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魔王の休日リノベーション計画 ~カロリーを憎み、スマホをもう一台欲する者~

「ふっ…俺はついに悟ったのだ。休日に期待などしてはならぬ、と」


俺、吹雪は、いつものカフェで腕を組み、荘厳に言い放った。

目の前には、いつものように健太とアリアがいる。

健太は眉間に皺を寄せ、アリアはきょとんとした顔で俺を見ている。


「また始まったよ、魔王様のありがたいお言葉が」

「ふぶきん、期待しないって、つまんないの?」

アリアが心配そうに尋ねる。


「いや、アリアよ、逆だ。期待しないからこそ、楽しめるのだ。重要なのは、やってはいけない事を認識し、それを断固として避けること。例えば、家で朝からご飯を食べる事! あれは魔のループへの入り口だ。腹が膨れると動画を見始め、気づけば一日が溶けている…。食っちゃ寝で体重は増え、運動不足で頭も痛くなる。最悪のコンボだ」


俺が熱弁すると、健太がスマホをいじりながら口を挟む。


「確かに、休日に家でゴロゴロしてる日と活動的な日じゃ、消費カロリーにかなり差が出るらしいぞ」


健太の講釈が始まった。

「体重60kgの成人男性の場合、一日で650~750kcalも違うそうだ。お前の場合、休日に5000kcal食べてたのが、外出するようになって3500kcalになったんだろ? それだけで1500kcal。家でゴロゴロするか外出するかで、1ヶ月に休日が9回あったら、2.5kgから3kg体重が変わる計算だな」


「その通りだ、健太! よくぞ見抜いた! …いや、俺が今言ったことだが。とにかく、俺は『休日の朝は家で飯を食わない』『休日の朝は家でTVやタブレットを見ない』という鉄の掟を己に課したのだ!」


「それで、効果はあったのか? 魔王様」


「絶大だ! 食いしん坊の俺は、朝から腹が減ってイライラするからな。食べるために家を出るようになった。これぞ画期的な中年おっさん対策だ! しかもお弁当を持って出れば、家計にも優しい」


俺はさらに続けた。

「さらにこれからの季節、エアコン代を考えればむしろ安上がりだ。イオンのフードコートでマクドのクーポンを使ったコーヒーと、前のKODOアンケートを一緒に使えばコーヒーはサイズ違いで2杯になる。1杯のコーヒー代だけでエアコン代はかからずに、動画も見放題だぞ!」


「…魔王様がそこまで節約に励んでいるとは、涙ぐましいな」


健太が呆れたように言い、アリアは手を叩いて喜んでいる。

「ふぶきん、すごい! 私も今度イオンに連れてってー!」


「しかしな、健太、アリアよ。新たな問題も浮上しているのだ」

俺は神妙な顔で続ける。


「通勤の徒歩や休日の移動中、今はスマホでCM系のポイ活をしている。通勤中はそれで構わない。だが、休日もこれでは、大部分の時間をポイ活だけに費やしていることになる。これは非常にもったいない。休日に期待しないとはいえ、何か、別の事も得たいではないか!」


「それで、何かいい考えは浮かんだのか?」


「うむ。『聞く読書』だ。もちろんYouTubeを聞くのもいい。『小説を聴こう』でダウンロードして聞くのもありだ」


しかし俺は少し顔をしかめた。

「そこまで考えたのは良かったが、ここで問題が発生した。ポイ活中はスマホが塞がっていて、音楽もオーディオブックも聞けぬ!」


「じゃあ、スマホもう一台持てばいいじゃん!」

アリアがこともなげに言う。


「アリア、それは名案だが、そう単純な話でもないのだ。スマホ購入にはお金がかかる。そしてSIMを入れるかどうかの問題も発生する。今のスマホは楽天モバイルだから使い放題だから、デザリングの問題は解決しているが」


俺は検索した内容を伝えた。

「SIMがなくてもカメラ、動画・音楽プレイヤー、電子書籍リーダーとしては使える。一部ではポイ活も可能だが…今のスマホとのポイントの統合は難しい。別アカウントで貯めるのは、正直気が乗らん」


「それに今のポイ活はほぼ貯めるためで、期間限定ポイントを原付きのガソリン代に充てているだけだからな。別アカで貯めても特に使い道がない。それに電話番号がないと大きくポイントが貯まるTikTokなどはできない可能性が高い」


「なるほど。二台持ちのメリットとデメリットを整理する必要があるな」

健太が腕を組む。


「2台目はカメラで街の写真を撮ったり、動画配信が可能になる。音楽を聴きながらウォーキングもできる。電車の中で電子書籍を読みながらポイ活もできるだろう。今やっておいた方がいいと思っているのは、動画配信だ。稼ぐのではなく、経験値を積むためにな。将来、もし自分でお店をやるようなことがあれば、動画スキルは持っていて損はないと思う。それに仕事でも役立つかもしれん」


「ふぶきんがユーチューバーになったら、毎日見るー! スーパーチャットも送っちゃう!」


「アリア、俺はまだ何も始めていないぞ…。だが、ウォーキングしながら音楽を聴き、気になる風景を撮影し、それを編集して配信する…悪くない。音で勉強しながらポイ活しながらウォーキングもができれば、休日はもはや無駄にはならぬ!」


健太が頷く。

「確かに、スキル習得という目的があるなら、二台持ちもアリだな。中古のスマホなら初期投資も抑えられるし、デザリング環境で運用すれば通信費もかからん。まずは情報収集から始めてみたらどうだ?」


「そうだな。休日に過度な期待はしない。だが、小さな工夫と挑戦で、日々をより良くすることはできるはずだ。よし、まずはどんな機種があるか、リサーチから始めてみるか!」


俺は決意を新たにし、目の前のブラックコーヒーをぐいっと飲み干した。


隣ではアリアが

「魔王様のチャンネル名は『魔界通販』がいいかな? それとも『吹雪のほのぼの散歩』?」

なんて楽しそうに構想を練っている。


まあ、何はともあれ、家でゴロゴロしていた頃よりは、ずっとマシな休日になることだけは間違いない。

魔王の休日改革案は、まだ始まったばかりだ。

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