(5)精霊師、謁見する
前回のあらすじ
水の中級精霊であるアフロディーテの召喚されてからの過去と現在が明らかになった。
これからの続きをお楽しみに!
今回召喚した最下級の精霊をマナプールへ入れるように指示してから半日が経った時だった。
「カストロ卿にご相談があると兵士が訪ねてきております。」
「問題か?」
「そのようです。詳しくは存じませんが今回召喚した精霊が見つからないとのことです。」
(下級精霊が地下に仕掛けた精霊弱体化の術式を破ったのか?いや、絶対にあり得ない。あの魔法陣を破るには少なく見積もっても中級精霊の力が必要なはず。しかも下級精霊はその力の弱さゆえに地下に入れば身動きすらできないはず。一度話を聞いた方が良さそうだな)
「通せ。」
「承知いたしました。」
二人の兵士たちは戸惑った様子をしていたが、しばらくすると、そのうちの一人が話し始めた。
「お忙しい中、失礼致します。」
「前置きはいい。大体の話は聞いているが詳しく話せ。」
(兵士の説明が下手だが、あらかたの詳細は把握できた。)
「下がれ。」
「はっ!失礼致しました!」
十分に話を聞いたが未だに信じられん。
最下級精霊にも関わらず、弱体化の術式の影響を受けず、常に移動し続けている?
おかしい。だが、召喚時に言葉を話せなかった事や、拘束の術式を破れなかった事を考えると、最下級精霊のはず。これは皇帝陛下に報告し指示をあおがねば。
「皇帝陛下に至急、謁見の許可を」
「承知いたしました。」
しばらくして先程のメイトが帰ってきた。
皇帝陛下への謁見が叶い、メイドの案内で皇帝陛下の執務室へと通される。
(珍しい。陛下の執務室へ通されるという事はあまり大事にしたくないとの考えか、、)
「皇帝陛下に御挨拶致します。」
「カストロ卿良よい、楽にしろ、その為にメイドを下がらせているのだ。」
「それでは、お言葉に甘えさせて頂きます」
「して、なにが望みだ」
(さすが、皇帝陛下。もう精霊の件をご存じとは、、。しかも私が何か願うこともお見通しか)
「今回召喚した最下級精霊のケアをしたいのです。情報の漏洩と、万が一精霊が暴走した時の為に、我が屋敷でのケアを許可頂きたく存じます。」
さすがに許可されないと思っていたのだが、その予想とは裏腹に、あっさりと陛下から許可が降りた。これには驚いたが許可が降りた以上徹底的に調べる必要がある。
自室に戻るとメイドが紅茶の準備をしていたが、今は紅茶よりも優先すべき事がある。
「今回召喚した精霊を我が邸宅に連れて行く、準備を。一時的に兵士への指示権限を与える、出来るだけ早く精霊を捕獲しろ」
メイドに指示した後、兵士へ指示できるよう証明バッチを渡す。
「かしこまりました、遂行し次第再度報告致します。」
メイドが出ていったのを確認し、連絡用の水晶を使って、自宅にいる精霊師達に指示を出す。
「興味深い精霊をそっちへ送る。準備を」
「受け入れ準備を致します、準備する術式は中級精霊用でしょうか?」
「いや、下級精霊用の術式でいい」
「はい?あ、いえ、かしこまりました。」
水晶へのマナ供給を切り、メイドが入れてくれた紅茶を飲む。
(下級精霊だが、興味深いな。もしかすると、自分の階級を偽っているのか?まさか最上級精霊か?だとするとかなり頭がキレるな。厄介な事にならないといいが)
仕事が休みなので更新早めにできました。
今後も早やめに行ければと思います