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ある双子と環境  作者: ピチャ
第一章 聖任務
1/3

進軍

 「我々が聖王国を護る!」

叫び、敵部隊に突入したのは、まだ僅か18の少年。

彼の言葉に応えるのは、彼よりも遥かに経験を積んでいるような者たちだ。

だが、彼・・・聖王国突撃兵隊長には、そんな部下たちを従わせる何かが、確実にあった。

 「ちょっと待て。進軍停止だ」

「え?」

聖王国の突撃兵・・・忠実な臣下たちはその足を止め、何事かと隊長を仰いだ。

今、突撃兵は聖王国を出たところにいる。

長年の宿敵、帝国から国を護る任務を任されて、突撃兵は意気揚々としている。

だが、この隊長はそんなときに、進軍停止の命を出した。

「どうかされましたか、隊長?」

隊の一番前方に立つ隊長は、その口を開けぬまま、部下たちを見つめていた。

まるで何かを探すように。

冷静沈着な隊長だが、いつも突撃時には勇猛な戦いぶりを見せる。

こんなに熱がないのは初めてだ。

部下たちの動揺を察したのか、隊長は少し肩の力を抜いた。

「いや、大したことじゃない。忘れものだ。悪いが、お前、伝令を頼めないか?」

隊長はそう言うと、一人の部下の肩に手を置いた。

「はい!お申し付けください」

「うん、実はな」

部下の腕を引き、隊列から少し離れる。

そこで、耳元で囁いた。

「足の怪我は命取りだ。犠牲を出したくない。聖王国での療養を命じる」

「・・・わかりました」

少し、歩行の際の足音が不自然だったのだ。

その部下は、言い当てられたためか、呆然としていた。

離れて皆に聞こえる声に切り換える。

「では、伝令を頼んだぞ?」

「承知しました。お気を付けて」

隊長は微笑んだ。

気づく者は少ないが、これは彼の優しさなのだ。

少年らしい気配り。かつ、隊長らしい判断。

それが、この男にはある。


 部下が踵を返す。

その様子を見送って、隊に戻る。

放っておいたほうが良かったんだろうか。

彼は、我々と共に戦いたかったんじゃないだろうか。

そう思ったが、後悔はない。

気遣いではなく、正しいと思われる判断をしたのだ。

「隊長、大丈夫ですか?」

「うん、大丈夫だ。有り難う」

部下に心配をかけたようだ。

まだまだ若いな、僕も。

「敵は近くまで来ていると情報が入っている。再び隊列する。突撃用意をしろ」

「はっ」

隊長の言葉に合わせて部下は動く。

それは当然のことなのだが、僕にとっては、少し違和感がある。

思い通りに人を動かせるということが。

部下たちが、自分の一言に従うということが。

運よくこの地位を手に入れたが、あまり似合ってはいないと思う。

僕が欲しかったのは力じゃない、平和なんだ。

「隊長、敵部隊が見えました!」

心の中の声は、自分の本音。

だが、それをどうしたら良いかは、自身にもわからない。

今はとにかくやるべきことがある。

「総員、突撃!自己犠牲は許さない!」

隊が行動を始める。

僕の隣を部下たちが駆けてゆく。

「我々が聖王国を護る!」

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