表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

孤独ノ竜

作者: ミッチー

この話の本当の意図をわかった人は、多分かなり凄いと思います。

ある森の奥深く……そこにはとても強い竜がいました。

その竜は百戦百勝……全ての戦を乗り越え、自分を守って来ました。しかし、竜はボロボロでした。身体は無傷のはずなのに、胸が痛くて痛くて仕方ありませんでした。


ある日の出来事です。その竜を殺し、お金を儲けようと考える人間達が竜を襲いに来ました。

もちろんその人間達は竜の返り討ちにされ、死んでしまいました。

竜はまた心が痛みました。竜はなぜ胸が痛むのかわかりませんでした。

人に襲われたから自分を守った…それだけなのに痛く痛くてたまりません。


ザー……


雨が降ってきました。竜の頬にはたくさんの水が流れました。

冷たいものもあれば暖かいものも。


ワンワン!


おや?雨の音に混じり犬の鳴き声が聞こえてきました。きっと竜を探すために人間達に連れてこられたのでしょう。


ワンワン!


茶色い犬は竜に牙を剥き、ずっと吠えています。


普段なら竜はその茶色い犬を噛み殺すところでした。しかし竜は思いました。

人間のせいで、自分のせいで死んでしまうのは可哀想だ……逃がしてあげようと。

竜は茶色い犬をほっときその場を離れました。




次の日、竜は隣から寝息が聞こえ目を覚ましました。


グルルゥゥ…グルルゥゥ…


竜はその寝息の主を見て驚きました。

なんと!隣で寝ていたのは、昨日竜に向かって吠え続けていた茶色い犬でした!


竜はそれを見て戸惑いました。なぜ主人を殺した自分にくっつき寝ているのか…なぜ、その事実に自分は少し嬉しくなっているのか……竜はわかりませんでした。

竜はまたここから離れようと考えました。自分といると不幸になってしまう……そう考えたからです。


ドスン…ドスン…


竜は出来るだけ音を立てないように立ち上がろうとしました。しかし…身体の大きい竜はどんなにゆっくり動いても音を消しきることができませんでした。


ワンワン!


結局、茶色い犬は竜の起きる音でおきてしまいました。


ワンワン!ワンワン!


茶色い犬は昨日とは違い、舌を出して尻尾を振り笑顔を見せています。

竜はなぜ自分に懐いたのかわかりませんでしたが、胸の痛みが不思議と和らぐのを感じ、一緒に暮らそうと考えました。





それから幾日か経ちました。

茶色い犬と竜はすっかり仲良くなり、何をするにしても一緒に行動をしていました。



それからさらに日が経つと、二人はお互いの気持ちがわかるようになりました。

犬のお腹が減れば、竜は木の実を取り動物を狩り一緒に食べる。

竜が背中が痒いと感じれば、茶色い犬は竜の背中に乗りその場所を掻いてあげました。



そんな生活を続けて、3年が経とうとしていました。


竜の身体はボロボロでした。

茶色い犬と暮らす間も幾度となく人間に、動物に襲われていました。

しかし竜は抵抗をしませんでした。

竜は怖かったのです。自分が敵を追い払うのに力を使ったら、茶色い犬が死んでしまうかもしれない…そう思ったのです。

そのため竜の身体は傷つきボロボロになっていました。

しかし竜は満足していました。

確かに身体は痛くて痛くて仕方ありません。しかし胸の痛みは感じていませんでした。

竜はそれが嬉しくて嬉しくてたまりませんでした。


竜は、身体の痛みなんて忘れてしまうぐらいその生活に幸せを感じていました。


自分を守るのはもうやめよう。大切な物を守るから幸せなんだ。竜はそう思いました。


一方茶色い犬は気づいていました。このままでは竜が自分を守るために死んでしまうことに。もう竜の身体は息をするだけでも辛いことに。






ある日の出来事です。

竜を殺そうと考える人間がまたやってきました。

竜は迷わず茶色い犬を自分の身体で覆いました。


パン!パン!パン!


銃声と共に全身が熱くなるのを感じる竜。

こんな物、本来なら痛くも痒くもありません。

しかし、竜の身体はボロボロです。銃弾を弾く鱗は剥がれ、攻撃するためのツノも折れています。


あともう少し…!あともう少し…!

竜はそう思いながら目をつむり必死に銃撃に耐えました。


ワンワン!


横から茶色い犬の声が聞こえました。

竜は驚き目を開けました。




……竜の目の前には、血だらけになって動かなくなった茶色い犬がいました。







気づけば目の前は血の海になっていました。

自分の血なのか、人間の血なのか、茶色い犬の血なのか………もうわかりません。


竜は酷く悲しみました。

…身体の痛みを覆ってしまう程の胸の痛みがやってきました。


なんで自分だけこんなに苦しまなければならないのか……こんなことならあの時ちゃんと突き放しておけば良かった。こんなことならあの時殺してしまえば良かった。

竜はそう思いました。


竜はその場で声を出して泣きました。


孤独な竜は、孤独を無くして本当の孤独の怖さを知りました。


それからしばらくして……孤独な竜の泣き声は、聞こえなくなりました。


ご閲覧ありがとうございました。


どうでしたか?

わかりましたか?この話の本当の意図が。

気になったりしたら僕にコメントかなんかで聞いてみてください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 拝読させていただきました。 『この話の本当の意図をわかった人は、多分かなり凄いと思います。』 『どうでしたか?わかりましたか?この話の本当の意図が。』 と謎をかけられた感じですが、私は私な…
[一言] (U^ω^)スパイだったワン ご主人様に場所を伝えたりしてて、最後に竜を仕留めたと思ってご主人様の所に行こうとして流れ弾に当たったワン もしくはご主人様が既にやられてて敵討ちしてたとか? …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ