのかを知りたかった。だが、彼はそれには答えようとしなかった。まるで、知恵をつけさせたくないかのようだった」


その時、アリアが、両手に何やら古い書物を抱えて入ってきた。

息を切らしながら、満面の笑みだ。

「ふぶきん、健太先輩!見て見て!図書館で、すごーく古い魔術書見つけちゃった!これで新しい魔法、覚えられそう!」


健太は呆れたように眉をひそめた。

「アリア、それはただの医学書ではないか?しかも、ずいぶん昔の……」


アリアは書物を吹雪の前に差し出した。

「えへへ、だって、難しそうな本ほど、面白い魔法が隠されてるんだもん!それに、この本、足の痛みを治す魔法がいっぱい載ってるの!ふぶきんにぴったり!」


吹雪は書物を眺め、目を細めた。

「足の痛み、か。ちょうど私も、自分の足の症状について調べていたところだ」


アリアは得意げに胸を張った。

「そうなの!私、この間、吹雪ちゃんがブツブツ言ってるの聞いてたから、AIに聞いてみたの!そしたら、お医者さんの言うことって、結局はこういうことなんだなって分かったんだよ!」


吹雪は興味津々といった様子でアリアを見つめた。

「AIに……?それで、私の坐骨神経痛と足底筋膜炎について、一体何を教えてくれた?」


アリアは書物を指さしながら、説明し始めた。


「まず、ふぶきんの坐骨神経痛は、腰椎脊柱管狭窄症か梨状筋症候群のせいかもしれないって!」


アリアは続けた。

「でね、治すためには、腹筋や背筋を鍛えて体幹を安定させる運動、股関節や膝関節を柔らかくするストレッチ、長時間の同じ姿勢を避けるのがいいって!あとは、椅子に座って梨状筋を伸ばすストレッチもいいんだって!」


健太が感心したように言った。

「なるほど、病院でリハビリとして行う内容を、自力で行うための具体的な方法をAIが教えてくれたわけか」


「うん!それでね、足底筋膜炎の方は、クッション性の高い靴を選ぶこと、足の指を反らせて足裏を伸ばすストレッチ、ふくらはぎのストレッチ、痛い時は冷やす、あとダイエットも大事だって!」


吹雪は目を閉じ、深く頷いた。

「なるほど……。整形外科医が言っていたのは、結局、私が今聞いた内容を、リハビリや特注品として提供するというだけの話だったわけか」


「そう!だから、病名と症状だけで、治し方を教えてくれなかったとしたら、他の病院に行くか、自分でAIに聞いてみて、具体的な治し方を探すのが一番だね!自分で試行錯誤するから、自分でなんとかするスキルも身につくし!」


健太は静かに言った。


「確かに、情報過多の現代において、必要な情報を取捨選択し、自力で解決策を見つける能力は重要だ。吹雪様のように、本来は医者に教えてもらうのが1番ですが、そうでなかった場合は自力で解決するべく、聞いた内容から模索するのが庶民には理想的、というわけですね」


吹雪は目を開き、力強く言い放った。


「その通りだ!だから私は自分で行動できる内容をまとめたぞ!症状を見直してみると坐骨神経痛の中でも梨状筋症候群の可能性が高かった」


吹雪は自信気に発表し始めた。

「なので私の動きの癖と症状で考えると、椅子の梨状筋伸ばしストレッチ、なるべく立つこと、ウォーキング、風呂上がりのストレッチ、ジャンプ運動、ワイドスクワット、腹筋、背筋、ドローイン!これが1番良さそうだ」


「そして足底筋膜炎には、クッション性のあるインソールを使うこと、足指を反らせて足裏を伸ばすストレッチ、ふくらはぎのストレッチ、時々足裏を冷やす、そして何よりダイエットだ!」


アリアは目を輝かせた。

「わー!すごい!これでふぶきんの足、もっと元気になるね!そしたら、また一緒に魔法の修行できるね!」


吹雪は満足げに腕を組んだ。


「ああ。そして、今後悪化させないためには、ドローインウォーキングを習慣にする、クッションを適切に使う、そして適正体重に改善することだな」


吹雪は姿勢を正した。

「そして今回の件で、流行っている病院がいい病院とは限らないことがよく分かった。評価がいい病院でも口コミが『看護師やリハビリの人が優しい』だけなら、医者の事は書かれていない。その場合は懐疑的に見るべきだな」


健太は小さく笑った。

「吹雪様が、医療の仕組みにまで洞察を深めるとは。これもまた、新たな知識の探求、というわけですか」


吹雪は宙を見つめ、静かに言った。

「私は魔王だ。この世の自分に関係しそうな知識や今後の役に立ちそうな知識は、我がものにしたい。たとえそれが、足の痛みという些細なことであったとしてもな。そして、それを自分で解決する術を見つけるのが、何よりも楽しいのだ」


アリアは再び、古い医学書を熱心に読み始めた。

ページをめくる音だけが、玉座の間に静かに響いていた。

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