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Act5.恋の賞味期限が切れるまでは頑張ります!

「琴梨、どうしよう!和臣様にとうとう嫌われたかも。」


私は真剣に相談しているのに、琴梨は明らかに面倒くさそうな苦笑いを浮かべた。


「あー、まあ、一応なんでそう思うのか聞いていい?」


私は琴梨に和臣様とはじめてを経験してから、和臣様の態度が変わったことを説明した。

一つは、今まで頻繁に家まで送ってくれていたのに、急に回数が減ってしまったこと。

二つ目は、デートに誘ってもはぐらかされて断られてしまうこと。

三つ目は、今まで学校の図書館で二人きりになるとキスしてくれてたのに、全く手を出されないこと。

以上の3つを説明してみるが琴梨はなぜか「和臣様にも、色々あるんじゃない?美月を嫌いになったわけじゃないと思うよ。」と慰めてはくれたが、何か言いにくいことを隠しているような様子だった。

そんな琴梨の態度からも、私は和臣様とのはじめてで何か大きな失敗をしたのだと確信を持った。

ただ、問題はどれが失敗だったのかがわからないことだった。


黒の紐Tバックがやりすぎだった?

私がはじめてで何も経験がなかったから、和臣様は満足しなかった?

もしかしてどこかムダ毛の処理を忘れてた?


考えれば考えるほど、原因が思い浮かんで、何が原因かが逆にわからなくなってしまった。しかし、途方にくれる私を助けてくれる人は誰もいないので、私はもう一度和臣様に振り向いてもらえるように、努力することにした。

何せ私と和臣様のラブラブ賞味期限はあと少しなのだから!!


とはいえ、今までは不思議と和臣様の方から私に近付いてくれていたので、いざ、自分からどうやって和臣様に近付けば良いのかが分からなかった。


下校の鉢合わせを狙って見たが何度やっても和臣様とは会えず、昼休憩に教室に行ってみたがいつも和臣様は居なかった。

あまりにもすれ違いが続きすぎて、今まで和臣様とベタベタしていた分だけ切なさが込み上げる。

私は仕方なく学校という場で和臣様とあうことを諦めて私は和臣様のお母様に電話をした。


よくよく考えれば、和臣様が絶対に帰ってくる場所で待っていれば良いだけの話だった。

和臣様のお母様に電話で和臣様に借りた本を直接返したいから家に行きたいとお願いすると、なぜか笑いながら快諾してくれた。

そして、和臣様の家に行く前になぜか琴梨に絶対にスマホは持っていかない方が良いという意味不明のアドバイスを貰い、私は藁にでも縋りたかったので、それを実行して和臣様の自宅へ向かった。

和臣様のお母様はなぜか和臣様の部屋に直接入れてくれて、ゆっくりするように言ってくれた。

勝手に和臣様の部屋に入って本当に良かったのかどうかわからなくて、なんだか落ち着かない。スマホも置いてきたので手持ち無沙汰で仕方なく本棚の本を読んで時間を潰してみるが、連日和臣様のことで悩んでいたせいで睡魔が襲ってくる。

ウトウトしてどうしても我慢できず、そのままソファの上で寝てしまった。



目を覚ますとなぜか和臣様のベッドで寝てて起き上がると和臣様が机の上で何かしているのが見えて、慌てて起き上がる。


「まだ寝てていいよ。」


起きた私に気付いた和臣様にそう声をかけられて、私はまたまた失態を犯してしまったことに気が付いた。せっかく和臣様との関係を修復しようと思ったのに……


「ごめんなさい。」


「謝る必要なんてないよ。眠いなら寝てていいよ」


「いいえ。謝りたいのはそのことじゃなくて……」


和臣様はわざわざ私の横に来てくれて、頭を撫でてくれた。


「美月に謝ってもらうようなことあったっけ?」


「和臣様が急に私のことを避けてるのは、私がはじめてなのに、黒の紐Tバックなんか履いてたからですか?

それとも私が経験なさすぎて、和臣様を満足させられなかったから?

それとも、それとも…」


それ以上言葉を紡ぐのが怖くて言い出せないでいると、和臣様は気まずそうに私から視線を逸らした。

気まずくて言い出せないようなことを和臣様にしてしまった事実に絶望に突き落とされた私は、これ以上和臣様の前にいることがいたたまれなくて黙って帰ろうとベッドから出ようとした。


「待って美月、違うから。」


「大丈夫です!困らせてしまって本当にごめんなさい!」


帰ろうとする私の腕をなぜか和臣様は離してくれないけど、どうしたらわからない様子だった。


「本当に、私のことは気にしなくて大丈夫ですよ?はじめてを和臣様とできただけで嬉しかったし。」


「美月が悪いんじゃなくて私が悪いんだ。見えるところにキスマークなんてつけたから、その……美月の……」


そこまで言われて、私は和臣様が私の父親か兄に何か言われたのだと悟った。


「つまり父か兄に何か言われたから、私に近付かないようしていたのですか?」


和臣様はその返事には答えられないようで、視線をそらすだけで無言を貫いた。


「じゃあ、質問を変えます。

また、和臣様としたいってお願いしたら和臣様は嫌ですか?」


「私からは手を出せない事情があるから今すぐは無理だけど、嫌などころかすごく嬉しいよ。」


和臣様の言葉が本心ではないとわかっているけれど、それでもその言葉が真実だと私は信じたかった。


「良かった。

じゃあ、和臣様は手を出さなくて良いですから、じっとしててください。」


私は和臣様にキスするとそのまま唇を舐めた。和臣様の唇の間に舌を差し入れて和臣様の舌と絡めた。そのヌルッとした感触だけで自分の身体が熱くなる。


「ごめんなさい。実は今日はそういうこと出来ない日なので、今度遊びに来た時、私から和臣様に触れていいですか?」


和臣様が頷いたのを確認すると、私はうれしくて微笑んだ。








☆☆☆side和臣☆☆☆


美月が可愛くて、つい人から見える場所にキスマークを付けてしまったことを後から後悔してももう遅かった。

美月を抱いた翌日、私は美月の父親と兄に呼び出された。

もちろんごまかす為に色々言い訳を連ねては見たが、あちらはあちらで調べてきたらしく、結局しばらくは美月に近付かないという約束をさせられてしまった。

あんなことがなければ、次の日も美月と試験勉強という名目で家に呼び出して可愛がれたのに……

しばらくして監視役の琴梨から、美月がすっかり勘違いしていることを知らされた。とりあえず琴梨にはうまく言っておくように指示する。


美月の行動は把握しているので美月に会わないようにすることは簡単だが、美月不足で自分のイライラが限界に近くなっていた。

そんな時、家に帰ると母親から美月が部屋で待っていることを知らされた。

部屋に入ると美月はソファの上ですやすやと眠りについていたので、そっと近付いて頬を撫でてみたが目を覚まさなかった。

目の前に差し出された美味しそうな好物を我慢するというのは本当に難しいことを改めて実感しながら、それでも手を出せない現実にため息をつく。

仕方なく美月を抱き上げ、ベッドの上に寝かせる。しばらく寝顔を眺めるが、このまま美月のそばにいれば手を出してしまうことは明白だったので、仕方なく離れて机の上で勉強をするが、そわそわ落ち着かない。


すると、美月が目を覚ました。


寝たことを謝る美月の頭を撫でて謝る必要はないと伝えるが、美月が謝りたかったのはどうやら美月を抱いた日のことらしい。

私が美月のことが気に入らなくて避けていると勘違いした美月を必死で説得するが、彼女の父親と兄のことを言わないで説明することが難しく、逆に美月に気付かれてしまった。


私から手を出せないことを知った美月は、自分から私に近づいて、まだ慣れていないディープキスをしてきた。美月が私を好きなのは明白だったが、これは私が望んだ関係の完成形ではなかった


(そろそろ、次に進もうか…)

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