6.graduation party
午後七時。
ジョーはベッドに横になっていた。
買い物から帰って何時間もそこに。
思いもよらぬ、初恋の人との再会。
ジョーは今まで、彼女が微笑む卒業パーティーの時の写真を肌身離さず大事にしていた。
古ぼけてはいるが、彼の中の〝リリィ〟はいつも新鮮だった。
――リリィ・ストーン……。あぁリリィ。君に出逢えるなんて……俺は夢を見ているようだ……。
それはジョーの真実。
彼女への想いがあったからこそ、彼は今まで生きてこれた。
そして今また蘇る、あの日の声。艶やかで愛らしい響き。
《……いいわよ……隣りのクラスの人よね?
……お名前は確か…… ジョセフ。そう、ジョセフね……
……そうなの、あなたも入隊するの……
無事を祈ってるわ……
じゃあ……
どうしたの? その人は誰?
……その人は誰??
誰? ……誰?
……誰?!!!》
ジョーはムクッと起き上がった。
洗面台の前に立ち、鏡の中の自分を睨みつけた。
死の灰をだらりとかぶる白髪に苔のような緑の瞳が二つ。これが現実だ。
――おい、ジョー。〝ジョーカーマン〟。お前はもうジョセフじゃないんだ。
血も涙もない殺し屋だろう? 過去は捨てたんだろう?
その尖った、恐ろしい面に捨てたはずじゃなかったのか?
お前はもう……表通りは歩けないんだ……
そう、言い聞かせた。
気の抜けた顔はいっそう見るに堪えない。
顔を洗い、冷水をコップに注ぎ一気に飲み干すと、ジョーはまた動き出した。




