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僕、苗字は蒼紅っていうそうです。街であったら、「やぁ蒼紅」、と、皆に聞こえるよう、よばないでください。てか、呼んだらふりかえってやらねーんだからね!ほんとなんだからね!



「う~む、これは……もしや。メシア様、記憶が消えてますな」



 吐いたばかりで嗚咽があり、ナナシはうなずくだけにとどめ。

 婆がゲロのついた指をちゅぱちゅぱちゅぱちゅぱ、と舐めて、

 こっちを見て、舌でゆびさきべろんべろん。

 ねちょぐちょ。

 べろんちょべろべろ。

 じゅっぼじゅっぼのじゅぼのすけ。




 ――僕のファースト間接キスの相手は、糞婆。



 これに衝撃を受けて、メシア様も唖然茫然。



 それでも婆は何か感心し。


「誰か救世主様の吐かれたモノ。念のために研究部へ全部送るのじゃ」


 嘘だろ、研究員たちがガスマスクみたいなのを頭からかぶって、

 人の吐いたものを一滴の凝らずバキュームみたいなので吸い取っていった。


「さて、吐かれてすっきりしたですじゃろ。こちらへきなされ」


 ナナシは老婆長老の招きのまま、

 護衛が囲む囲炉裏の前に座らされる。

 特筆すべきは長老を囲む護衛だろう。


 まず、気配が最悪。

 命令あれば殺しますね!

 そんな感じを気配漂わせて、隠す気もない。


 さらに、上半身もろだし、ズボンは灰色の軍服だろう装備。

 体中に、剣やレーザーの跡だろう痕跡残すシックスパック余裕胸筋ぴくぴくの超ビルドマッチョマンがレーザー兵器をベルト固定で肩に担ぎ、両手でなんかやばそうな鉄棒をもって、ナナシの視線に気づいて。

 上腕筋と大胸筋の力だけで曲げて――


「ふ~、ふ~、ふ~」


 ――綺麗な円を作りだした。


 そしてこっちに放り上げ。

 ナナシが受け取ると。


「ヒッピー野郎にはお似合いのラブ&ピースだ、このペド野郎。

 聖女様!

 メスガキ閣下リリキャル女史様!

 ――になれなれしくへばりつきやがって糞が!

 みんなリリキャル様に背後から金玉蹴り飛ばされて、

 蹴り飛ばされて、

 蹴りあげられて。

 両手を拘束。

 両足開かれ、

 さらに隠す事もできずに叩き潰されたいって願ってるのに、

 同伴でお帰り、とか新参が!

 この新参が!

 このペド・ロリゲス野郎が!――っぺ!」


 と、唾を床に吐き捨てた。

 ナナシの記憶が間違ってなければここは最高指令室であり、此処を収める長老のテントの中だ。


 長老は何も言わない。

 これがこの世界の長の御前での態度でおkらしい。

 だからナナシは敢えて無視することに決めた。


 ……くそ、まいったなぁ。

 やばい呼吸音だ。

 

 大気を肺癌物質で汚染させられそうなキセルを吹かして煙い場所を構築。

 老婆は相変わらず何もいわず座り込んでいた。


 つまり、何か言うのを待っている?

 そういえば一方的に話されただけで、こっちは挨拶もしていないな。


 そう考えたナナシはとりあえず――

 思念も様になってきたので普通に口パクで――



「こんにちは、異世界から来た救世主です。

 ロリメガ様の命令で、ここに来ました。

 レベル99でちょっぱやで100いきます。

 最強!

 武器も最強剣ください。

 よゆうっち!

 でないと怖いのと痛いのとか嫌なので最強肉体にしてきました。

 苦しかった前世から逃げ出してきました。

 楽に敵倒して平和満喫したいです。

 そうじゃなきゃ意味がありません。

 ここで最強武器と最強レベルで敵をバッサバッサぶったぎって、他のみんなに『すごい! あんなのできない!』とかいわれて美少女美幼女綺麗なおねーさんにモテたいです」



挿絵(By みてみん)



 思念であいさつした。

 彼女からここに来るまでに教わった。対面者のみに語り掛けるなら、思念は相手の目を見て飛ばせ。

 個人チャット機能が解錠されるはずだ――と。

 教わった。まるでネット用語だ。


 で、


 そんな時に婆さんが喋り出した。

 しゃがれた声で、キセルをしわくちゃの唇から離し。


「救世の勇者様。

 降臨されてそうそうこういう言葉もなんなのじゃが。

 何か勘ちがいされておるようなので、

 今のうちにお話しさせてくだされ」


「え、あ、はい。

 どうぞ」


「リリキャル、教えてやれ、、出来る限りソフティに」


「おK、ばっちゃ」


 端っこで控えてた性病ヴィッチがこの世界の真実を語るという。

 だからワクテカできいてみることにしたナナシだが。



「お前はアホか?」

「遠慮なし!」


「ったりまえだ。

 前世で幸せになれない奴が、

 何の努力も根性ももたない、

 意味ない、

 必要ない人材を、

 神が助ける理由も、

 意味もあるわけない、

 必要ない人材、だろ?

 そんな不必要な雑魚が必要なら、

 神自身がこっちの世界の物質から創ってるだろ。

 ならば前世の場所で不要な奴を、

 神が異世界に来て悪の親玉倒せだの、

 報酬以前に女がたくさんよってきてはっぴーるっぴーよろぴくね?

 な展開――ある訳ねーだろ。

 夢見てたいんなら、

 自宅探して布団入ってママのおっぱい吸いながら寝てろよ?

 な?

 それじゃなかったら、

 その筋の病院紹介してやろうか?

 な?」


「……」


「こっちゃ死ぬほど仲間がずたずたに斬り裂かれて、

 脳天打ち抜かれて360度上下左右斜めそれぞれに破裂されて、

 地獄を秒ごとに毎日見させられてんだよ。

 地獄の戦場で抱きしめて戻ってきたときに懐にあるのは、想い出と共に帰還してきた現実。もしくは魂の去った肉塊。

 それは生存者への脳障害の始まり。

 脳みそのトラウマ再生始まって、

 全員でゲロを休憩時の食事中に、目の前の貴重な飯にぶっかける。

 そういう世界だ」


「……」


「すごい力が最初からある?

 凄い最強剣を最初からもらいたい?

 凄い仲間が揃ってる?

 現地住民にできねぇことができる?

 だからその後に女がよってくる?

 そういったのか?」


「……え、あ、はい……」



「ど阿呆が。

 ゆめみてぇなら、ママのおっぱいしゃぶってる時か、

 布団で寝てる時だけにしろ、な?」



「……」



 会話が、とまった。



「勇者様の脳みそは、バンバーズ並みにソフティにできてるのか?

 ほんと、マジ、幻想にしがみつくのもいい加減にしろよ。

 いくらここが最終終焉世界でも幻想みんのはやめろ、

 生きてる奴らまで巻き添え喰う。

 死ぬなら、お前ひとりで死ね。

 何でもかんでも思い通りになるともってんじゃねぇぞ、雲助の不倫ファンタジーが裁判勝てりゃまた使って貰えるってか?あ?」


「……」


 何か途中から関係なくない?

 とか思ったが、止めた。

 言い返すの止めた。

 ヒロインがしちゃいけない、マジもんのハードワールドのおっさんみたいな顔になってるからだ。



「現地人舐めてんじゃねーよ。

 神チートなきゃ、ゴミ糞生物が! 

 誰によこされようが、

 神によこされようが、

 この言葉を真っ先におくってやるべきだったな。

 ようこそ二度と帰れない、

 奈落の文明崩壊地獄化完成惑星崩壊秒読み段階へ!」


「……」


「……」



 もう一度言う。

 会話がとまった。



 けど、長老だけが粉砕する。



     *****



「そう、厳しく言うなリリキャルよ。

 確かに。そんなすごい力を神とやらがくれるモノならば、この地獄の世界で大切な誰か為に力をお与え下さったのやもしれん。

 こっちの国の神を信じていないならば、

 こっちの国の信仰厚きワシや、巫女らに力は与えられたじゃろう。

 じゃが、儂らに力は与えれなかった。

 ならばメシア様には何かがあるんじゃよ」


 ふぉっふぉっふぉ、と、間に立ってくれるばっちゃま長老。

 だけど――リリキャルが――


「間違い1

 こいつは人を殺した、

 動物すら殺した事のある目をしていない。

 そんな奴が戦場で、敵の国に異世界から救世主がきたぞ、と、

 昨今深刻化している内部スパイに情報駄々洩れで一騎打ちや集中砲火が迫ってくる。その時こいつが相手を殺して、

 相手を本気で怒らせて、

 その神様チートで、

 未知のパワーが出現、

 平気で殺しができるのか?

 ばっちゃ、無理だぞこいつには」


「……」


「間違い2。

 さっきも言ったが、

 こいつ自身、何を期待してんのか。

 最強剣だか、

 最強重火器、

 最強能力があるなら。

 異世界人必要ない。

 うちらにくれ。

 異世界ではなく、

 ここでの人間に!

 真剣に言う」


 ――え、もうやめて、僕の精神ぼっきり折れるほど体力は限りなく0になってるんですけど。


 そう思う彼は無視!


「異世界の正義を信じて人を殺した過去もないこいつより、

 真面目な兵士の方がいい。

 戦場の臭いと逃げられない気配にどっぷりつかって、

 それでも正義を信じる奴に与えられるのがチート能力。

 なら、とっくにそいつがすでに世界を救ってる」


「……」


「間違い3

 ――すごいあんなの出来ない!?

 超つよつよパワーな勇者様!

 勇者様?

 はッ――ただの未成年、

 糞餓鬼じゃねえか!」


「……」


「これに、んなのが出来る可能性あるなら、

 この世界の多様な科学者が、

 この星の最たる天才と呼ばれる輩が、

 知識を蓄え、

 なんとしてでも――すごいあんなの出来ない!?――の、可能性ある力を実践の中で、収集、分析、解析、顕現、で、

 誰もが会得しているはず。

 こっちゃ死に物狂いなんだ。

 ファンタジー世界で生きてんじゃねぇ」


「……」


「間違い4

 こいつの寝ぼけてる――」


「――あの、もう、いいです。

 そろそろやめてもらえませんか?

 次で俺の心が確実ぼっきり折れますよ」


「知るか!」


 秒殺!


「間違い4!

 こいつの寝ぼけてる――妄想。

 それは女が無尽蔵にやってきて、

 キャー素敵。

 でハーレム――

 椅子ロムの腐った神信仰ですか!

 あるわけねーだろ!

 人攫って作るんだよ、ハーレムってな!

 そういうのに憧れるのは、連中と同じ生命体の屑だ!

 糞ボケドアホが!」


「!?」


「お前みたいな顔程度がイケメン基準なら、

 こっちでイケメン探して女はとっくにそいつに群がっとるわ!

 お前が考える程に女はユルマンしてねぇんだよ!

 女にだって選ぶ権利あるわ、こんぼけ!

 神がそう言った?

 神が許した?

 知るかどあほう!!! 

 んな寝ぼけた女神の采配してるなら、

 偶像崇拝爆破して、

 地獄の帝王と血の契約でもして、うちが勝利に導いてるわぼけえええええええええええええええええええええええ!!!!」


「!!?」


「……」


 数刻だ。

 この会話で。

 みんなもシーン。

 ナナシもリリキャルも、二人で黙ってしまった。


 だがキセルをスパスパ吸ってたお婆は落ち着いたのか。

 停滞しすぎている会話の流れを推し進めてくれた。


「うおし。大丈夫だ、問題ない。

 で。メシア様。

 先にお主様が倒す最終目的の、ラスボスの名をお伝えする」


「ラスボスの名前?」


「そうじゃ、リリキャルからそれとなく臭わされたと思うが、

 奴の名は、」


 なんか突然シリアス!

 でも、真顔であわせることにした。


 展開が転がりすぎだよ!

 これすぐ何かイベント発生しそう!


 と、そこまで考えたナナシ君!


「奴の名は――破滅願望指導者。

 または、

 終焉の世をもたらし、

 自殺願望を全世界に与えし者。

 名は多く、

 その全ては一つを指す。

 世界の滅亡の誘因者――

 本名は、未だ誰も聞き出したものはおらん。

 おっても、目の前で殺されるでな。

 帰還者がおらん」


「ある意味、そいつもナナシか!!」


 まさか他にもいようとは!

 ちょっとシンパシー覚えちゃう!

 だが、想像してみると、ちょっとおっかないかもしれない。


「そういう事じゃの。

 まさに似たモノ同士じゃ。

 じゃが、勇者様。

 お主様は違う、

 今はナナシでも一応こちらで伝承の碑文にそれらしき名がある」


 そこでナナシは瞠目しちゃう。

 嬉しくて。


「良かった、永遠にナナシかと思ったよ」


「じゃが、もし前世の名を覚えておるならその名前は?

 こっちの伝承では呼ばれる名は決まっておるが、

 お主様の名と同じかやはり気になるでの。

 なんかまだ、覚えとるか?」


「いや、もう記憶が流れて……

 前世で殺された魂と、

 土に埋められたから土砂や泥を吐いてるんじゃね?

 という推測。

 前世の俺は土に埋められたか、

 毒殺された死体からの魂つき、

 こっちに堕ちて、

 たぶん心臓が動き出した――」


 そこまで話したら婆が。


「もしくはもう前世の肉体がダメになって、

 こっちでその土砂やらへどろやらで創り直されて魂が放られた……じゃろ」


 瞳ギラン。

 婆が刮目!

 ナナシが、こくんと頷き。

 小さく微笑んで。

 リリキャルが悲しそうに俯き、眼差しを掌で隠した。


「そんで、もうスキャンをすましたが。 

 やはり喉はダメじゃ。

 直せん。

 肺はギリでセーフ」


 絶望。

 それしかなかった。

 何故なら最先端文明崩壊とはいえ医療設備があるのでは。

 そう思っていたのだ。


 だけど――


「もっと早く向かわせとけば、この地に勇者が降臨。

 それに立ち会い、喉も肺も浄化装置で産業廃棄物なみの毒の大気から守った――ゆえに感謝して、奴隷のように我らが大地の為に戦う事になった!

 ――と、兵士たちに宣誓できて鼓舞できたというのに……残念じゃ」


「なんか凄い発想ですね」

「全員を纏めてるんじゃ大局的に洗脳は必須じゃ。なんか文句あるか?」



「いえ、むしろ感謝してます。なんか出現場所は、頭上の倒壊したビルで銃撃戦やってた場所でしたから……

 みつかったらそこで人生終わってました。感謝しかありません」



 そこで長老の左右に立つむさいおっさん二人が拳銃を腰から抜いた。

 突然の行動に意味不明!

 ゆえに――


 咄嗟に身がまえる。

 懐かしい、懐かしすぎる構えに――

 自分でも忘れていた、戦闘の構え。

 だけど、



「――なに!」



 瞬間、

 ――何か、誰か、見てる!?


 ナナシは確かに、この周りの者らとは違う何かを肌で感じた。

 強大ななにか!

 もしかしたら、ラスボスがどこかから遠視の魔法で診てるのかも!


 きっと恐ろしく強大な、自分を隠さない存在。



 それになにより、遠方からだ。


 ここから?――いやそれはない。


 周囲に人は大勢だけど、違う。

 明確な、何か懐かしくも、

 酷く悲しい――これ、殺意?


 それが何なのか。

 混乱がわく。

 でも、

 今はそうじゃない。

 おっさんらが殺気を出した。

 なら、生きる為――


 ――こいつら全員――


 殺すしかない?


 外の世界の光景が、銃撃戦と死体転がる大地に現れた衝撃的な世界に。

 自分の中に宿っている何かが反応した。


 しかも倍掛けで膨れ上がった防衛本能としか形容できない!


 でも、この構え。

 それは前世で慣れ親しんだ、

 ここでは初の――

 ただ、そこまでナナシが認識する前に――



     *****



「――落ち着きなされ勇者様!

 ――違う、彼らは敵ではござりませぬ!

 お前たち、戦闘警戒態勢維持!

 勇者様は、まだ現状が解っておらん、

 早急に奥へお連れしろ!

 敵の軍用ヘリの音が響いてきおったんじゃ!」


「……」


 ――きこえねぇ、そんな音。


 ただ、全員武器を抜いている。

 その光景を見てナナシは。


 ――なんかここの連中の方が圧倒的に俺より強いんじゃないの?

 そう思える。が、彼らの武器を見て驚いた。


 殺されそうだから……ではなく、

 彼らの銃だ。

 改良されてるようだが、

 たぶんカートリッジ交換不要状態の、前世の映画でよくみるサブマシンガンだ。

 弾丸ベルトもいらないのだろう。

 ここ実弾よりレーザーだから。

 間違いなくあれからもレーザーが連射されると予想。


 ――文明レベル違いすぎる。

 エネルギー源はなに?



「ふむ、全員、警戒のまま銃を下ろせ。

 連中、何故か途中で方向転換したみたいじゃ。

 さすがに単騎で領空侵犯はせぬか。

 なら様子見、

 連中のは脅しじゃろ」

「脅し?」

「そうじゃ勇者様。

 時々連中が仕掛ける疲弊の策じゃ。

 こうやって武装兵器で近づいて、

 撤退。

 こちら警戒。

 敵は思う。近々攻撃するから待ちわびながら疲弊してろ。

 その後総攻撃作戦――

 と言ったところか。

 皆、司令変更じゃ。

 交代制――警戒の態勢――厳重に厳にしとけ。

 外壁の監視部隊、

 拠点からのレーザー攻撃大隊も警戒を怠らせるな!」


「は!」


 護衛のおっさんが、そう声を発すると天蓋の外へ出ていった。

 代わりに別の若い兵士が入ってくる。

 銃口を向けてくる。


「やめんか!」


 バッチャに言われて、そのまま若いのは謝りもせず不動の位置。

 ナナシは思う。

 たぶんおっさんの代わり。

 しかも、こっちを見てのいきなり銃口向けた。

 長老に言われて銃は下げたが、

 蔑む眼光は、気に入らない。

 殺気交じりの怜悧な眼光、

 チンピラみたいで――



 ……きにいらねぇ――

 素直にそう思った。



「じゃが、異界の勇者様よ。

 これで伝承は発動した」


「え?」


「おぬしは本物じゃ。

 今の一瞬の動き。

 あれはこの世界にないものじゃ。

 始めてみましたぞ。

 異界の戦闘モードと言う奴ですな。

 やはり間違いなく女神さまのよこされた神託の救世主。

 そして神託通り。

 全裸で危険世界の中心で――ファッキンマザーファッカーと、叫んだ男!

 それを伝承で――

 ――女神の怒りを買って怒られし者――」


 ――すげぇ嫌な伝承だ!

 また素直にそう思えた。


「まるで記憶を消すように口から七掬いの埃を吐き出し、神が作った元素たるこれらを全部破棄!

 もう神になんざ頼ってる暇すらねぇんだよ!

 生きるだけで本気で苦しいんだよ!

 チャチャいれんじゃねぇよ、この糞ゴッド!――

 と、心で猛れる新たな新人類として、前世の肉体からこちらで全てを捨てて再構築。英雄のみに構築を赦された、人間構築の七掬いの埃ではなく、

 へどろから作られた生命体。

 その吐き出した物が証拠。

 リリキャルこいつの吐き出したものをみたか?」


「うん、ばっちゃのいうとおり、本気であの雨の中で全裸でゲロしてた。

 それももうこの世界には無いはずの栄養価の豊富な黒土からヘドロまでだ」


 そこで老婆は、周囲の一人を呼び寄せ、すごいマッチョ筋肉で寡黙な兵士。

 きっとこれがエロ同人の世界に出れば、あのメスガキをワカラセ用竿役だろう。

 催眠とか、睡眠薬プレイではなく、

 腹パンで――

 んで、ナナシが怖気づく程の兵士に婆が耳元へ何かを囁き。

 男は瞬間姿を消して、どこかへ行った。



 ……ねぇ、やっぱりここ、俺いらなくない?



 本気で泣きそうになり、

 ――いや、だって、神から選ばれた転生勇者が、

 この世界の一般ソルジャーより弱いのを理解したよ?

 俺、まさにレベル1


 そう自信喪失野郎へむけて。

 老婆が皆へのアピールなんだろうな。


 着ていた羽織をマントみたいに跳ね飛ばし、

 ナナシへ向けて、指で指し示して大絶叫した。

 こんな風に。



「勇者は顕現した!

 その名は、伝承にのっとって、

 いまここに長き歴史に刻まれし名を宣言する。

 皆は喧伝せよ!

 エルムに勇者現ると!

 その名は――」


 ――え、俺の名前?

 この異世界専用の?

 いいね、なに?なんなの?


 思わず聞き入るナナシの前で、

 婆が皆に咆哮!


「このものこそ!

 全異世界、

 全多元宇宙、

 そのすべてに最強になれる勇者――


 ――勇者蒼紅様じゃ!――」



                    挿絵(By みてみん)




 おおおお、と、どよめきが走る。

 

 ナナシは、


「……」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『きしょい野郎の絵だけだといやだろうから、口直しにおいておきます。

 女神様のAIアートです』


【題名:媚びる女神】


                挿絵(By みてみん)



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 そんな彼を置いてきぼり。


「婆は皆を代表して宣言と同時に皆の心を勇者様に伝えたい!

 伝えりゅ!

 この女神様からの救いの勇者、

 使者様に皆の心を伝えよう。

【よくぞここに来てくだされた!

 ありがとう、本当にありがとう!

 どうもありがとございます!!!】とな!」


 婆が咆哮!


 でも、

 そこでナナシがぽつりと。



「なに、蒼紅――って」



 そう、さりげに婆が変な言葉を叫んでいた。

 勇者の中に混じった遺物。

 まさにいらない子みたいな扱いで皿っと名乗った名。


 そしたら婆が、いつの間にか持ってたマイク。

 その握った指先の突き立てた小指を戻して。



「勇者様の、この地での本当の名前じゃ!

 もう前世の名前忘れてリリキャルからナナシ坊主になってるから連れてこいというたんじゃが。

 おや、まだ前世ネームおぼえておるん?

 ――もう記憶にないはずじゃが」


「うん、覚えてないです」


「じゃろ。

 じゃから救済措置の一つなんじゃろうな。

 伝承にある、勇者様の本来の呼び名では、

 ――蒼紅(そうく)――

 時に青い灼熱の高温発する火柱上げて、

 強大な力をもち、

 紅蓮の炎は広野の敵軍勢の死体を素粒子まで焼き尽くして灰にする、

 禁断の力を体から放出!

 現れる敵はまさに無謀!

 盛者必衰の理を表し顕現!

 眼前に現れる愚かなる者どもを消滅へと叩き込む!

 ゆえに!

 ……オヌシにふさわしい名前よのぉ、蒼紅どの」


「……え、あ、はあ……」


 ――名前ないし、いいのか、これで?



「ばっちゃん、蒼紅は旧コネクロ朝王国時代より昔の文献の呼び名だったよね?

 なら、言葉位置が、

 ――氏――にあたるはず。

 だったら、下に――名――をつけないと。

 名は、なんていうの?」


 小さな巫女服の子が、暖炉で眠りかけの婆に質問するようなノリで聞き、


「知らん……」


 簡単に返された。


「え?」


「いや、文献読み漁った儂でも、

 蒼紅以外みつけられんで、

 知らないんじゃ。

 確かに歴史得意のちびっこ共の言うとおり、

 氏と名、この構成のはず。 

 あるはずじゃ、名、がの。

 じゃが文献が示唆する言葉綴りの中、

 名の部分は……存在を仄めかすだけで、

 おそらく、あの文献が敵の手に渡った時に名前もあると、

 語りが存在して、

 偽物勃発させてやろうぜ!

 と、たくさん嘘の写本がでまわるはず!

 それを防いでの事じゃろう。

 本物解らん!

 ゆえに、未来の我らが混乱させられる可能性を危惧して女神様の声を聞いた伝承の碑文や文献をを造られたご先祖様は、わざと隠したんじゃろう。

 ヒントは、

 ――戦い――

 によって、それは明かされる。

 らしいとしか儂でも把握できんかった」



「戦いで解る――って、どういう事なんだろう」


      



     *****




 なんか不安になるようなことを二人で話している。

 ナナシ改め蒼紅も困ったなぁ。

 こうやってなし崩しで名前とかつけられちゃうんだなぁ。

 と、半ばあきらめてたのだが。



「しかし我らの代で救世の勇者が参られるとは。ありがたやありがたや」


 他の婆が合掌して蒼紅を崇める。

 そうすると他の連中も銃をしょった護衛さんもありがたやの合掌。

 リリカルも長老ばっちゃも、さっきのチビッ子、ちょっとかわいい――までもがやりやがる。



「これからいつでも敵の大軍勢が襲ってこようがもう安全じゃな。

 救世主メシア蒼紅様によって敵の攻撃は直に妨がれ守られる。

 安眠約束された」


「……」


「それにこの世界の、星の終焉が迫るこの地にわざわざ希望を与えんと降臨してこられたのじゃから。

 謎のきゃつ……」


「生命破滅者、ですね」


 すっげ、鈴の音を転がすような声で、

 倭代たんが発言。


 蒼紅さん、うっとり。



「そうじゃ。

 奴の大軍勢から皆を救う救世主。

 それが勇者様。

 人種――デコイ――が誕生するに必須だったとされるこの地上の成分、

 大地から七回掬って持って、捏ねた、

 女神様が作り出したデコイは、それぞれの素材から成る。

 それはまさに人種への構築。

 なのに流石は勇者様じゃ。

 それをあえて捨てるがゆえに、

 ゲロを吐き、

 その度に懐かしいじゃろう前世の記憶も捨て、

 泥から創られた証拠を眼前披露。

 神がその時代を救う英雄のみの、秘匿の構築法。

 ――泥。

 伝承の泥。

 これで創られておるのじゃろうから、

 検査機は吐いたものを泥と判断。

 確定じゃ。

 体はゲロを泥として証明しておる。

 しかもその泥すらいらねぇ、

 俺は俺の道を行く――

 まさに、鬼!

 いや狂おしき者というべきか。

 新たなる新人類へ進化した救世主メシア――勇者蒼紅様――は、そう吼えた!

 皆喜べ、

 この御方は異世界の術――

【異術】

 ――を会得せし者。

 名が無き者。

 キャッチフレーズは、

『俺より強いやつに会いに行って――むしろ俺より強い奴が呼んでいる。ならぶちのめしてから大量虐殺してやるわ――我、拳を極めし者――』

 を、名乗るそうじゃ。

 凄いなお前さん

 あれ、なんか一緒にいたら怖い人なのん?」


「いや、そんなん全然しらないし――吼えてないし!

 銃撃危なくて逃G――」


 婆はそこで、すかさず、

 手に持っている鉱石の杖の握りを蒼紅の口に、

 すーっと、自然に放り込み。

 ナナシ――改め蒼紅沈黙。


「剣呑、剣呑ですじゃ、きになさるな。

 自信をもて、伝承でそうなっちょる」


 そこで思う事ありて、蒼紅は苦言を申請した。


「すんません、伝承に皆さん頼りすぎじゃないですか?

 切り開こうよ、

 自分の道は自分で!

 ぶっちゃけ女神相手に俺が人間辞めるぞまで叫んでないですから!

 なので異世界の人に頼み込みすぎじゃないっすかここの住人と、ついでに女神様!】


「ふぉふぉ、この世界の根幹、ありようをいきなり全否定するのが貴方様だとは、わろす、わろす……、まぁ気にさすんなって。

 元気出せよ。

 そこで諦めるなよ。

 いけるいける、

 お前さんならできるってばよ」



 ――おい、婆、威厳そっちのけの気さくな言葉なげんなや。

 今のまるで、子供が買ってきた卵12個入りを玄関で足ひっかけて、5~6個割れちゃったけど軽い台詞で元気づけるフランクママみたいだよ。

 マジやめろよ。

 諭すのもマジやめろよ、

 こっち人生かかってるんだよ!



「まぁ、そんなこんなで」



「――おぃぃぃ!

 ついに、そんなこんなとか言っちゃったよこの人!

 投げんなよ!

 主人公の戦う原動力になるシーンなんだから、

 ここで感動とか過去に涙して戦う決意!

 とか固めちゃうシーンなのに、

 そんなこんなで勧めんなよ」



「その者、真実の名は、秘匿よ。

 天空の雲の向こう、星の傍を回る衛星ってのがあっての、

 そこに刺さっておった真っ黒の石板。

 それに記載されてたそうな。

 まだ天空が壊れて、雷雲の上空が核破壊兵器のナノロイド活躍の産物発生の異常をきたす前じゃ。

 天空よりもさらなる高みへ上がることで、

 大昔の人間は黒の石板の文字を解読。

 地上の伝説と同じことが記載されており、名前も、刻まれておったそうじゃ」



 その言葉は俺にだけではなく周囲へ飛ばされている。



 左右の警備も、リリキャルなちびっこフード命の恩人も頷いて、

 いつから入って来た?

 周囲のバラックに住んでる貧民ガール&ボーイズ、

 金はいらねぇ!――敵は全員殺してやる!

 そのかわり名誉さえありゃそれでいい、

 楽しい楽しい強敵を求めて殺しあうバカ者たちこそ俺たちよ!

 みたいなトルコのオスマン帝国狂戦士の如く、

 髭ズラ長髪、獣の皮と剣のみ!

 ――前世での15世紀くらいな見た目の傭兵みたいなのまでが婆の部屋に入っていて。

 ならば、自分も周囲へ聞こえるように――



「俺の、真実の名前ですか?」



 そしたら、ばっちゃが、たぶん全員の脳にだろう言葉を流してきた。


「伝承には名前がない。

 じゃが口伝では、こう伝わっておる。

 ――【戦場において名を肯定せしもの。

 刻印の名は前世の名ではなく、

 戦場でつけられた名を掲げてかのものは英雄とならん。

 その叫ばれたる言葉は、

 存在はなく、

 ただ超人的動きに影すらなし――

 とある、

 ならばじゃ――】


すまない、明日朝一で一度、自宅のマンションに戻ることになった。

二日だけ止まって戻る予定。


まだ医者から一人暮らし許可出てねー。


心停止したら、山の上で救急車でも50分余裕地帯。

麓に戻るのに50分。

その前に救急隊は、色々、こっちのお薬手帳とか調べるから20分。

おい、2時間じゃねーか。


ね?

しかも俺のお薬手帳みて「まじかよ……」って言わない奴は今までの人生で一人もいない。

皆いう。

お薬だけでお腹いっぱい。しかもトップクラスの処方間違うとやべー薬だ。

国の難病障害1っ級の不治という名前が付いた奴の薬は、そこらの映画、アニメみたいに、ちゃちいしろものじゃないんだぞ、っとくらぁ。


てなわけで、挿絵当分つくれず、自動投下ですまん。


明日も、一応のっける、

明後日も、乗っける予定だが、一回くらい飛ばしとく?


では、山行きの用意とカップ麺3個入れて、いってきます。



生きてたら、また挿絵とかつくってあげる。

いきなり止まったら、イラストサイトの毎日投稿もとまったら、

生存報告きれたってことだ。


諦めてくれ、熱中症になるとやばいらしい。数日前AIモデルローラ生成でPC走らせたら、部屋の室内温度40度軽く超えたわWWWWWW



わらぇねぇよ(´・ω・)y--oO○

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