(8)精霊師カストロの邸宅
前回のあらすじ
騎士団長自ら指揮し下級精霊である私を捕縛するために動き始める。
私は必至で逃げるも、、、
地下から逃げた後、外に出る事に成功したけどお城の外に出ようとしたら透明な壁にぶつかった。
(えっ!?なに、これ。)
そのあとは激痛との闘いだった。複数の人間から真っ黒な鎖をかけられ、全身の激痛と戦ったが、痛みのせいで途中意識が飛んでしまった。
私は一時間の格闘の末、人間に捕まった。
「きし・・長から、ちゅう・・・の力は・・」
「そん・・・、研究・しがい・・ある・・」
ぼんやりとした意識の中で、誰かの話し声が聞こえた。何の力?研究?だめだ、今は意識が保てない。
私の意識はまた泥沼にはまったように落ちていった。
ドンッと揺れを感じ、私は目を覚ました。
いつの間にか移動していたらしい。見た事がない景色だけど、前に閉じ込められた地下より居心地はいい。
(あれ、身体が怠すぎて動かない、しかもガラスの中に入れられてる!?)
しばらくすると、見知った顔の人間が近づいて来た。
この人間は確か、私を召喚したときにいた人間だ。
「覚えていますか?精霊よ。私は精霊師のカストロと呼ばれています。貴方には呪縛の術式が施されたクリスタルに入っていただいています。」
クリスタルだかなんだか知らないけど、また閉じ込めらた。閉じ込める人間は怖い。
「近寄らないで」
「ふむ、やはり。貴方は言葉を話せるようになったのですね。」
私はこれ以上人間との会話をしたいとは思わなかった。だってこの世界に来てから、人間は怖い事ばかりをするんだもん。やめてって言ってもやめてくれないし、必要以上に追いかけて来る。そんな事を考えていると勝手にカストロと呼ばれる人間が話し始めた。
「貴方には、王城の地下に連れて行かない代わり、私の実験と研究に付き合って頂きます。これに関しては、申し訳ないですが強制です。では、また明日会いましょう。」
人間が出ていった後私は一人恐怖と戦う事になった。
実験と研究!?私を!?
(嫌だ嫌だ!誰か助けて!誰でもいいから!)
次の日、私はクリスタルに入れられたまま別の部屋へと移された。研究の為に使うと思われる機械、たくさんの人間達。
数多くの人目に晒されて、まるでペットショップで売られている動物になった気分だった。
「では、実験と研究を開始する。これは皇帝陛下から直々に許可が下りている!すなわち徹底的に調べなければならない。心して取り組むように!」
「もちろんです!文献にもないタイプの精霊ですからな!隅々まで調べますぞっ!」
知らないおじさんが興奮気味に話しているのが分かる。目がギラギラしていて怖い。
昨日と変わらず、自分の身体は動かす事ができない。しかも逃げようとすると、真っ黒い鎖が現れてすぐに身動きを取れなくされてしまう。
(何かあるはず!考えてここから逃げなきゃ)
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