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ストーカーさんのモノガタリ

幸せな結婚の仕方

作者: きつねさん

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


私の宝物

それはキラキラ輝いている

けど輝いてるだけじゃない


私の宝物

それは私の物じゃない

だけど私の宝物


私の宝物

それがないと毎日がつまんない

でもなくても生きていける


私の宝物

うまく言えないけどそれは大事

手放せないもの


私の宝物

絶対に手放さない

そう絶対に手放しなどしない


私の宝物

それはあなた

いつもあなたを見守ってます


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「あなた、またこんな手紙が来たの。

 もう怖くって怖くって警察の人はまだ動かないの?」


妻が怖がってる。

この頃妻はストーカーに悩まされてる。

だけど実害がないからって警察は動かない。

一応スタンガンは防犯ショップで買って持たせているけど心配だ。


ただそのストーカーだけど全く正体がわからない。

そもそもストーカーって言ってるのだって前の手紙で妻がいつどこで何をしてるかっていうことを書いた手紙が送られてきたからわかっただけで妻はつけまわしてる人を見たことはないって言っている。

この手紙は切手が貼られていない。

だから差出人が直接家のポストに入れているはずだ。


「明美、土曜日には防犯カメラをつけてもらう予定だ。

 そうなれば犯人もこんな手紙を出すことはできなくなるだろう。それまでの辛抱だ。」


「そうね、そうよね。

 防犯カメラさえあれば犯人も手紙を出しに来ないしもし出しに来たら犯人を特定できるものね。」


家のローンも組んだばっかりだっていうのに今この出費は痛いけど仕方がない。

妻の安全のためだ。

ったく誰がこんな真似を。


のろけに聞こえるかもしれないが妻はかわいい。

綺麗っていう感じではないけど女性として魅力的だ。

私にとっては一番かわいく感じるしほかの人とは一線を画してるけど、

一般的にはかわいいっていう程度のはずだ。


それだけでストーカーに狙われるっていうこともあるかもしれないけどいまいち納得できない。

だから何か理由がある、もしくは妻が優しくしたっていう人かもしれないと一度洗ってみたけど犯人と思われる人が一人も出てこない。

いったいこのストーカーはなんで妻を選んだんだ?





今日妻が襲われかけた。

夜スーパーでの買い物が少し遅くなって夜道を一人で歩いていると後方から不審な人物が近寄ってきてナイフで襲いかかってきたそうだ。

妻はとっさにスーパーで買ったものを袋ごと振り回して偶然それが顔にあたりストーカーが悶絶してる好きに灯りのある方にいって逃げきった。

暗かったしフードをかぶってたからため犯人の顔は見えなかったらしい。

ただ女の人だったということだ。


どういうことだ?

妻のストーカーだから男だと思ってたのだが・・・・・・・。




しばらくしてストーカーからまた手紙が来た。

監視カメラはもうつけてるんだが映ってるのはごみ袋をかぶって家のポストに手紙を投函してる姿だけ。

警察も妻が襲われかけたっていうことで動いてはくれてるみたいだがこれじゃあ無理だな。

ちなみに手紙の内容はこうだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー

運がよかったね。


でも絶対に逃がさない。

私は手に入れたいものは絶対に手にいれる主義なんだ。

私は何が何でも手に入れるよ。


あなたを手に入れるためなら何でもする。

それにあなたのためならなんだってしてあげる。

だからほら、すべてを私に差し出して。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


短い手紙だった。

だけどそれだけにストーカーの狂気のようなものを感じ取れた。

このすべてを差し出してっていうのは命の事だろう。

妻を狙ってるストーカーは妻のすべてを手に入れたい。

つまり独り占めするために殺すっていうことだろう。

そんなことさせるわけにはいかないんだけど私にはどうすればいいのか分からない。


妻にだって生活がある。

ずっと家に閉じ込めておくわけにはいかない。

とりあえず明るいうちに外に行く用事はすましておくように言っておいたがそれだけで大丈夫なんだろうか?





私はストーカーが女で狙われている妻も女ということで職場の後輩の和美さんに相談してみることにした


犯人がなにを考えてるのかわかればそれでよし、

妻の不安を和らげるようなことを思いついてもそれでよし。

どっちでもいいから思いついてほしいという思いで相談してみたらとりあえず話しを聞くから仕事が終わってからっと言われた。

よかった。とりあえず相談に乗ってもらえて。





「すみません、和美さん待ちました?」

仕事が途中で予想外に増えてしまって和美さんを待たせてしまった。

「ええ、ちょっとだけ。ですからおごってくださいよ。」

そういって笑いながら言ってくれる。

こっちとしてはまたしてしまったっていう罪悪感があるからそれで許してもらえるなら有難い。

ここで「待ってない。」って言われるのは恋人同士のお約束だけど、

相手を待っていてそれで待ってないとか言ってストレスがたまってその人との関係がぎくしゃくするなんて御免だからな。


「ええ、おごりますよ。

 まあ遅れてなくてもこっちの相談に乗ってもらうんだからおごるつもりだったけど。」


「あら、それだったらほかのことを頼めばよかったですね。まあいいですけど。」

そういって和美さんは笑ってる。


それから和美さんには結構いろいろと相談に乗ってもらった。

彼女は聞き上手というかなんというか相談している間は久しぶりに楽しいと思えた。

家は妻のストーカーのことでかなり暗い雰囲気だからな。


それでストーカーの事だけど決定打というようなものはなかったけど精神安定に聞くハーブの事とかいろいろと教えてもらった。

これで妻もある程度落ち着くだろう。






ストーカーの方もこの頃はおとなしくなっている。

和美さんに相談した時からだ。

和美さんに聞いたご近所づきあいを濃くするというのが効いたんだろうか?

和美さんいわくご近所とのつながりが濃いとストーカーも手を出しにくくなるというらしい。


あれからも和美さんにはちょくちょく相談に乗ってもらってる。

ストーカーの事以外でもいろいろと。

和美さんとも会話は楽しい。それに趣味もあう。

今度一緒に映画にもいくつもりだ。偶然好きな監督が一緒だったんだ。

妻とは映画の趣味が合わないから映画なんかめったにいかないけど和美さんとはよく話が合う。


相変わらず妻はストーカーにおびえてびくびくしてるけど、そのうちおさまるだろうし大丈夫だろう。

あー映画楽しみだなあ。






家に帰ると妻が電気も着けずに居間にいた。

「おい、どうしたんだ?」

「あなたそこに座って。」


「おいおい仕事で疲れてるんだが。」

「いいから、大切な話があるの。」

その妻のただならぬ様子に私はおとなしく妻の前に座った。

妻の手には茶封筒が握られている。


「はあ、それで話ってなんだ?」

私がそう聞くと妻は茶封筒の中からごそごそと何かを取り出した。

それは写真のようだ。


「これを見て。」


そういって妻が取り出したのは私と和美さんが喫茶店で話してるところだった。

「これがどうしたんだ?」

妻がどうやってこの写真を撮ったのか謎だがこれがどうしたというのか?

ストーカー対策にいろいろと聞いてるだけじゃないか。


「そう、しらばっくれるのね。」

そういって妻は一度うつむいた。

そして少しの間そうしていて急に顔をあげて決心したかのように私に言った。


「実家に帰らせていただきます。」

そういって妻はポケットの中から封筒を取り出しておいていった。

私はなにが起こってるのかわからないままに妻が出ていくのを見送った。


封筒の中には便せんに書かれた手紙と妻のサインと印鑑の押してある離婚届だった。

どういうわけかわからなかったのでとりあえず私は手紙を読み進める。

その手紙の内容はこうだ。


ーーーーーーーーーーーーーーー

初めてあなたに会ったとき私はあなたに一目ぼれしました。

一目ぼれなど顔を好きになっただけというでしょうか?

そうかもしれませんね。

でもきっかけはそれでも理由は違うのです。

あなたに惹かれて、あなたと友達として過ごした。

そういう日々の中で私はもう一度あなたに恋をしたのです。


告白の時、確か私からでしたね。

本音を言えばあなたからしてもらいたかったのですが私は待てなかったのです。

もしほかの女に取られたらって思うと怖くて怖くて。

そして私の告白は意外にもあっさり受け入れられました。

あれほどうれしかったことはなかったです。


そしてあなたと付き合って、結婚して、子供には恵まれませんでしたが幸せな日々でした。

それだけに残念です。

あなたとこんな形で終わりを迎えるなんて。


この手紙を読んでいるということはあなたの前に私はもういないでしょう。

なんであなたの前に私がいないのか?

それはあなたの不倫のせいです。


あなたが職場の和美とかいう女と楽しそうに話してるのを私は偶然見てしまいました。

そこで私はあなたのことを信じ切れずに探偵の方に浮気調査をお願いしたのです。

そうしたらっ・・・・・・・・・


いえ良いでしょう。

私があなたに不要になったということです。

妻である・・・いえ妻であった私がストーカーの恐怖におびえてるときにあなたは職場の女と不倫。


ちょうどいいので私は実家に帰ることにします。

ストーカーも実家までは来ないと思いますし。

あなたと会いたくもありませんから。

便箋のスペースが余ったので最後に言いたかったことを書いておきましょう。




あなたのことが大好きでした

さようなら



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ごっ誤解だっ!」

私は聞こえないと分かっていつものの思わず叫んでいた。

私は浮気などしていないし和美さんとの話し合いはストーカーについて聞くためだった。

いや趣味の事とかも結構話してたけど。

それでも私は妻のために動いてきたつもりだった。

それがこんなことになるなんて。

私は情けなくもどうすればいいかわからなかった。


だから私は和美さんに連絡した。

今まで和美さんの言うことは正しかった。

ストーカーの相談をしてそれを実行すればストーカーによる被害も減った。

そうやって情けなくも和美さんにきいた。

彼女は頼もしくもはっきりとこういった。


「一度期間を開けたほうがいいでしょう。

 そうですね、一週間ぐらいしたら奥さんの実家を訪ねてみればどうでしょうか?

 御実家の場所はわかってますよね。悪いことはしてないのですから堂々と訪問すればいいでしょう」

「ああ、だが妻は誤解してると分かってくれるだろうか?」


「そうですね、奥さんが本当にあなたを愛してるのなら一回で信じてくれるでしょう。

 奥さんもきっと混乱してるだけですよ。

 けどもし本当に愛してないなら・・・・・・・」

「いい!そこから先は言わなくていい。

 いや言わないでくれ。頼むから。」


もしも妻が俺のことを愛してないというなら・・・・・・・・。

どうなるのだろうか?






「いいんですか?

 奥さんと喧嘩中だというのに私と映画に行くなんて。」

「いいさ、別にこれは浮気でもなんでもないからな。

 堂々としてればいいんだよ。堂々としてれば。」

嘘だ。

何かをしていないと不安になってしまう。

その程度には妻は私の中に住みついていた。

だけど和美さんといると気がまぎれる。

なぜだろうな?







今日は妻の実家に来ている。

ここに来るのも久しぶりだ。

娘さんをくださいと行った時以来だ。

一週間で行く予定が予定外の仕事が入って二週間もたってしまった。

さて妻の誤解を解かないとな。




「かえれっ!」

今私は妻の実家の玄関先にいる。

彼女に会いたいとご両親にいうとこういわれた。

でも彼女をあきらめるわけにはいかないんだ。


「お父さん違うんです。

 私は決して浮気なんかしてないんです。」

「こいつ!ここにきてまだ浮気を認めんのかっ!しかも今更来おって!

 お前のような奴に嫁にやったのが間違いだったわ!」

そういってドアを閉めようとする。

「お義父さん!」

「お前にお父さんと言われる筋合いはない。」

そういって強引にドアを閉められた。


「開けてください!

 せめて彼女と話だけでもさしてはくれませんか!お義父さん!」

そうやってドアをたたいてると再びドアが開いた。

私は話をさせてもらえるのかと期待したが違った。

妻の父親は「くどいっ!」と言ってバケツに入れた水をかけてきた。

ここまでされてはさすがに扉の前に居座るわけにはいかない。

私は家に、妻のいない家に帰って行った。





電車に乗ってるとき惨めだった。

今日はスーツを着て出かけて行った。

それがすべてびしょびしょだ。

上着こそ脱いだもののワイシャツは濡れてるのが丸わかりだ。

ああ、もう妻のいる家に帰ることはできないんだな。

涙が出てきた。

その時だった私の声をかけてくる人がいた。

和美さんだった。

「どうしたんですかその恰好。

 びしょ濡れじゃないですか。先輩の家ってまだ結構電車乗りますよね。

 とりあえず私の家に来てください。もうすぐですから。」

私は彼女の申し出を受けることにした。

妻に離婚を突き付けられ、お義父さんにけんもほろろに追い返された私は優しさに飢えていた。

だから彼女の家にお邪魔した。



「先輩シャワーでも浴びてきてください。

 ああ下着は恥ずかしいでしょうから良いですけどワイシャツとかは渡してください。

 干しときますから。

 私は下着を買いにコンビニに行ってきます。

 すぐに帰ってくるつもりですけどもし遅かったら冷蔵庫の物勝手に食べといてもいいですからね。」


そういって彼女は私のワイシャツやズボンを干してから出かけてしまった。

全く、家の中に私以外いないようだし警戒心がなってないな。

だがその信頼はうれしかった。

妻に離婚してないと信じられなかった私にとって。


それからシャワーを浴びた。

まだ肌寒いという季節ではないが水をかぶったままでいた私の体は自分の思う以上に冷えていた。

シャワーの温かさが私の体にしみこんでいく。

私にはそれが彼女の優しさに思えた。


彼女は私がシャワーから出る前に帰ってきた。

脱衣所にサラの下着がおいてあったからわかった。

さてここで困った。

下着はあるもののその上に着るものがない。

さすがに女の子の後輩の家で下着姿で歩き回るのはいかがなものか?

と思ったが彼女の心遣いはそこにまで及んでた。

男もののパジャマが置いてあったのだ。

彼氏の物かな?少し悪い気もするけど下着姿で歩き回るよりかはましかと思ってはいていった。


「あっ、先輩あったまりました?」

「ああ、温まったよ、ありがとう。」


そこから彼女はお酒を持ってきてくれた。

正直有難かった。今は少し何もかも忘れたい気分だったから。



ほろ酔いぐらいになったぐらいで彼女は突然言い出した。

「それでいったいどうしたんですか?

 あんなびしょぬれで。」

私は話すか話すまいか迷った。

失敗してとはいえアドバイスしてくれた身だ。事の顛末ぐらい知る権利はあるだろうと彼女に話した。

いやいいわけだろう。私はきっと弱音を吐きたかっただけなのだろう。

全て、すべて話した。

途中から涙が出てきたがそれでも全部話した。

きっと失望しただろうな。こんな情けない姿を見て。


「・・・・・・先輩」

ああもう罵倒でもなんでもしてくれ。今はもうどうでもいい気分なんだ。


「ごめんなさいっ」

「へっ?」

「私が期間を開けたほうがいいなんて言ったばっかりに奥さんとも会えずに。」

いや確かにお義父さんは「今更」とか言ってたけどどっちみちそれがなくても、

会わしてはくれなかっただろうし。

良いよ良いよっていうけど彼女はさらに思いつめる。


「私のせいで奥さんと別れることになるなんて・・・・・・・。

 先輩、私じゃ奥さんの代わりにならないかもしれませんが慰めることぐらいはできます。」

そういって彼女は脱ぎだした。


「ちょなっ何を。」

私は慌てた。

彼女のプロポーションは妻よりかいいのだ。

それを隠さずに迫ってくるのだ。

それにこの頃妻がストーカーにおびえてご無沙汰だったから私の物はすぐに反応してしまう。


「大丈夫です。今だけです。

 きっと奥さんともよりを戻せますよ。

 でも今だけは疲れてる先輩を私に慰めさせてください。」

彼女の声が甘く、とても甘く聞こえる


「先輩は疲れてるんです。

 だから一時休んだって誰も先輩を責めませんよ。」

それは誘うように


「先輩の体は冷えてますし温めないと

 それによってるんですから。不可抗力ですよ。」

その声は私の中にしみこんで


「蒼真さん」

そして私は彼女の体を・・・・・・・・・・









アダムとイブは禁断の果実であるリンゴを食べて楽園を追放された。

そのリンゴはこのように甘かったのだろうか




私はお味噌汁のにおいで目が覚めた。

目が覚めたはいいがここはどこだろう。

やけに女の子らしい部屋だが。


っ、そうだった。

昨日は後輩に慰められててそれで慰めてくれる後輩としてしまったのだった。

最低だ。

とりあえず謝らなければと掛け布団をはねのけてベッドから降りたところで気が付いた。

昨日ベッドに行ってからしたからベッドは体液でひどい匂いになってる。

それはいい。いやまったくよくないけど。

そこに血の跡がついていたのだ。

ということは彼女は・・・・・・・

なんということだ!

ああどうやって詫びよう。

酔ってたなど言い訳にならないし。

とりあえず彼女のとこに行って行って早く謝らないと。

私は階段を下りるとそこには彼女がいた。

 

「かずみさ・・・」

「やっと起きたんですか。

 もう私おなかぺっこぺこなんですよ。早く席についてください。」

「あっああ。」


テーブルの上には朝食が並べてあった。

謝ろうとしたんだがそれは後にしよう。

あんだけ迷惑かけたのにさらにおなかを減らさせたままにしておくのはだめだろうし。


「それじゃあ、いただきます。」

「・・いただきます。」



「お味噌汁どうですか?

 私はあわせ味噌を使ってるんですが先輩のところではどうだったんですか?」

「私のところは・・・・・」

妻が毎朝作ってくれていたお味噌汁のことを思い出して私はだまってしまった。

彼女は私がなんで言葉に詰まったのかすぐにわかったようだ。


「すっすみません、私無神経で。」

「いや大丈夫だよ。 

 うちもあわせ味噌だったな。うん、妻のよりかおいしいよ。」

「はは、ありがとうございます。」

よかった彼女は私の思うところに乗ってくれた。

妻のことで気まずい感じになっても困るしな。笑ってくれた方がいい。


はあ、誰かと一緒に朝ごはんを食べるなんて久しぶりだな。

妻は朝は忙しそうにしてたから一緒には食べれてなかったからな。




ご飯を食べ終わった。

私は彼女に謝らなければならない。

彼女に言わなければならないことがあるといって目の前に座らせた。


「和美さん、あなたには言わないといけないことがある。」

私は居住まいを正していった。


「先輩、私も言いたいことがあるんですけど先に言っていいですか?」

どうやら彼女も言いたいことがあるらしい。

いや当然か。私が昨日処女を散らしてしまったんだから恨み言の一つや二つ


「ああ、思う存分言ってくれ。」

それは私が受けるべき言葉だ。

私の答えに彼女はなぜか緊張してる。


「では言います。

 先輩、いえ蒼真さん、私はあなたのことが好きです。」

えっ


「そのしちゃった後で言うのはずるいと思うんですが蒼真さんの事を愛してるんです。」

いやいやいや


「ちょっちょっと待った。」

「はい。」

予想外だ。

ああ、けれど彼女には機能してしまった身だ。

これは受け入れなくてはいけない。いや受け入れるべきだろう。


「わかった、じゃあ・・・」

「蒼真さん責任感からとかいやですよ。

 私は蒼真さんの事が好きなんです。愛してるんです。

 昨日のことならちゃんとアフターピルを飲んどきましたから大丈夫です。

 そのことは置いといてあなたの気持ちを応えてください。」


うっ、勘が鋭いな。

「わかったじゃあ正直に言おう。」

彼女は緊張してる。


「私は君のことを愛していない。」

彼女は絶望のどん底という感じだ。

だが早とちりしないでほしい。


「けど君に好意は抱いてる。

 だから今は友達以上恋人未満ということでいいかな?」


「はい。」

彼女は泣きだした。

おいおい、まだ付き合うっても言ってないのに。


「私、蒼真さんの事が好きででももう奥さんがいて、

 蒼真さんが奥さんのことで傷ついてるってわかって、

 慰めたら私のことを好きになってくれるかなって、そう思ったんです。

 そんな卑怯な私でもいいですか?」

正直だな。


「私が君に助けられて感謝して惹かれてるのはほんとだ。

 だからいいさ。」


「はい。」

彼女は今度は笑顔を見せてくれた。


さてじゃあまずは離婚届を出さないとな。

(もと)妻にも彼女にも悪いしな。





それから何年かして彼女は職場から寿退社した。

今では子供もでき幸せだ。

元妻の誤解は何年かして解けたけどその間にお互いに覚めてしまってよりを取り戻そうっていうこともなかった。


「ただいま」

「お帰りなさい、あなた」



これが今の私の日常


ではネタバレをいたしましょうか。


まずストーカーの正体ですが和美(職場の後輩)です。

蒼真(夫)のことが好きで好きでたまらなく、

妻が消えてしまえばいいと思って妻に嫌がらせをしていました。

つまりストーカーの対象は妻ではなく夫の方だったんですね。

嫌がらせの標的は妻でしたが。



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[一言] 傍から見たらバレバレなのにわかっていないのは愚かな男だけ。
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