5.leopard skin
レパード・スキン。
彼はバウンティ・ハンター=賞金稼ぎ。
斡旋あるいは自らを宣伝し依頼を受け賞金首を捕まえる。
賞金首――賞金をかけられるのは悪党が多い。
イカサマ賭博師、結婚詐欺師、マフィア犯罪のカギを握る証人そして極悪犯罪人、とにかく大変な奴らばかりだ。
依頼人も様々、警察以外の民間人もいる。
高額なハントほど困難で危険、死と隣り合わせ。
金のためなら手段を選ばず、金のためなら情けをかけない。
ハイエナのように嗅ぎ回り、お尋ね者を引きずり落とす。
正義など片腹痛い。誰かへの忠誠心など微塵もなければ恩義など糞食らえだ。
やるのはただ、金のためだ。
レパードは元警官だった。
そしてレオ・フットプライドはかつての上司、ネヴァレンド州警察署長。
顔を合わせたのは三年振り。古い付き合いだったが、百獣の王気取りのフットプライドのことは嫌いだった。
生理的に受けつけないし、彼が警察を辞める時も何一ついい事は言わなかった。
「あいつの首に幾ら賭ける? 見てろ直ぐにお尋ね者だ」そう言って蔑んだ。
だが今となっては別に何てことない。
――こいつは金を持ってる。ただそれだけだ。それなりの報酬は頂きますよと。
フットプライドはようやく目を覚ました。
「レパード、元気だったか?」
「ええ。署長もお元気そうで」
レパードはさっさと答え、本題に移した。
「私を呼んでくださったのは逃げ……いや、黙ってどっかへ出て行かれた奥さん」
「リリィ。子供も一人」
「お子さん」
「フッ、俺の子じゃないんだがな。前の、死んだ元夫の。俺にとっちゃ邪魔でしょうがないんだが。そう、リリィとボビィ。その二人を捜してくれ」
フットプライドは二人の写真をテーブルに置いた。それを手に取り、レパードは眉を上げる。
「お美しい方ですなぁ羨ましい」
「ああ。最愛の妻だ」
「でしょうな」――あーこいつにゃ勿体ねぇ……。
「で、心当たりは?」
「わからん。メイドも何も知らんと」
レパードは親指を立て「これ。とか?」
「戯け! あるわけがない!」
「これは失礼。じゃあ故郷にでも帰ったんでしょうな」
レパードは睨まれ頭を掻く。それからポケットからシケモクを探り出し、火を着け一服した。
「で、この件を俺に頼むのはどうしてです? あなたはネヴァレンド州全土を預かる警察の署長様だ。ちょっと紐を引っ張れば女子供の一人や二人、直ぐに見つけられるはず……何故、俺なんです?」
その言葉にフットプライドは顔をしかめた。
「嫌か?」
「いやいや、そんなんじゃないッス」
「お前の評判がいいからだ」
――ウソつけ。お前はただ署の奴らの誰にも知られたくねぇんだろ? お前はプライドの塊だからな。面子ってもんがよ……レパードは腹の中でそう呟きながら、
「ありがとうございます。嬉しいですよ。俺を使ってくださるだけでも」
さあ幾ら提示するかなとレパードは頭で算盤を弾いた。
「レパード。このバッジを使え。何かと役に立つだろう。そしてこのメモ。リリィの生まれ故郷フリーホイール。西に二千キロの小さな町だ。生家の住所と電話……母親が出たが知らないと言い張った。とにかく、何か手掛かりを掴んだら逐一俺に連絡を入れろ」
警官バッジとメモを渡すフットプライド。
「フッ、懐かしい輝きだ」
それをポケットに入れ、レパードは右手で人差し指一本と左掌を広げ、微笑んだ。
「金か? 幾らだ。十五万か?」
レパードは首を横に振り、大きな目をギラつかせて答えた。
「いえいえ。一人五十万。奥さんとお子さん合わせて百万」




