1.始まり
「鬱陶しいんだよ!!」
「あぁ゛!?んだとこのくそ娘!!」
「おっさんのクセに常識ねーのかよ!?」
「手前こそ非常識だろうが!!」
「んだとクソジジィ!」
「誰のおかげで飯が食えてると思ってんだ!!」
「あたしの金だろうが!!!年金しかねーくせに!」
「…ぐっ!もうでてけぇ!!!」
・
・
・
ザァー………。
頬に打ち付ける雨は、傘がないと防げない。
でも丁度いい。
すっかり熱くなった頭に、冷たい雨が冷やしてくれる。
あたしがもし今、働かなくてもいい環境だったら、
今頃は高2だったはずだ。
人生の中で、一番楽しい時期だったはずだ。
それでも働かなければ。
金が要る。
母親は男を作って、あたしとジジイを置いて出て行った。
ジジイは、若いころ仕事しかできない仕事マンだったらしい。
まぁ今はもうただのジジイだから、収入がない。
あたしが働かないと金が入らない。飯が食えない。生きていけない。だから、金が欲しい。
あたしの名前は、雨花。
雨の花で、うかと読む。
でもあたしは、この名前が嫌いで、
「RAIN」と名乗る。雨は好きだから。
理由はないけどね。
さて、追い出されたはいいけど、どこに行こう?
ふと立ち止まって考える。
びしょ濡れだから、店には入れない。
となると、誰かの家か…?
仕方ない。。
そうため息をついて、また歩き出した。
十分ほど歩いて着いたのは、二階建てのボロいアパート。
ギシギシと軋む階段を上って、一つの扉の前に立った。
「ユウー!」
私はそう叫んだ。
すると中から、
「…ん」
と小さな声が聞こえた。
「れーちゃん?どーしたぁ」
少し擦れた低い声。
ユウはそう言いながら、ボロい扉を開けた。
ボサボサの少し長い髪の中に、切れ長の目が見え隠れし、芸能人並みのイケメンの顔が隠されている。
ユウはあたしのどんな存在なのかわからない。
でも、大事だ。なくしたくない存在ってことは分かる。
ただ体を重ねたこともある。どちらかが寂しさで押し潰されそうな時、あたしたちは寂しさを埋めるように体を重ねる。もちろん、それは今も続いている。
「ね、家入れて」
「…ん、いいけど、ついでに風呂も入る?びしょ濡れでしょ」
「うん、入る」
と会話をしながら、ユウの家に入る。




