バイオレンスクエスチョン・娘 ②
ある日、仲睦まじいかは別として、一つの家族が、娘と仲良く手を繋ぎ公園を散歩していた。
「わー! お水がいっぱーい!」
「駄目よ!! 危ないでしょ!?」
好奇心いっぱいな娘は池に向かって走り出そうとするが、妻はそんな娘の手をしっかりと握り、懸命に抑える。
それでも娘は両親の腕をぐいぐいと池の方へ力強く引っぱり、池の前まで来ると可愛らしい声を響かせる。
「おっきいねー!」
「そうだねー、おっきいねー♪」
夫は娘に合わせるように大きな声を出すと、池の真ん中で、大きい枝が浮かんでいるのを見つける。
「たゆたってるなぁ……」
「たうたえってう?」
娘が不思議そうに尋ねるので、夫は面白そうに言葉を教え込む。
「そう、たゆたってる」
「たあたっててうー!」
楽しそうにその言葉を繰り返す娘。
そこへ妻が割って入る。
「あなた、変な事教えないで!」
「別に変な事じゃないだろう?」
少しだけ言い合う夫婦。
すると、娘がちまちまと夫婦の方へ歩いてきて、ある言葉を発する。
その言葉に夫婦は、しばし沈黙してしまう。
「たうたってうって、なーにー?」
ごめんなさい、
あぁ、ごめんなさい、
ごめんなさい。