(4)未熟な下級精霊精霊 ~アフロディーテ視点~
兵士二人に追いかけられたが、うまく逃げ切れた私。逃げ切った後探索中に弱った中級精霊と出会った。なぜか初めて会う中級精霊の名前がアフロディーテとわかる、、なぜ?
私がこの国にやってきたのは10年も前の事。
私は、水の中級精霊としてこのルヴォニア公国に召喚された。
召喚された当初は、私が一番上の階級だった事もあり、それはもう大切にされた。
私にとって居心地の良い空間を作ってくれたし、私専属の世話係も、安全を提供してくれる兵士もいた。
そして精霊樹から取れる精霊の果実人間が持ってきてくれるので、定期的に果実を食べ力も増強する事ができた。
そんな生活も5年で終わってしまった。
5年前、この国の王の命令で再度精霊召喚が行われた。
その時に召喚されてきたのが、水の最上級精霊であるアルテミス様だった。その日を境に私への待遇が激変した。
アルテミス様が召喚された翌日、私の部屋だった場所はアルテミス様専用の部屋へと作り替えられ、私の居場所は無くなった。
(私の部屋が移動するのかしら?)
次に、兵士がやってきて私を地下へと連れていった。そこはとても暗く、ジメジメしていて空気も居心地も悪い場所だった。
「ここはとても居心地が悪いわ、別な場所はないの?」
当時の私は、ただただ純粋だった。
まさか、人間が裏切るだなんて思いもしなかったの。だって精霊の力が必要だから、大きな対価を支払って召喚して、この国に縛り付けているんだもの。でも、兵士の言葉を聞いてすぐにその考えは間違っていると思った。
「はぁ?たかが中級精霊の分際で文句か?ここ以外にお前の居場所はないぞ?」
「どういう事なのですか?」
「最上級精霊が召喚されたんだから中級であるお前はもう、用無しなんだ。大人しくこの国の為の糧になるんだな。」
その言葉は、私の心を傷つけるのに十分だった。召喚されてから5年という月日の中、私はこの国に自身の力を分け与え、中級である私が上手く力を使えるように、私の大切な精霊核の一部を大地と一体化させ馴染ませる事で、人間の国を豊かにしてきたというのに、人間はこんなにも簡単に裏切れる生き物なのかと。
「っっ、、こ、この国の王は知っているのですか?」
「ん?あぁ、知ってるとも。なんせお前をここに連れてくるよう指示したのは皇帝陛下だ」
「あははっ、まぁ、今までご苦労さん」
「っっっ」
心を砕かれたその日からさらに5年が経った。私の力は、精霊核を半分にした事によって元々弱っていたのにもかかわらず、人間の作り出したこの忌々しい水と弱体化の術式のせいで、さらに弱くなっていた。今はもう自分の身体を動かす事も出来ない。
(私はここで消滅するのね。。。)
そんな暗闇の中、新しい精霊の気配を感じた。
とても弱々しい気配だが、その存在感はしっかりと感じる。精霊としてこの世界に生まれ落ちてから100年以上経つが、こんな気配は初めてだった。
「あなたも私と同じ精霊なの?」
その弱々しい精霊が話しかけてきた時、なんとも言えない安心感があった。生まれたばかりであろう幼き精霊からそんな事を感じるのは不思議だが、話しかけられたので答えた。
感情が表に出てきてしまったのは恥ずかしかったが、そんな感情を吹き飛ばす出来事があった。
幼き精霊から驚く言葉を聞いた。
「泣かないでアフロディーテ、、」
私は生まれて初めてこんなにも驚いた。だってアフロディーテは私の名前。しかも精霊として生まれる時に、精霊王に一度だけ呼ばれただけなのに、生まれたばかりの精霊に呼ばれるとは思わなかった。
(なんで、、なんで私の名前を知ってるの?
初めだからか読んでくださる方が少なくてっちょっと悲しい主です。
できるだけ早めに更新します。