(9)ルヴォニア公国皇帝
前回のあらすじ
精霊師のカストロという人間に別な場所へと移され実験されることに!?
私は、このルヴォニア公国の皇帝をしているユリウス・ルヴォニアと言う。
あ、ユリウスが名前ね。
私は脳筋な、いや脳筋すぎる兄ロドスに変わり皇帝という厄介ごとを引き受けている。
いやぁ、ずるいと思わないか?私より先に産まれておいて、(「ユリウス!俺には皇帝は向かないんだ!この言葉遣いも治らんし、何より強いやつと戦いたいんだ!ってことで弟よ、あとは頼んだ!」)とか言って、騎士団長になってやりたい放題だ。
私?私は皇帝として執務室に箱詰め状態だよ。
だが、運が良い事に私は頭がいいし、要領も、カリスマもあったからよかった。
まぁ、その頭の良さと、カリスマでこの国を治めている。
(母上のお腹にいるとき、兄の能力奪っちゃったのかもしれんがね。)
今回また精霊が消滅したとの報告が上がって来た。短期間で、しかも下級精霊三体同時にだ。この報告を聞く時には、いつも嫌な予感がする。何度も極秘部隊に消滅の原因を調べさせたが、部隊からの報告はいつも「原因となるような点は見つかりませんでした」だ。
この国は精霊のお力があってこそ生きていける。この国は元々荒野だったが、初代皇帝が上級精霊と強い絆で結ばれていた事もあり、上級精霊の恩恵をいただく事が出来た。そのおかげで、今の豊かなルヴォニア公国がある。
「執事長、精霊召喚の儀式を行う。準備を」
「そのように手配致します。では暫し退出させて頂きます。」
精霊召喚の指示を出してから一日で準備が出来たとの報告が来た。私は召喚の為許可を出した。許可から二時間程で下級精霊の召喚に成功した。
「言葉も話せないとは、、はぁ、また下級精霊なのか精霊師よ」
「皇帝陛下申し訳ありませんまた失敗のようです」
今回召喚に成功したのは下級精霊だった。
今のルヴォニア公国の現状をみると、前回召喚した上級精霊に負担がかかり過ぎている為、少なくても中級精霊の力は必要だった。
思わず嫌な態度をとってしまったが、それくらい上級精霊への負担が深刻なのだ。
下級精霊の召喚で明らかに力不足が露見している為、不安な気持ちのまま執務室で公務をしていると、執事長からカストロ卿が謁見を求めていると話があった。だが、予感はあった。
以前にも精霊のことで頼み事をしてきたし、馬鹿みたいに高い機材を欲しがったりしていたからな。
(さては今回も、精霊の事で頼み事だな?)
案の定、精霊に関するお願いだった。今回召喚した精霊が怪我をしてしまったとのことだった。なんでも召喚に驚いた精霊が暴れて、騎士団ともみ合いになったらしい。
怪我をしてしまったには仕方ない。治癒のためという事で許可を出したが、何か腑に落ちない。
(私は何か見落としている、そんな気がしてならない。)
次回をお楽しみに