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 〈アルベルト視点〉

 

ーアルスの部屋ー


 意識を無くして倒れたリオンをアルベルトはゆっくりと抱えソファーに寝かせた。リオンの顔色は悪く青白い無理をしたのが痛いほど分かった。

 頭のの位置に高くしてあげ、そっと額の汗を拭き取っているとベットの方からジークスの声が聞こえた。



 「あ、あれほどの回復魔法は見たことがないぞ、、、して、ボルフよアルスの容態はどうなんだ、見た限りでは随分と顔色が良くなった様に思うが、、。」



ジークスは期待を籠めて鑑定スキルを持っている執事のボルフに尋ねた



「はい、旦那様!!アルス様は間違いなく完治しております。」



「な、なんと完治、、したのか?誠にか?どんな治療をしてもダメだったのにか?」



「はい、間違いございません。」



 鑑定持ちで一番信頼のおけるボルフの話でも今だ半信半疑のジークスだったが、先程と打って変わって見るからに健康そうな肌色を取り戻したアルスの顔色をみると本当に完治したのだと思えるようになった。

 それは次第に喜びに変わり目に涙を浮かべた。ジークスが人前で涙を見せることなどなかったが、無理もない。

 医師から不治の病と死の宣告を受けた長男。完治を望みもてる権力を使いあらゆる手を尽くした、それでもどうしようもならなかったのだ。

 その長男アルスが完治したのだ。ジークスだけではない、夫人であり母親であるカリーナ、アルスの妹であるシーラはお互い抱き合い泣いて喜んだ。



医者のロイドだけが今だに信じられないようで呆けていた。



暫く経って皆が落ち着いた頃に執事のボルフが坦々と話し出した。



「旦那様、私は治療の一部始終鑑定して見ておりました。今だから言えますが、アルス様の状態はもって数十分だったでしょう。毒溜病の末期、猛毒弱体から既に瀕死状態になっておりました。」



「な、なんと、そこまで悪化していたのか。」



「そこでリオン様は時間が無いことが分かったのでしょう。四属性の魔力を同時に扱って治療時間の短縮を図りました。リオン様はかなり無理をされていたようですが、そのお陰でアルス様の体への負担を減らし間に合わせる事が出来ました。見ていた私でも完治できたのは奇跡だと思いました、、、アルス様は運が良かったです。」



「なんとそれほどの魔術師だったのか!!」



「はい、素晴らし魔法で私は瞬きするのも忘れていました。」



ふむと自分の顎を撫でながらジークスは何かに気がついた。



「そうか、だがボルフよ。普通の人は属性魔法は1つしか扱えないのではなかったのか?」



「はい、そうなのですが、申し上げて良いものか迷いますが、、」



チラリと私の方をみたボルフに頷くと、ボルフはホッとしたようで続けて話し出した。



「リオン様は全部で八属性の魔法を所有しています、更に1つは私でも鑑定出来ません。」



「な、なんと八属性もか、、、信じられん!!」



なんとリオンは多属性持ち、しかも8つもだと、、思わずソファーで横になっているリオンの頭を撫でた。



「はい、でもそれだけではないのです、戦闘能力は122、治療中に魔力を高めている時には更に244ありました、しかもありとあらゆる武器を使いこなすと言う武神スキルを所有しております」



「なんと、魔術だけではなく、14歳にして王国近衛騎士団の戦闘能力を軽く越えているではないか。」



「ま、まさか、リオンが其れほどだったとは、普段はそんな素振りを見せないから、、、」



「ただ気になるスキルがありました。」



「「なんだそれは?」」



「はい、能力の高さ所以、全て鑑定出来たわけではありませんが毒耐性スキルを所有しているのです。14歳で毒耐性スキルと言うと、、、かなり厳しい世界で生きて来たと考えられます。食べれないものでも口にしないと生きて行けなかった、、とかですかね」



何か勝手に勘違いされていくリオンであった。



「うっ、それは私も責任を感じているのだ。普通そうだよな、リオンは12歳で孤児院を出された後、2年間は住む所もなかったと笑いながら言っていた。あまりにも明るく言うものだから、気にもしなかったが、、お金も働く先もなければそうなるよな、、、。それなのにガーディン家と弟に気を使い、当主は弟レインに、自分は孤児院育ちの宿無しだったから家名に泥を塗ってしまうと。せめて不自由なくしてあげようとすると、こんなに食べ物はいらない食べきれないから勿体ない。更に僕には高い服はいらない、、とか言うのだぞ。まあそこはセリアが圧力をかけていたけどな、、、」



 ここでも勘違いされている、自分の事だけ考えて生きてきたリオンは、社会的地位に興味はない、むしろ当主としての責任を抱え込みたくないのである。そしてレインは当主になりたい、自分はなりたくない、ただそれだけだ。熨斗つけてあげたいくらいなのだ。どうぞどうぞである。



「ほう、そうかそうかガーディン家は継がぬのか、、、」



ジークスがニヤリと何やら企んだ笑顔になる



「ジークス何企んでいる?まあ、王立学園に入学する事は約束させた、それで考え方が変わればとも思ってね。」



「それは可愛そうじゃないのか、孤児だったのだろう。まともに勉強なんてしてないだろうに。王立学園で勉強についていけなくて恥を掻くのではないのか?」



「厳しいようだが、私はそれでもいいと思った、、、のだが、、、ムダだった。」



「ムダとは?」



「勉強を始めてたった2週間で王立学園に入っても問題ないと講師のお墨付きをもらった。ただ、王国歴史は苦手みたいだが、それでも入学する頃には問題ないだろう言われたよ、、本当に信じられん、、セリアも呆れていたよ。」



「ほお、実に興味深いな、、」



「話が大分それたがジークス!!すまないが魔術、スキルに関してはまだ、ここだけの話にしてほしい。」



「私もそのつもりだよ、気にするな、、、皆も、決して洩らさぬように。」



ラインハルト天上爵は部屋にいたカリーナ、シーラ、ロイド、ボルフと目を会わせた、皆が返事して頷いた。



「ありがとう、ジークス助かるよ」



「なあにリオン君はアルスの恩人だ、それに私の為でもあるのだよ」



「変なこと考えるなよジークス」



ニヤリと嫌な笑みを浮かべるジークスを睨み付けるアルベルトだった。



 ◇



〈リオン視点〉


 気が付くと、普段使っているガーディン家のベットより更に豪華なベットに寝ていた。ふかふかだ。


 こ、ここは、、、、そうか、病気の治療をした後に倒れたんだった、僕は上体を起こし、両手と背中を伸した。



う~ん!!



くー!!上半身の筋が伸びて気持ちがいい。



あれっ、やけにすうすうするよ?



「ん、、うおぉぉぉ!!僕、いつの間にか全裸だよ、、そんな性癖はなかったよね?」



くすくす



ん、今笑い声が聞こえたよね、僕は部屋の中を見渡した。すると僕のベットの側で椅子に腰かけているメイドがいた。



「おはようございます、リオン様、私はラインハルト家のメイド、マリンと言います。」



そこには20代前半だろうか黒髪で可愛らしいメイドがいた。



「おっ、おはようございます」



慌てて布団で体を隠す、他所の家で裸を見られるのは流石に恥ずかしい。



「失礼かとも思いましたが、お召し物ならシワが付くと思いこちらに私が掛けております。」


マリンさんはそう言うとクローゼットを開けて僕の着ていた服を見せてくれた。あれ、ズボンも掛かってるね。何故にパンツまで?



「あのーもしかしてマリンさんが服を脱がせてくれたのですか?(、、パンツは脱がなくてもいいよね?)」



「はい、私の仕事ですので、大変ご立派でしたのであまり気になさらなくても大丈夫ですよ。ふふふ」



マリンがニコニコして答えてくれた、、、僕もうお嫁にいけない、、シクシク



「そ、そうなんだ、ありがとう、、、その、申し訳ありませんが、その服を全部こちらに取ってくれませんか?」



「はい、畏まりました、ではお手伝い致します。」



「あ、大丈夫です、自分の事は自分でするのが僕のモットーですので。」



そう言うとマリンさんが急に青い顔をして泣きそうな顔をして、肩をふるふる震わせいる。



「も、もしかして、私は何か粗相を働きましたでしょうか?」



「そんなことはないよ、、ただ僕は一人で出来るか、、」



「私に任せてください!!」



マリンさんが凄い迫力で迫ってきたのでしょうがなく頷くしかなかった。最近こんなのばっかりな気がする。




 ◇



 僕はマリンさんに案内されてラインハルト家の食堂に向かう、食堂に入ると、お父様とラインハルト様、夫人、アルス様、アルス様の妹らしい人が既に席に着いていた。



「おお、リオン!!ちゃんと起きれたんだな、昨日は倒れたからもう暫くは寝ているかと思ったよ。」



「すみません、ご心配お掛けしました、お父様もう大丈夫です」



「そうか大事なくて良かったよリオンくん、、昨日は挨拶も出来なくて済まなかったね、、私が天上爵位を賜ってるラインハルト家の当主のジークス・ラインハルトだ、、ほら、みなも挨拶しなさい。」




「私が妻のカリーナです、長男アルスを救ってくれてありがとうございます。こうしてまたアルスと食事ができるのが夢のようよ。」



「僕はアルス、こんなにすっきりした気分は何年ぶりだろう、リオンくん、僕の病気を治してくれてありがとう。」



「わたくしはシーラですお兄様を治してくれてありがとうございます。このご恩は一生忘れません。」



ラインハルト天上爵の声に皆が席を立ち、深く頭を下げた



「そ、その皆さん頭を上げてください、僕もお役に立ててよかったです、、ので、気にしないで下さい。」



そして僕は焦ってお父様をみた、僕は天地族との付き合いかたなんて分からない、助けてほしい



「ジークス、リオンも困っている固い話は終わりにしよう。食事をしようじゃないか。私達はここにお忍びで来てるから長居も出来ない、直ぐに私達も戻らねばならない」



「そうだな、アルベルトの所も大変だしな、急に屋敷を留守にさせてすまなかった。」



「なあに気にするな。」



 皆が揃い楽しい朝食となった。アルス様は病み上がりで消化のよいものが出されたが完食していた。病み上がりには見えない健康そうで良かった。

 改めて良くみるとアルス様は16歳で僕の2つ上だ。両親と同じ金髪のサラサラの髪と痩せてしまったが整った顔立ちだ、剣術と光魔法が得意で、2年間病気で落ちた体力を鍛え直すそうだ。



 妹シーラ様も当然金髪の美少女だ。背中までストレートに伸びた髪を耳にかける仕草は艶やかで、とても同じ年に見えなかった。

 ラインハルト天上爵家の人は僕がイメージしていた天地族と違い親しみや易かった。ただ、シーラにずっと見られている気がした、気のせい?



「リオンくんは来年になったら王立学園に入学だね。王立学園は主に天地族が剣術、魔術、一般教養を学ぶ所だよ。ウチのシーラも来年入学なんだよ。全寮制だから心配なんだけどリオン君が居れば安心だ、よろしく頼むよ」



えっ、シーラ様の方が僕よりしっかりしているし、安心って僕も一応男なんだけどね、、、、、。



「僕の方こそよろしくお願いします。」



「ありがとうございます、わたくしも心配されないようにリオン様のお側にいますね。」



シーラ様がニコリと微笑んだ、可愛いがどういう事か良くわからない。天地族の言い回しはイマイチ分からないよ。



「リオン良かったな、これで王立学園で一人になる心配はなくなったな、、、よし、そろそろガーディン領に戻ろう、どうも胸騒ぎがすんるだ、今から早馬で帰れば夕刻には着くぞ。」



「はい、お父様!!」



 食事も終わり、お父様と僕は帰路につく事にした。失礼かと思ったが、お父様とラインハルト天上爵は親友と呼ぶほどで気にしてなかった。



ーーーーーーーギルドプレートーーーーーーー

 ギルドランク G

 名前 リオン・ガーディン  

 年齢  14歳  男性 


 戦闘能力 122【244】


 《スキル・魔法》

 ・暗黒魔法:極 ・神聖魔法:中 ・四大属性魔法:中

 ・無魔法:下 ・光魔法:下 ・闇魔法:下 ・合成魔法

 ・並行魔法

 ・武神:中 ・二刀流 ・忍 ・超人 ・料理

 ・身体魔強化 ・毒耐性:上 ・収納 ・鑑定:下

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

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