アンディとマイクとわたし
客観的にみると、わたしたちの関係は家族というよりかは疑似家族のようなものかもしれない。いいえ。それも違うかも。あくまでもアンディとマイクとわたしが親密な付き合いをしている程度にすぎないのかもしれない。
わたしたち三人の間には、なにかしらの情があるのかもしれない。すくなくとも、マイクとわたしはアンディを信頼しかけている。親友になりかけている。もちろん、アンディがわたしたちのことを同じように思っているかどうかはわからないけれど。
いずれにせよ、あくまでもわたしたち三人のことであってアンディとわたしのふたりの間のことではない。
つまり、わたしはアンディのことを夫やパートナーとしては考えていない。それが正直な気持ちである。
いまのところは、彼にたいする気持ちがよくわからないでいる。
というよりか、彼のことをどう思えばいいのかわからない。そのことを考えようとしても出来ないでいる。それどころか、考えたくないというのが本音である。
内心で戸惑い、混乱している間にも、ときは流れていく。
わたしの内心やほんとうの気持ちはともかく、わたしたちの関係は季節の移ろいとともに深く濃くなっていった。
そうして、予期せぬことが起こった。
まったく想定していなかったことが、わたしたちに起こったのである。
わたしたちというのは、厳密にはアンディとわたしという意味である。
アンディの実家は、一応貴族だけれど葡萄酒の製造や販売をしている家系らしい。彼自身は三男で、幼い頃から軍人に憧れるあまり幼年学校に入学し、卒業後は士官になったらしい。そうして、戦功を重ねて将校になったとか。
今回の戦争も例外ではなく、大活躍したらしい。しかし、さまざまなプレッシャーや戦争の是非について思い悩み、いったん軍を離れて実家に戻ったという。彼はそのまま退役し、実家の家業に携わることにしたらしい。そうして、葡萄酒の新製品の発掘をすべく国内外をまわっているという。
このブライトンの街から馬車でしばらくいったところに、それほどメジャーではないけれどこの辺りの人たちには大人気のワイナリーがある。
彼はそのワイナリーを買収すべく、この街に滞在しているとか。
最近では、「おふくろ亭」の閉店後にアンディといっしょに食事をしたり、ひとときをすごすようになっていた。もちろん、ふたりきりではない。メリッサとマイクがいっしょである。その日に余った食材を使って料理を作り、四人で食べるのである。
しばらくすると、それが自然になっていた。アンディは、その頃からランチタイムには来なくなった。
アンディにすれば、夜は「おふくろ亭」の店内で食べているから「ランチはもういいだろう」ということなのかもしれない。
彼はランチタイムに来なくなったばかりか、定期的に王都に帰るようにもなった。とはいえ、数日後にはまたこちらにやってくるけれど。
定期的に実家に戻って顔を出し、複数ある商談の進捗状況を報告しなければならないらしい。
彼の家族は、彼のことを心配しているのだ。彼もまたそんな家族を安心させる為、定期的に実家に帰るというわけ。
アンディは、家族のことを大切に思っているに違いない。




