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10.シュウと生配信

注意

淫夢ネタ(発言)があります。

淫夢ネタとは?

→ネットを中心として広まった男性同士の情事動画です。その発言をネタにした行為です。昔はかなり流行り、不特定多数の場所でネタにされた印象があります。

この小説は、同性同士の恋愛を差別する意図は一切ございません。

色々と誤解されやすい小説ではありますが、何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。


シュウは両手いっぱいの服を持ってくると影山の前に置く。


「もう着ないからあげる。早く着替えて生配信しよっか」


 影山は山積みになった服を適当に見繕うと急いで着替える。虎が刺繍されたプルオーバーニットを身にまとい、最後にダメージジーンズを履くと影山は鏡で全身を映す。なるべく安そうな服を選んだつもりだ。

 準備を進めながら、影山の姿をチラ見したシュウは何気なく言った。


「確かそのニットは7万で、ジーンズは10万だったかな?」

「こ、こんな服が7万と10万ですか!? 僕が着てた服と何が違うんですか……っ」


 影山は軽くドン引きしながらも告げる。そんな姿を面白そうに笑うシュウ。


「あはは。そのニットはウール100%でブランド物だからそれくらいする。ジーンズはよく見な? シルエットが安物と全然違うって」


 再び影山は立て鏡で全身を映す。シュウと比べて身長が低いので、ジーンズは少し折っているが、それを差し引いても大差はあまり感じない。ニットは言われてみれば温かく、着心地が柔らかい気がする。

 影山は焦りながら言った。


「そ、そんな高い服申し訳なくて着れません!」

「別にいいじゃん。遅刻したお詫びだし、太陽くんはわざわざ電車賃出して来てくれた。どうせ一度着た服はもう着ないし気にするな」


 ヘラヘラ笑うシュウ。影山は驚き、目を大きく見開く。


「一度着た服は着ないんですか!?」


 親が買ってきた服を色褪せるまで着続け、半額で手に入れた1980円のジーンズを味があるからと今も履き続けている影山には心底理解出来なかった。

 あまりにも驚いた姿に、シュウは手を横に振りながら答える。


「違う違う。一度生配信で着た服は着ないってこと。生配信では、ウケのよさそうな服しか着ないから私服と趣味が違くて」


 否定してるが、影山は着回しコーデが多いので一緒だった。


「じゃあ着た服は処分ですか?」

「それは勿体ないからケントにあげてるなぁ」

「ケント……?」

「あ、いや! 昔ね! 昔はあげてたの。今は音信不通だから溜まる一方かなぁ?」


 シュウは危うくケントの存在を匂わせそうになり、必死で誤魔化す。だが影山は、ケントの存在を忘れていたので疑問を感じることはなかった。

 シュウは焦りながらも告げる。


「髪、セットしない?」

「今から床屋行け、と……?」

「違う違う! ホント面白いな、太陽くんは。ワックスで整えてあげるって言ってるの」


 シュウは洗面所からワックスを持ってくると少量のワックスを手に馴染ませる。手慣れた様子で後ろから影山の髪を揉み込むと、次第に中央を散らすように髪を持ちあげる。最後に前髪をセットすると今どき風のイケメンヘアの完成だ。

 洗練した動きとカッコイイ髪型に感激する影山。


「ありがとうございます! 器用ですね」

「ありがと。よくケントの髪型をセットしてたから慣れだよ、慣れ」

「優しくてイケメンかぁ」

「よく言われる、優男でイケメンって。俺に惚れてもいいよ?」


 シュウはしたり顔をしながら調子にのる。コニコニ動画をしていなければ、美容師になることが夢だったので美容関連に強かった。

 シュウは手を洗い、影山の容姿を確認する。


「よし、バッチリ。後はマスクつけて生配信しよっか。俺も女性視聴者が多いから助言するけど、彼女や女友達の匂わせはご法度な? 彼女いないアピと仲良しアピールすれば女ファンは喜ぶから」

「仲良しアピールですか?」

「そう。俺、露骨に太陽くんのことを弄るから悪く思わないでくれよ? 男同士の仲がいいと女子ウケいいんだ」


 昔はケントとBL感だして仲良しアピールしてたんだけどなぁ、なんて言葉を漏らすシュウ。そんな発言に影山は疑問を覚える。


「BLって同性愛ですよね? そんなことで喜ぶんですか?」

「それが喜ぶんだよー。腐女子ってグッズにお金を沢山払ってくれるし、かなり有り難い存在。でも露骨すぎると他のファンが嫌がるから程々が肝心かな?」


 シュウはヘラヘラ笑うと、生配信用のカメラを準備する。暇になった影山はツイツイターで生配信の告知をする。事前に配信部屋とシュウの後ろ姿を撮り、ツイツイターで呟きを投稿するとファンが喜ぶと教えてもらったからだ。


「こんにちは、太陽です!この部屋どこかわかりますか?11時過ぎに生配信するのでよろしく」


 そんなツイツイターの投稿にファン達は興奮する。 


「シュウの部屋!?!?」

「絶対見ます。友達と会う予定やめます!」

「楽しみすぎるぅぅぅぅぅぅ」

「太陽くんに早く会いたi((殴←」

「シュウの部屋と比べると、私の部屋は犬小屋だね(泣」

「シュウは嫌いだけど、太陽くんは大好きだから絶対みる\(^o^)/」


 そんなコメントが相次ぐ。

 シュウは準備を終えると叫ぶ。


「太陽くん、準備出来たよ! こっちのソファーに早く来て」

「あーはい」


 影山はシュウの隣りに座る。するとシュウは絶妙に空いた距離感を狭める。膝と膝がピッタリ合わさった状態に影山は困惑する。


「近すぎません?」

「いいの、いいの。距離感近ければ、勝手に腐女子は妄想すっから」

「他のファン、嫌がりません?」

「大丈夫。わざとだって分からないだろ?」


 シュウはそう返すと、カメラのボタンを押す。

 手慣れたように笑みをつくると声をワントーンあげる。


「こんにちは、生配信届いてる?」


 そんな声にコニコニ民は反応する。


「届いてるよー」

「聞こえてる」

「ok」 

「距離感近いww」

「ok」

「距離感┌(┌^ o^)┐」

「大丈夫」

「誰かいるじゃん、もしかしてケント?w」

「太陽くん可愛い」


 テーブルに置いたパソコンからコメントを見るシュウ。


「大丈夫そう? 今日はゲストがいます。今、コニコニ動画で話題の太陽くんでーす!」


 両手をひらひら動かしながらアピールするシュウに一瞬たじろぐが反応する。


「こ、こんにちは〜。太陽です。今回はシュウさんの生配信にお邪魔しております」


 不器用に手を振る影山。

 そんな姿にコメントは盛り上がる。


「太陽くん頑張って!」

「今日も太陽くん可愛いなぁ」

「だいぶ緊張してますねぇ」

「この服、シュウ着てたよね?」

「太陽って誰?」

「きゃわわ」


 そんなコメントを見るとシュウは言う。


「おっ、わかる? 太陽くんが着てる服は俺のお下がり。可愛いっしょ?」


 影山の服に指をさし、楽しそうに笑うシュウ。コニ民はそんな姿に盛り上がる。


「察し」

「ファッ!?」

「新しいおホモ達で((ry」

「┌(┌^o^)┐」

「今夜はお楽しみですね」

「まずいですよ!」

「いちゃつくなw」


 そんな気色悪いコメントが流れる。影山はホモネタに嫌悪感を抱くが、シュウは楽しそうに笑う。

 シュウは、わざとらしく影山の肩を自分の胸元へ寄せた。影山はあまりの気色悪さに硬直する。


「ヒッ……」


 影山の悲鳴にコニ民は騒ぐ。


「wwwww」

「草」

「悲鳴ワロタw」

「ノンケに手を出しちゃいけませんよw」

「太陽くんは受けか……ふぅ」

「アッー♂」

「反応がリアルすぎて草」


 シュウは笑いながら否定する。


「違う違う! 俺は服を見てほしくてカメラがある中央に寄せたの。太陽くんもガチぽい悲鳴ださないでよー」

「え、ああ、ごめんなさい……」


 勿論わざと盛りあげる為に恋人のような行動をしたのだが、影山は理解できず頭が真っ白になる。

 初々しい反応にコメントは弄り倒す。


「またコイツだしてほしいw」

「ケントはノリノリだったけど、太陽くんは免疫ないね」

「ああ〜^^いいっすねぇ〜」

「グッズだしてよ」

「推せるw」

「ま、多少はね?」

「チャンネル登録しとくわw」


 腐女子とホモネタ大好きキッズ達が集い、コメ欄は地獄絵図化する。そんな状況に恐怖心を感じた影山は、眉間にシワを寄せながらチラ見した。

 小さく怯える影山の姿に、シュウは楽しそうに口元を緩める。


「太陽くん可愛いでしょう? 無駄に弄りたくなるし」


 本心だった。自分より小さい背丈、素直に従う可愛らしさ、初々しい反応、まるで弟が出来たかのような気持ちだった。

 それに対し、弄られ経験がない影山はシュウについていくのが精一杯だ。 


「そうだ、聞いて。さっき太陽くんに髪の毛セットしないか聞いたらどう返したと思う?」


 シュウは悪戯げに笑い、目元を細める。影山は恥ずかしいので慌てながら言う。


「や、やめてください……」


 そんな様子にコニ民はコメントする。


「可愛いww」

「wwwwww」

「弄りたくなりますねぇ笑」

「反応が良きw」

「まずいですよ!」

「初々しいw」

「草」

「太陽、お前は俺を狂わせる」

「ワロタ」

「またお前か」


 シュウは口元を抑えながら笑う。


「くくっ、今から美容院に行くと勘違いしたの。可愛すぎでしょ?」

「あーもう、本当にやめてくださいー」


 恥ずかしさのあまり赤面になる。それは耳元まで染まっていた。

 そんなこんなで2時間はあっという間に過ぎてしまった。ゲーム実況は一切せず、ただ単に影山を弄って楽しむ時間だった。

 シュウは言う。


「みんな、今日は太陽くんが可愛すぎてゲーム実況どころじゃなかったな? またゲストで来てくれる?」


 シュウは影山に顔を向ける。


「あっ、はい。俺でよければいつでも」

「ホント? ありがとう。じゃあ次は俺の家に泊まって生配信しない?」 


 コメントの流れが激しくなる。


「やばいwww」

「気をつけろ、太陽」

「パコるのか、俺以外のヤツと…お前とパコれるのは、俺だと思ってた…」

「この流れやめいww」

「コメント無理」

「キッズと腐女子キモい」

「コメント荒れてる。。。。」


 腐女子と悪ノリしたキッズ達が調和し、生配信のコメントが荒れてしまう。ホモホモしい流れはシュウがつくったのだが、当の本人はコメントが荒れるほどランキング順位が上がるので内心ほくそ笑む。


「あはは、荒れてるね。そろそろ終わりにします。太陽くん、一言!」

「えっ、あっ! チャンネルとツイツイターの登録お願いしますっ」

「太陽くんのURL貼っとくのでよろしくね。それじゃあ、またね」


 シュウと太陽は手を振ると配信を終了する。

 配信が終了するとシュウは言った。


「お疲れ。ねえ、俺達のグッズつくらない?」

「グッズですか?」

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