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31.remember
その年の冬。
静かなノースフォレストに凍てつく寒気が吹きつける。
Dr.ハイランズの家、暖かい部屋のベッドの中から外を眺めているのはボビィ少年。
やがて彼は起き上がり、紙とペンを手にした。
ずっと横になっていたのでまだ頭が重い。
大きく息を吐き、胸を摩った。そこでドアを叩く音が。リリィが中へ入ってくる。ホットココアをボビィの机に。
「おはようママ」
「おはよう。どう? 気分は」
「うん。昨日よりはだいぶ楽になったよ。うん、元気元気!」
「……そう。それならよかった」
「ママの方こそ僕を看てたから……疲れてるみたい」
「そんなことないわ。ボビィが元気なら、ママも元気よ」
ボビィはじっとリリィを見つめ、それからニコッと笑った。
「……そっか」
リリィはボビィの肩に手をやり、その手元を見る。何か書き始めている。
「何なの? これ」
ボビィは照れ臭そうに鼻をこすりながら、
「うん。おじちゃんにまたいつか会って、手紙を渡したいんだ。ジョーおじちゃんに捧げる詩。いつまでも忘れないって……」
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一方で、刑務所にいるレオ・フットプライドのニュースが報じられた。
顔の皮を全て剥ぎ取られ、血塗れの重体だという。
犯人は囚人でもなければ刑務官でもない。
誰にやられたかは謎のままで、事件はやがて忘れ去られた……。




