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共通B 教会に通う


「ごめんない神父、さすがに住むのは……」

「そうですか……場所が場所ですし、しかたありませんね。またいつでも来てください」


神父は残念そうに言った。


「ええ」

「そういえば今日、村に大道芸人が来ているそうですよ」

「大道芸人?」

「なんでも有名な女道化師レピエッタの弟子だそうで」


神父に別れをつげ、城へ帰る。

―――教会にたまに通うとは言ったものの、私のたまになんて人間の倍は長い。

というか通う利益がない上に損害しかない。


「あ」


フロウがハッとしたように声をだす。


「なに」

「神父のヤローが言ってたピエロとかいうやつ見にいこうぜ!」


まあせっかくだし道化師<ピエロ>とやらが来ている村を見てから城へ帰ろう。

女道化師の弟子ということはピエロも女流か?

というかそのピエロはどこにいるのだ。


「おい、道化師ティクだってよ」

「どうせ大したことないだろ」

「でもあの伝説のピエレッタさんの弟子だとよ」

「へーそりゃすごいにちがいねー」


なんだか風当たり強そうね。


ピエロなんて知識程度しか知らないが、ジャグリングして風船膨らますだけだろう。

あ、ジャグリングはサーカスだった?

軽い気持ちでピエロに近づく彼等についていき観にいく。


「おお……」

「すげー」


白い顔に涙マークをつけた赤いモジャモジャ髪の男は玉に乗りながら大きなナイフジャグリングをしている。

これはなかなか人間にしてはかなり高度な技をやる。


ジャグリングというのはボウリングのピンのような形のものだけだと思っていたが本の文字だけではわからないものだ。


私が見ているとピエロはこちらに視線を寄越し、そして何かをこちらへ投げる。


「なっなんだ?」


可愛らしいピンクのリボンがついた造花の百合<リリー>だ。


「あいつなんでネイピエリア様に花なんて渡したんだ」

「私がとびぬけて美少女だからにきまってるじゃない」


こういうの普通は生花を渡すものじゃないの。でも私は生花はすぐに塵にしてしまうから造花で助かる。


「そこらの雑草にくらべりゃたとえしわくちゃになりかけの花でも花は花だからなー綺麗でなくても」

「今日の夕飯はコラァゲンと鉄分たっぷりの吸血蝙蝠鍋ね!!」


ピエロのショーも終わり、もう人間の娘が彷徨くには憚れる頃なので城へ帰る事にした。


「なー悪かったって~機嫌なおしてくれよ!」

「お前が鍋で死ねば契約も解消よね……ところで契約の代償ってな―――」


「姉ちゃん見かけない顔だね」

「ひょっとしてヨソから来た?」


薄汚い男達がニヤニヤと私を見ている。

周りの村人は心配そうにこちらの様子をながめているが、助けにくる気配はない。


「どっどうしようネイピエリアさま!!」


フロウは蝙蝠のままだし、やはりスコルティと一緒に帰ればよかった。


私に近づく男にイライラして力を解放したい衝動にかられる。

するとどこからかナイフが飛んできて、髭面の顔をかすめる。


「あ、悪い。手が滑った」


金髪の青年がリンゴを片手に現れる。


「てめーなにしてくれてんだ!」

「そのキレーなツラ、ボコボコにしてやる!!」


青年は私に視線をやって、逃げろという合図をおくった。



「まったく私を助けようなんて物好きな人間ね」

「でもなんか弱そうな兄ちゃんだったな」


フロウが人の姿をとって腕を組みながら言った。


「あんた蝙蝠なんだから飛んで裏で変身したらよかったんじゃ……」

「オレじゃなんもできなかったろ。見た感じ弱そうなラブリーショタっ子だし」


たしかに、フロウでは男避けにならなそうだ。


「まあ、その若い見た目のわりにでかい子持ちに見られてもよかったならいいけどさ」

「それは勘弁だわ」


まあ村人がいなければ私がなんとかできたからよかったが、あの青年には悪いことをしたようだ。


明日にでも教会のついでに青年を探しに行ってみよう。


「お?」

「今度はどうしたの」


なにやら向こうで祭りをやっているみたいだ。


◆寄っていかねえか?


【仕方ないわね】

【いや、帰る】

【何か食べたいわ】

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