これはある婚活サイトでのメッセージのやりとりの実録(コピペ)である その7
某婚活サイトでの、私とSAKURAさん(47歳・女性・離婚歴あり・子ども1人)のやりとり。
(私からSAKURAさんへのメール)
こんばんは。
今から出かけます。
茄子とピーマンも安かったので、先に野菜のオイスターソース炒めですね。
こいつを明日の晩飯にして、カレーは土曜の夜かな。
(私からSAKURSAさんへのメール)
SAKURAさん。おはようございます。
ただいま仕事から帰ってまいりました。
応援メールありがとうございます。
癒されます。
熱中症対策には味噌汁が効果的らしいので、積極的に飲んでます。
以前は昆布と鰹節で出汁をとってましたが、結構経費が掛かるんですよね。
それで、もう、今では出汁入り味噌です。
第一、味噌を選ぶのにしたって、冷蔵品でないと本格でないそうですから、出汁だけ凝っても仕様がないか、って感じです。
ただ、食べてもらうための食事だったら出汁とるかな。
(私からSAKURAさんへのメール)
こんばんは。
さっきまで、ウトウトしてました。
仕事は土曜の夜までお休みです。
暑いですけど、食事の時以外は、扇風機もつけずに過ごしてます。
僕の部屋には、めっちゃ古い、備え付けのエアコンがありますけど、使ったことがありません。
北向きなので、冬が辛いです。
今から、冬は嫌だ嫌だ、と戦々恐々してるくらいです。
1階に住んでますけど、隣のパチンコ屋(コード!)が勝手に塀を拵えたので、刑務所みたいです。
北向き3部屋のうち、2世帯が出ていきました。
うちがパチンコ屋の玄関の直近で、一番酷いんですけどね。
扉の開閉の都度の騒音もそうだけど、客が表で携帯を使うのが我慢ならないです。
客「ほら、店の中、うるさいやろう」
僕「お前がいっちゃんうるさいわい」
内壁は結露で黴だらけ。
前は地道に拭いてたけど、きりがないのでもうほったらかしです。
(私からSAKURAさんへのメール)
おはようございます。
起きてますよ。
あんまり決まった時間に寝てないですね。
眠くなったら眠るという感じで。 不規則な仕事ばっかりしてきたから、2時間と続けて眠れないんですよ。
空いてる時間に、とにかく本を読みます。 読みたい本が一生かかっても読み切れないので、時間との勝負ですね。
それでも、これ読もうと思ってて、たとえば、プロフの「最近読んだもの」でおすすめの本が目に付いたら、ついついそっちに気を取られます。
その辺は気ままにやってます。
愛読書ってあります?
今までで一番感動したとか、お気に入りのもの。
(私からSAKURAさんへのメール)
女性にミステリー好きの方、多いですね。
実家の近所が、例の隠し通路があったていう、山村・西村邸なんだけど、たしか山村邸のほうは処分されたんじゃなかったかな。
僕は小説の登場人物が覚えられないので、ちょっと読むのに苦労します。
筋がわからなくて、文字だけ辿ってること、ままあります。
(私からSAKURAさんへのメール)
そうなんです。
おまけに、数年前には2階で殺人事件がありました。
当時全国区のニュースになりましたよ。
ただ、おかげで越してきたばかりの真上の住人がすぐいなくなりました。
ちっちゃい子のいる家族だったから助かりました(殺された人には悪いけど)。
ここは元来工業地区だから、深夜でも騒音で文句言えないんですよ。
パチンコ店ができたのも、そこを逆手に取ったんですけどね。
一応建設反対の運動はあったんだけど、なしのつぶてでした。
前は部屋から山の緑が望めたんだけど、まあ、隣も上も空き室で、そう意味では気楽といえば気楽です。
刑務所の独房みたいな1階、殺人事件のあった2階…絶対部屋は埋まりませんからね。
(私からSAKURAさんへのメール)
今晩は野菜炒めですね。
メニューは予定より繰り下げになることが多いです。
お財布は助かりますけどね。
殺人事件があったのは、冬のさなかの未明。
僕は当時関空シャトルの乗務員で、その日は出勤が早かったので、事件が起きたのは出掛けた後でした。
もう30分、出勤が遅かったら、犯人と出くわしてたかも。
事件のことは関空待機中に知ったので、厄介だなと思いました。
夕方帰った時にはマンション前が人だかり。
自家用で戻ってきたんだけど、警官が玄関の駐車スペースに停めさせてくれないんですよ。
いまはダメだと。
僕は車から降りて、噛んで含めるように言いました。
「事件のことは知ってる。あなた方の言うことも、捜査の必要上理解できる。けれども、この駐車スペースは、僕が月極めで1万2千円で借りてるんだ。それを停めちゃいかんというのなら、別の場所を提供してもらいましょう」と。
横で聞いてるおばさんが、うんうんわかる、その通り、って感じで、強く頷いてくれました。
野次馬で来てるんだから、事件の関連で現在進行形で起きてることは何だって関心があるんですね。
でも、こういう時の市民感情って心強いですよ。
警官も困っちゃってね。携帯で連絡とってました。
僕としては右京署の駐車場使わせてもらいますよ、くらいの心づもりだったんだけど、結局停めていいってことになってね。警官の先導で群衆をかき分けかき分け。玄関では管理人さんが困り果ててました。
管理人さんがそっと、犯人の目星がついてることを教えてくれました。
何だ、素人探偵を気取ろうと思ってたのに。
がいしゃは26歳くらいの女性で、2人の子どものシングルマザー。風俗店で働いてました。
幸い子どもたちは他所に預けられてたんだけど、訪ねてきた24歳くらいの南区のスタンドマンに刺されたんですね。
相手のことをお父さんと呼んでたみたいで、刺されたときも「お父さん、痛い痛い」と言って、同じ2階の住民に助けを求めたらしく、ドアノブに血痕が付着してたそうです。
実は、ここのマンション借りるとき、2階の南向きも空いてたので、どっちにしようか迷ったんですけどね。
痴情のもつれ、いつの時代も男と女の関係は難しい。
でも男だったら、ほかに殺したい野郎がいるだろ、って思えば、女には手は出せないはずなんですけどね。
野菜炒めは、オイスターソースを絡めるつもりだったけど、最近使ってないトンカツソースを使ってみようかな。
人に食べさせるんじゃないから、味はどうだっていいや。
(私からSAKURAさんへのメール)
SAKURAさん。おはようございます。
いつもお早いですね。 僕も5時前には起きてましたよ。
昨日、右京図書館で、世界一長い小説といわれているプルーストの『失われた時を求めて』を『八日目の蝉』の角田光代さんが1冊にリライトした本を見つけましてね。その圧縮シナリオを担当した芳川泰久氏のあとがきが、うちのマンションで起きた殺人事件もそうなんだけど、いまどきの男女のパートナー選びの難しさの核心を突いててね。
ちょっと長いけど引用しますね。
たとえば、私が身につけるものを買うとする。素材からデザインまで、自分の気に入ったものを選ぶのは当然だし、ほかの選び方はできない。気に入らないものなら、着ないほうがましだ、と思う自分がいる。周囲を見ても、それが普通である。この自分を、何でもいい、どうでもいい、とは扱えないのである。それが恋愛にかかわるとなれば、もっと顕著である。自分の気に入らない相手とは、つきあいたくないのではないか。自分を何より大切にしてくれる相手でなければ、自分よりも大切に思ってくれる相手でなければ、自分を託せないのではないか。将来を、どんな人とでもシェアできる、なんてあり得ない。ところで、まさに『失われた時を求めて』の主人公兼語り手こそ、自分を捨てられない「ぼく」なのだ。そのことが顕著に発揮される領域が恋愛である。「ぼく」が恋愛に置いて追及しているのは、相手のアルベルチーヌではない、彼女を愛している自分なのだ。アルベルチーヌ自身より、その彼女を求める自分に忠実であることの矛盾。だから「ぼく」は、相手がこちらを無視して自由に振る舞うと途方もなく嫉妬に苦しむし、嫉妬している自分を素直に見せたくないため、その嫉妬は内攻し、悩みを深くしてしまう。とりわけ相手に同性愛の疑いを抱くと、その行動を監視しようとして、彼女との共通の友人を絶えず同行させ、行動を逐一報告させもする。いまなら、間接的なストーカーと言えるだろう。これも、自分に興味があるし、自分が大切だからなのだろう。だからアルベルチーヌは「ぼく」のもとを出て行ってしまい、取り返しのつかないことが起る。その悲劇は、「ぼく」の自分の捨てがたさが招いた悲劇とさえ言えなくもないだろう。そうした自我のあり方に注目するとき、いまの日本の状況とも重なりうる何かが浮かびあがるのではないか。
このアルベルチーヌの悲劇というのは、アルベルチーヌが事故で死んでしまうことなんだけれど、Matchの登録女性のプロフを読んでも、だいたい洋服選びのようにお相手の希望を語っていて、うまくいったところで、末は洋服の成り行きと一緒でしょう。ましてや僕がメール送ったら、こっちのプロフにケチつけてくる女性もなんかもいて、もうほとんど気づかせてやったんだからありがたく思え的な態度でね。まあ、それは率直な感想なんだし、こっちも参考にさせてもらい、「ご返信ありがとうございます、読んでくださっただけでも感謝です」と打って返しますけど、内心こんないけずな女のひと幸せになれっこないと思いますよ。
さあ、今日から3連勤です。気を取り直してまいりましょう。
(私からSAKURAさんへのメール)
いまどきの恋愛事情を100年前のプルーストが予見していたとして、じゃあどうすればうまくいくのかというと、希望の相手とは少し違う、単にいい人、けんかにならない人と、うまくいく。
あたり前田のクラッカーですが。
でもそれだけでは相手に性的魅力を感じない、異性として見ることができない、恋愛関係が成立しない、というところに問題があるわけでしょ。
実際、いまの10代には、どういうふうに恋愛関係を築いていっていいかわからない人が増えていると聞きますから。
でもそれは、我々アラフィフも似たようなものですよ。
(私からSAKURAさんへのメール)
僕は、パートナーというのは、苦しみを共有し、ともにそれを乗り越えていくのでなければうまくいかないと思います。
というか、そのためにパートナーが存在するわけでしょう。
でも、いまどきの人は相手に欠点があったら、まずそれを責める。
人のプロフにケチつけるようにね。
そんなのは、思ってても口にすることではないですよ。
文明が爛熟すると、そういうのが全部鼻についちゃうんでしょうね。
まあ、一点美徳を認めて、あとは我慢するくらいがちょうどいいんだろうけど、周囲の目線に合わせれば、そうもいかないのは理解できます。
(SAKURAさんから私へのメール)
私は母子家庭でお金はありません。借金があるくらいです(大した金額ではないですが) 節約生活は私もしてます。 だから収入が少ないからと悲観しないで下さい。全く面倒を見てもらおうとは思ってません。楽しくお話ししたり近場で散歩したりと、、、どっちかというと老夫婦みたいにユッタリと時間が流れる、、、そんな時間を共有したいと思ってます。 もし考え方が違うなら私を断って下さい。最初が肝心で第1印象で違うのに合わせていると後で歪みが出てくるもんです。だから遠慮なく 仰って下さい
(私からSAKURAさんへのメール)
断るなんてできないなあ……。
僕は入国ビザ目的の外国人としか結婚したことなくてね。
日本の女性とちゃんとお付き合いしたことないんですよ。
もてないんですよね。
自分からも行かないし。
SAKURAさんは右京区役所に来られる機会がいくらでもおありだから、気が向いたときに声を掛けてくださったらいいですよ。
パチンコ屋の屋外駐車場があるでしょ。
そのどんつき正面の塀の一番パチンコ屋玄関寄りですよ。
通路が向こう側の道路に抜けているんだけど、塀の切れ目から覗いてもらっても結構ですしね。
(私からSAKURAさんへのメール)
おはようございます。
いま仕事から帰ってまいりました。
僕はこの前の雷雨が本当の梅雨明けと思ってます。
梅雨明け宣言のあったとき、ちょっと疑ってたんですよね。
あんまり雷も鳴らなかったし、そのあと続く晴れの日が割と爽やかだったし。
なので、今年の酷暑は例年より約1週間遅れ、と見立てます。
さすがに起きてるときは扇風機使ってますが、いまからの睡眠は扇風機無し。
からだを横にするとお腹の上は涼しいんですよね。
裏側がちょっと暑い。
でも扇風機の当たりっぱなしというのも、冷房ほどでないにしろ結構からだに毒ですよ。
ここぞとばかり北向きの利点を満喫するぞって思えば、気持ち涼しくなります。
ほかに庶民の知恵としては、お腹が空いても我慢する、だとひもじいだけですが、お腹が空いたら我慢する、だと建設的でしょ。
お腹が空いたらスニッカーズ♪、と同じ感覚で、お腹が空いたら我慢する。我慢というメニューを選ぶんですよ。
(私からSAKURAさんへのメール)
おはようございます。
ただいま仕事から帰ってまいりました。
おとといようやっと拵えたカレー(どんだけ引っ張るねんって話ですが)の最後の一皿が朝ごはんです。
その前に作った野菜炒めはトンカツソースをからめましたが(当分肉にありつける予定がないので)、作りたてのときはギリセーフという味だったのが、時間をおいてソースが材料になじむとまあまあいける程度までグレードが上がりました(人に勧められるレヴェルではないが)。
ちょっとビーフシチューの風味がしました。
このくらいだったら、ソースの賞味期限をにらみつつリピもありかな(到底人に食べさせられないが)。
香味野菜と唐辛子でごまかしたっていうのもありますけどね。
(以後、SAKURAさんからのメールは途絶えました。対応さえ間違えなければ、多分会えてたんじゃないかっていう、唯一のケースでした。)
50歳を超え、離婚歴あり、年収が200万未満の私に、もう婚活サイトでの出会いの機会は訪れないでしょう。
いっそのこと、この小説家になろうで婚活できませんかね。
こんな私でよければ会ってやろうという方、メッセージいただけないでしょうか?