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Act3.やっぱり恋人同士は一緒に下校!

最近悩んでいることは、私と和臣様が資産家の家に産まれてしまったばかりに、一般的な一緒に登下校ということが出来ないということだった。

憧れの自転車二人乗りは出来そうにないのが辛い……。

とはいえ、最近は和臣様の車で自宅まで送ってもらうことが増えたので、二人っきりになれる時間が増えてうれしい。まあ、二人っきりといっても運転手の大倉さんがいるので、完全な二人きりではないけど。


運転手の大倉さんは50代のナイスミドルで、長年御堂家の運転手をしている人で、私が和臣様の家に行った際は帰りは必ず大倉さんに送ってもらっている。


「美月、もう学校には慣れた?」


さりげなく和臣様は私の手を握ってくれた。和臣様の指で自分の指をさすられると、少しくすぐったくて、なんだかソワソワしてしまう。


「はい。新しいクラスメイトとも仲良くなりましたし。」


何かと自分を気にかけてくれる和臣様の優しさに触れて、私は別れのことを思って胸がぎゅっと締め付けられるような痛みを覚えた。

和臣様に微笑んで受け答えするが、なんとなく和臣様の顔を見るのが辛くなって、自分の手を握ってくれている和臣様の指を見つめる。

和臣様の指は細くて長くてその指に自分の指が絡んでるのを見るだけで、なんだかドキドキしてしまう。


「何か困ったことがあったら、いつでも言って。」


そう言うと和臣様は手をつないでいない方の手で私の頬を撫でた。私はそれがキスされる前の合図だと気付き、和臣様の手が頬に触れたとたん身体中が熱くなった。

ファーストキス以来、何度も繰り返しされるその行為は私にとっては最上の幸せではあったが、何度されても慣れることはなくいつも緊張してしまう。

一方の和臣様はいつも冷静で、婚約者である私に対して義務的に行っているだけなのだと思う。

キスする前の和臣様の表情は恐ろしいくらい色っぽくて、私は心臓が爆発しそうなくらいドキドキしてしまう。本当はずっと目を開けてそんな和臣様の表情を見ていたかったが、和臣様の顔が近付いてくると恥ずかしさですぐに目を瞑ってしまう。


目を閉じているのにいつまでたっても何も起こらないので私がそっと目を開けると、和臣様に意地悪く微笑まれた。

思わずその表情に見惚れてしまう。


「美月、キスして欲しい?」


なんだか恥ずかしさでいたたまれない。

前には運転手の大倉さんがいるから、そんな恥ずかしい質問に答えられない私は、どうして良いかわからず頭がパニック状態になってしまう。

でも和臣様とキスはあと何回できるかわからないから絶対したくて、私は自分から和臣様の唇を奪った。

和臣様の唇の感触をもっと味わいたくて、私は和臣様の下唇を自分の上唇と下唇で食んだ。


唇を離して和臣様を見ると、なんだかとても不機嫌な表情を浮かべていた。その表情を見て自分が調子に乗りすぎて行き過ぎた行為に及んだことに気が付いたが、今更後戻りすることもできないので、なんだか早くこの場から立ち去って現実逃避したくなってしまった。


なぐさめてくれたわけではないと思うけど、和臣様は私の頬にちゅっとキスしてくれて「あまり私を困らせないで」と運転手の大倉さんには聞こえない小さな声で耳元に囁いた。








☆☆☆side和臣☆☆☆


はじめてのキス以来、美月を前にするとどうしても美月に触れたい衝動が抑えられなくて、美月を送るという名目で自分の車に連れ込み美月の唇を奪った。

キスに慣れていない美月のぎこちない動きが可愛すぎて、美月と別れた後はいつも車の中でにやけてしまう。


少しずつ美月の性的な欲求を煽るために、美月の指を撫でて気持ち良いことを身体に覚えさせる。撫でるたびに少しピクッと反応する様は今の私にとって一番の楽しみだ。


「美月、もう学校には慣れた?」


美月の様子は谷口琴梨を通じて知らされているので知ってはいたが、美月を気遣う優しい婚約者を演じるために、あえて美月にたずねる。


ちなみに谷口琴梨は小学校に通う頃に美月に付けた監視役で、御堂家のボディガードの一人にちょうど美月と同級生の娘がいたので、頼んで美月の監視をして貰っている。

ボディガードの谷口は武道家一家だったため、娘の琴梨も谷口の家の道場に通っていたため、ボディガードとしても好都合だった。

美月は琴梨とずっと同じクラスでいることを偶然だと考えているようだが、単に美月の通う学校へ多額の寄付金を払い、クラスの操作をしていただけだった。


「何か困ったことがあったら、いつでも言って。」


美月の頬を撫でると俯いていた美月がこちらを見つめて、恥ずかしさからかすぐに目を閉じてしまった。

美月の唇に吸い寄せられるようにすぐにキスしてしまいたかったが、なんだか意地悪をしたくなってキスせずに何もしないでいると、美月は恐る恐る目を開けた。


「美月、キスして欲しい?」


美月から自分のことを求めて欲しくてつい意地悪な質問をしてみたが、美月はその質問には答えず、かわりに美月から自分に近付いてきてキスしてきた。一度唇を離したと思うと再び近付いてきて、下唇を食まれた。

せっかくこちらが徐々に美月に近付こうと努力して欲望を抑えているのに、私を煽る美月に対して衝動的に襲いかかりたくなる。


「あまり私を困らせないで」


美月には伝わらないと思いつつ、次に煽ったら何をするかわからないという意味で、忠告を投げた。


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