説明~状況編~
…何故か3人とも正座。
混乱に混乱が重なり、涙目の人もいる。
まぁ無理はないのだが…
もう少し冷静になろうぜ、と声をかけ、まずは話ができるまで待つ。
3人を起こし、意識がはっきりするまで待ったところ、案の定驚きを露にした。
如何にも、「何がなんだか」という感じが出ていた。
仕方のないことではある。
目が覚めたら昨日寝た場所とは明らかに違うし、一緒の部屋で寝ている人がいるし(人によっては、家族と同じ部屋の人もいるだろうが)、何故かこの4人だし…と。
おかしな点が数多く存在するこの状況で、落ち着けと言う方が無理な話だ。
ということで、時間をかけて、なるべく冷静に…
少なくとも、話を聞けるくらいになるまでは、「取り敢えず落ち着け、話を聞いて欲しい」を繰り返していた。
…で。
「なんで正座なわけ…?」
話を聞けとは言ったが、何故3人して同じ姿勢、綺麗な正座をしているのか。
ものすごい気になるが、それはひとまず後だ。
「…まぁいいや。取り敢えず、今の状況の話と、俺の推測の話。これを聞いてもらうよ?」
そう。原因や、元に戻る方法など、今考えてもわかるはずがない。
冷静に現状を把握し、これからすべきことを皆で決める。
最優先事項はこれだ。
「うん」
「わかった」
「おっけー…」
…3人の返事を聞いたところで、説明を始める。
まずは状況説明からだ。
ここはどこかの宿のような場所であること。
少なくとも俺達4人は、同じ現象に襲われたこと。
そして…
「りんは知らないかもしれないけど、風華さんと杏」
「昨日の、能力とかを診断できるサイトのこと、覚えてる?」
ここが一番驚くだろう。
慎重に、適切に説明しなければ…
「覚えてるよ?」
「それがどうかしたの…?」
不思議そうに首を傾げている。
そりゃそうだろ、こんな状況でいきなり昨日のサイトのこととか、頭おかしいんじゃねぇのかと思われても仕方ない。
しかし、事実は事実。
伝えるべきだ。
「これを見て欲しい」
さっき変形させたコップを見せる。
明らかに、通常のコップの形ではないものだ。
「え、これ何…?」
「見た方が早いよな」
そういい、もう1度コップに手を翳す。
変形させる前の、元の形を想像する。
そして、元の形に変形させる。
「ちょ…!?」
「嘘でしょ…」
「はぁ…!?」
ここだ。ここでミスったら、説明もクソもなくなる。
「ここからわかる俺の推測があるんだ、聞いてく…れ…」
言葉を失っていく。
何故かって?
それはだな。
「すっげー!」
「新しいマジック!?」
………
さぁ、どうしよ。
こんな反応来るとは思ってなかった。
さっきまでの涙目とかどこ行ったんだよおい。
「…これってさ、そういうことでいいのかな…?」
…呑み込みが早く、冷静に考えられる人物発見。
「そうだね…俺はそう推測してるよ、風華さん」
杏とりんが、マジックやらなんやらと騒いでいる中で、風華さんはしっかりしている。
良かった、うん。これは本当に助かった。
「ほら、2人とも、はしゃいでないで。説明がまだ終わってないよ」
流石は風華さん、グッジョブ!
と心で親指を立てながら、2人がこちらに来るのを待った。