2人を待つ2人〜杏・りんside〜
部屋から、綾次君と風華が出ていく。
服買いかー、行きたかったなー…
でも、俺寝た時パジャマだったからなー…
てか、なんであの2人パジャマじゃないの!?
寝るときに着てるものと言ったらパジャマでしょ!
「ねね、りんにぃ!」
なんか杏に呼ばれたなー、なんだろ?
「ん?どうし…」
た、と言う前に、誰もが100回は聞いたことのある掛け声を口にする杏がいました。
「じゃーんけーんぽん!」
慌ててグーを出す。
杏はチョキ。
勝ったはいいけどさ、何なの!?
「あっち向いてほいだよ?りんにぃ」
えええええええ!?
そんなの聞いてないし!
急過ぎるし!
何あっち向いてほいやってるのが当たり前みたいな顔してるのー!?
「え、あ、あぁー、うん…」
全くわからないなー…
何考えてるか、さっぱり。
「あっち向いてほい!」
人差し指を右にやる。
でも、杏は何も動かない。
「え、あっち向いてほいやるんじゃないの…?」
単純な疑問。
対して杏。
「え、何言ってるの、考えること他にあるでしょ?」
はあぁぁぁぁ!?
マジなんなのこいつー、腹立つんですけど!
「ほら、服の系統とかの要望あったら、スマホで送っといてって言われたでしょ?」
「え、う、うん…言われたねー…」
確かに言われたけどさぁ…それがさっきのじゃんけんと何の関係が…
「だから、あっち向いてほいなんてしてないで、考えないと!」
めっちゃ笑われてるんですけど。
なんなのー、何がしたいのさー!
「まだわかんないの?要は、りんにぃ騙されたってことだよ!」
超笑顔で、そう言われた。
え、つまりあれか!
そう、あれ、ドッキリ!
「ドッキリってことか!」
杏の反応を見る。
……真顔?
え、俺なんもしてないよね、大丈夫だよね!?
「ど、どうしたの、大丈夫…?」
再び反応を見る。
今度の反応は…
……吹き出した!?
さっきよりも満面の笑みを浮かべてるんですけど!
しかも笑いすぎて涙出てきてるし!
ほんとに何がしたいのー!
「りんにぃ可愛いんだけど、辛っ!」
笑いすぎでしょー、可愛いとかなんなの、真顔だったから心配しただけじゃん!
「ほらほら、突っ立ってないで、欲しい服のやつ考えよ!」
…よくわかんないなぁ、杏は…
俺も綾次君や風華みたいに、色々考えれる人になりたいなー…
「そーだね、考えよー!」
「おー」
その後は、色は何色がいいとか、こんくらいのサイズがいいとか、柄はこんなんとか、色々話してた。
服のことが大体決まってくると、あれが食べたいとか、絵の画材が欲しいとか、あの映画観たいとか…
関係ない話を始めていた。
そのため、しばらくの間、服のことを綾次君達に伝えるのを完全に忘れていた。
杏がふと思い出し、スマホで送った頃は、2人が宿を出てから、既に1時間は経過していた。