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母親の記憶

土煙で目が痛い。

まだ4、5歳であろう少女は目を擦った。

硝煙の匂いが鼻をつく。

辺りを見渡しても、誰一人として無事に立っている者はいない。

ここで、少女は母親がテントで救護活動をしていたことを思い出し、そちらへと走っていく。

テテテ…と駆けていくその姿は、数十人もの人が倒れている砂漠にはとても場違いに思えるものだった。


「お母さん!」


少女は潰れたテントにたどり着く。

どうみても、生存者がいるとは思えないが、少女には関係がない。


果たして、少女の母親は致命傷である腹の傷を見せないように服で隠し、少女を待っているのだった。


「景虎…こっちにおいで…」


少女は母親に飛びつく。

気丈にも、母親は顔を歪めることなく、少女を受け止めた。


「景虎、強く…生きて。負けちゃダメ。」


「お母さん?」


「あなたの一番辛い時はココよ。ココより辛いことはないの。だから、前を向いてね。」


それだけ言うと、まだ20歳半ばであろう、美しい女性は、フッと最後の力が抜け、娘に被さるように息絶えたのだった。



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